文化

2016.01.05

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芸術の殿堂で公演中の演劇『木の上の軍隊』は、米軍の攻撃を避けるためにかけ上がった木の上で生き延びた2人の兵士の実話を題材にした


第2次世界大戦の終息直前の沖縄。敵を避けて木の上にかけ上がった2人の兵士が、戦争が終わったことを知らず、2年間木の上で過ごす。

芸術の殿堂で2月28日まで公演される演劇『木の上の軍隊』は、日本の劇作家、故・井上ひさし氏(1934〜2010)の未完の戯曲を、作家で演出家の蓬莱竜太氏が完成させ、2013年に初演した作品だ。実際に木の上で2年を過ごした2人の兵士の実話に基づいている。

2人の主人公は、本土から派遣された兵士の「分隊長」と、自身の故郷の島を守るために入隊した「新兵」。沖縄での戦闘で仲間はみんな死んでしまい、2人だけが木の上に閉じ込められた極端な状況は、戦争のむなしさ、戦争を通じた人生の省察、人間の尊厳などを物語っている。戦争を避けてかけ上がった木の上では、2人の心理戦争が始まる。

作品の素材となった巨大なガジュマルの木は舞台を覆い、圧倒的な雰囲気を演出する。まるで出演俳優のような木と、枝に体が絡まったまま繰り広げられる俳優たちの演技にも期待が集まる。

生き延びるためには誰かを殺さなければならない戦争お矛盾と、「戦争中、木の上」という極限の状況で発生する対立と理解を通じて、私たちの人生そのものが永遠に終わらない戦争であることを、そして、その戦争の中で、人間が守るべきものは何かという問いを投げかける。

より詳しくは、下記のリンクをご参照ください。
http://www.sacticket.co.kr/home/play/play_view.jsp?seq=27543

コリアネット イ・ハナ記者
写真提供:芸術の殿堂
hlee10@korea.kr

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木の上での2年にわたる生活は、戦争の中で人間が守るべきものは何かについて問いを投げかける


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敵軍のキャンプの音を聞き取る分隊長と新兵


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演劇『木の上の軍隊』は、芸術の殿堂の自由小劇場で2月28日まで行われる。