ひと

2014.03.19

「国楽は私の運命だと思います」

「国楽少女」「国楽天才少女」と呼ばれるソン・ソヒさん(18)。彼女は、「国楽は私が歩むべき道」と胸を張って話す。幼いときに両親から勧められて始めた国楽が、今は自身のすべてだと。

“국악은 내 운명”이라고 말하는 국악소녀 송소희 양. (사진: 전한 기자)

「国楽は私の運命」と話す国楽少女のソンさん(写真:チョン・ハン記者)


1997年に忠清南道礼山郡で生まれた彼女が初めて国楽に接したのは5歳のときだ。「京幾民謡」を見事に歌いこなし、幼くして国楽の才能の片鱗を見せた。

2004年に開かれた全国時調(高麗末から発達した韓国固有の定型詩)競唱大会で大賞を受賞し、2008年に出場したKBS「全国のど自慢」では、澄んだ瞳と可愛らしいルックスに加え、抜群の歌唱力で大賞を獲得し、このときから「国楽天才少女」と呼ばれるようになった。

2010年には、「韓国を輝かせた誇るべき韓国人」の大賞にも輝いた。

국악소녀 송소희 양이 지난 12일 세종문화회관에서 열린 국민대통합 홍보대사 위촉식에서 홍보대사로 위촉된 후 축하공연을 하고 있다. (사진: 전한 기자)

12日に世宗文化会館で開かれた国民大統合委員会の広報大使任命式で、広報大使に任命された「国楽少女」のソンさんが記念公演を披露している(写真:チョン・ハン記者)


また、ユネスコ韓国委員会や国民大統合委員会など文化芸術分野の広報大使としても精力的に活動している。

最近めっきり女性らしくなったソンさんは、複数のCMやバラエティ番組に出演し、可愛らしいルックスだけでなく抜群の歌唱力で「国楽界のアイドル」と呼ばれ、話題を集めている。

16日にはロシア・ソチで開かれた「2014年ソチ冬季パラリンピック」の閉会式で、韓国を代表して「アリラン」を歌い、障害を持つスポーツ選手たちに希望のメッセージを伝えるとともに、次回の冬季五輪・パラリンピックの開催地が「平昌」であることを世界中に告げた。

コリアネットは、12日の閉会式に参加するためにロシア・ソチへ向かうソンさんにインタビューし、国楽にかける情熱について聞いた。

<国楽少女ソン・ソヒさんとのインタビュー>

‐なかなかとっつきにくいジャンルである国楽に接するようになったきっかけは。

自分から望んで始めたわけでもないし、国楽家になりたかったわけでもなく、5歳のときに両親に勧められて国楽を習い始めた。両親は私に芸術を習ってほしくて、国楽の他にピアノや美術なども習った。その中で一番上達が速く、才能がありそうな国楽を重点的に習うことにした。そうしているうちに国楽家の夢を抱くようになった。

‐「国楽こそ自分の歩むべき道」と思ったのはいつ。

あるときふとそう思ったのではなく、毎日しているうちに体に染みついて、それが当たり前になっていた。「韓国の音」国楽に携わることに対する誇りが日増しに強くなっていった。のめり込めばのめり込むほど国楽の魅力が感じられ、辛くても耐えることができた。

송소희 양은 “한국의 소리, 국악을 하는 것에 큰 자부심을 느낀다”고 말한다. (사진: 전한 기자)

「“韓国の音”国楽に携わることに大きな誇りを感じている」と話すソンさん(写真:チョン・ハン記者)


‐声量豊かな伸びのある声を維持するために心がけていることは。

毎日のトレーニングだ。一日でも休むと、喉が詰まって声が出なくなってしまう。一度苦い経験をしているので、今は一日も休まずトレーニングをしている。また、喉の管理のために毎日スカーフを首に巻いて寝ている。一日でもそれを怠ると、翌日すぐ症状が現れる。多くのファンがスカーフをプレゼントしてくれる(笑)。

それから、梨汁をたくさん飲むようにしている。梨汁に強壮剤でも入れているのかと友人に聞かれるが、実際に強壮剤を入れた梨汁を飲んでいる。良い声を出すために腹式呼吸もしている。幼いときからずっと腹式呼吸をしているので、腹筋が割れてお腹の肉が硬くなった。上体を起こす腹筋運動をすると長く呼吸できると聞いて、毎日それをしている。

‐現在、6千人以上のファンクラブの会員を確保し、多数のCMやテレビのバラエティ番組に出演している。メディアを通して大衆に見てもらおうとする特別な理由は。

国楽を始めたときは、私も人間文化財になって、国楽が好きな人の前で公演する国楽のお決まりのコースを行くものだと思っていたが、それでは国楽を多くの人に聴いてもらうことはできない。多くの人に聴いてもらい、見てもらおうと、できるだけ多くのテレビ番組に出演するようにしている。個人的に人気者になりたいわけではなく、少しでも大衆に「国楽」を知ってほしいと思って出演している。

多くの人が応援してくれてとても感謝している。人気をそれほど実感できずにいたが、このごろ国楽公演を開けばマニアだけでなく、一般の人も多く見に来てくれて、国楽をもっと知ろうという人を目にするたびに「国楽が改めて注目され始めているな」と実感している。

‐両親に勧められたとしても、国楽にかける情熱と好きでたまらない思いがなければ続かないと思うが、国楽にのめり込んだのはなぜ。

両親と家族、そして友人が大きな支えになってくれた。彼らは、私よりも国楽に大きな誇りを持っている。友人たちはとても喜んでいるのに、「大衆が国楽に関心を持ってくれないといってあきらめることはできない」と思った。また、大衆が国楽に少しずつ心を開いてくれるのを感じるたびに力が湧いてくる。

국악을 하지 않는 자신의 삶은 상상할 수조차 없다고 말하는 송소희 양. (사진: 전한 기자)

「国楽と関係のない人生は想像すらできない」と話すソンさん(写真:チョン・ハン記者)


‐16日の2014年ソチ冬季パラリンピックの閉会式で、世界の人々が見つめる前で「アリラン」を歌う。今の心境は。また、世界の人々に伝えたいメッセージは。

大韓民国を代表して舞台に立つのは初めてだ。韓国の伝統音楽について全く知らない世界の人々が「私の音楽を聞いて何を感じるのだろう」と思うと、とてもワクワクする。とても緊張する。大韓民国を代表して閉会式の舞台に立つことはとても光栄なことなので、失敗は許されないというプレッシャーも感じる。次回の冬季五輪・パラリンピックの開催地が平昌であることを世界中に告げる。これ以上光栄なことはないと思う。

‐一番好きな曲は。どんなところが気に入っているか。また、普段聴いている曲は。

国楽もたくさん聴くが、最新のKポップもよく聴いている。勉強のために聴く音楽と好きで聴く音楽がある。最近は奚琴の音にはまっていて、奚琴奏者が演奏している音楽をよく聴いている。

一番よく聴くのは、奚琴奏者コッピョル(花星)の「比翼連里」だ。彼女の奚琴には豊かな感情が込められている。ぜひ一度聴いてほしい。きっと気に入るはずだ。

‐国楽が辛くてやめたいと思ったことは。

そんなことを考える余裕もなかった。ごく当たり前のことだったから。国楽と関係のない人生など想像もつかない。

舞台で歌うことがとても辛いことはあった。まだあまり知られていないとき、「次は国楽公演です」と司会者が紹介すると、国楽と聞いただけで席を立ったり、うんざりしている観客の姿を目にしたとき、「今日は歌うの嫌だな」と思ったことがある。でも、それはほんの一瞬だった。

‐10代の女の子にとって化粧や韓服は窮屈ではないか。

もうだいぶ慣れた。幼いときから着慣れている韓服のほうが洋服よりも楽だ。韓服のほうが、歌うときに手を動かしやすい。洋服だと手をどうしたら良いかわからないし、韓服だと脚が見えないから。

ショッピングが嫌いなので、普段は母が選んでくれた服を着ている。でも、韓服にはこだわりがあって、何でも良いというわけではなく、自分でカラーとデザインを選んでいる。

女の子らしくも気品のあるデザインが好きだ。韓服は、幼いときからずっと一人のデザイナーがデザインしたものだけ着ている。その方とデザインとカラーについて相談して決める。私がイメージしたデザインを描いてカラーを決め、それをその方に見せるといつもイメージ通りの韓服を仕上げてくださる。

‐あなたにとって国楽の最大の魅力とは。

国楽には他の音楽では感じられない胸にジーンと来る感動があり、誇りを感じさせる。

‐自分の声でぜひ挑戦してみたいことは。

国楽を誰もが楽しめる大衆的なものにするには、時代に合わせて変えていく必要があると思う。新しい国楽をつくり出すには西洋音楽を知ることも必要だと思って、チャングやケンガリ、伽耶琴といった伝統楽器だけでなく、ピアノやギターも習った。

伝統的な国楽にこだわるつもりもないし、無理に国楽を聴いてほしいとも思わない。国楽本来の味わいを生かしつつ、もっと豊かで洗練された、それでいて大衆的な国楽を目指したい。

作曲にも関心がある。まだ高校生なので勉強もしないといけないし、国楽のトレーニングもあって他のことには手が回らない状態だ。そんな中で作曲までしたら、すべて中途半端になって全部台無しにしてしまいそうなので、今はまだできないが、将来はぜひ作曲もしてみたい。

“국악에는 다른 음악에서는 느낄 수 없는 감동과 자부심이 있다”고 말하는 송소희 양. (사진: 전한 기자)

「国楽には他の音楽では感じられない感動と誇りがある」と話すソンさん(写真:チョン・ハン記者)


‐最後に、あなたにとって国楽とは。

よく聞かれる質問だが、そのたびに「ありふれた答えにならないようにするにはどうすれば良いか」と深く考えた。幼いときは、形式的だと思いつつ「国楽は私の運命」と答えていたが、今は心からそう思っている。国楽は私の運命だ。

私に国楽の素質があったとしても、両親がいち早く私の才能に気づいていなかったら、全国のど自慢に出場しなかったら、もし途中であきらめていたら、ここまで来ることはできなかった。そう考えると、間違いなく国楽は私の運命だと思う。

송소희 양이 코리아넷 독자들에게 보내는 메시지와 친필사인.

ソンさんがコリアネットの読者ために書いてくれたメッセージと直筆のサイン



コリアネット ソン・ジエ記者
jiae5853@korea.kr