ひと

2014.04.16

古今東西を問わず、美貌はすべての人が求める不変の価値だ。現代に入っても、美貌に対する関心は高まるばかりだ。経済的な余裕と社会関係の多様化に伴い、もっと自分をよく見せたいという欲求が強まっている。賛否両論はあるが、美貌を磨いて自分をよく見せることは、自分の価値を高めるための最も効果的な手段と認識されているからだ。誰でも一度は頭のてっぺんから足の先まで専門家のケアを受け、最高に美しくなった自分の姿を夢見たことがあるだろう。

そうした夢を現実にしてくれる専門ビューティショップが、流行の中心地、ソウル江南区にある。江南区の中でも流行の変化をリードする清潭洞で、頭のてっぺんから足の先まですべてのサービスをワンストップで提供する世界最大のトータル・ビューティショップ「ジュノ・ヘア」の代表店舗「アヴェニュー・ジュノ」だ。

청담동의 애브뉴 준오 매장 (사진: 준오헤어)

清潭洞のアヴェニュー・ジュノ(写真提供:ジュノ・ヘア)


2006年にオープンした清潭洞のアヴェニュー・ジュノは、地下1階~地上5階の空間で頭皮とヘアのスタイリングケアやメイクアップ、ネイルケア、スパサービスなど美容に関するあらゆるサービスを提供する。質が良くバラエティに富んだサービスだけではなく、内部の所々に施されたインテリアからも真心が感じられる。単なる「ヘアスタイルを整える場所」ではなく、顧客に憩いと幸福感を与えようというジュノ・ヘアの中核コンセプトが反映されている。1階にはコーヒーショップを髣髴させる大型のコーヒーメーカーとテーブルが置かれている。待ち時間に退屈しないよう、飲み物を飲んだり本を読んだりすることができる。5階の庭園につながる屋上では、時折パーティや公演が催される。

에브뉴준오에 헤어 (좌, 위), 메이크업 (우, 위), 스파 (좌, 아래) 서비스 시설과 편안히 대기할 수 있는 공간 (우, 아래)이 마련되어 있다. (사진: 준오헤어)

アヴェニュー・ジュノのヘア(左上)、メイクアップ(右上)、スパ(左下)のサービス施設と、待ち時間をゆったり過ごせるルーム(右下)(写真提供:ジュノ・ヘア)


「ジュノ(JUNO)」は、ギリシャ神話の中のゼウスの妻、ヘラ女神のローマ神話の表記で、「女神の中の女神」や「結婚の女神」など美しさを象徴する。最高の女神「ジュノ」の自信と誇りを提供しようという意志が込められている。

준오헤어의 강윤선 대표 (사진: 전한 기자)

ジュノ・ヘアのカン代表(写真:チョン・ハン記者)


アヴェニュー・ジュノのコンセプトとインテリアに関するすべてのアイデアは、CEOのカン・ユンソンさんの想像から生まれた。1982年に美容業界に足を踏み入れて以来、心の中に描いてきた夢をそのまま形に表したものだ。庶民の町であるソウル敦岩洞の小さな店舗で1号店を開いたカン代表は、約20年間にわたって自ら顧客のケアを行ってきた。現在は92の直営店を運営し、約2700人の従業員を雇用している。離職が多い美容業界で離職率が10%以下というほど、従業員同士の連帯感の強い職場として知られている。韓国の美容業界をリードするジュノ・ヘアのカン代表に話を聞いた。

Q. 大学での講義や経営、メセナ活動など目まぐるしく活動している。その原動力とは。

やりたいことをやっているからだ。誰かにやらされているのではなく、好きで好きでたまらなくて、幸せを感じられる仕事なので、毎日楽しくて仕方がない。

Q. 美容分野でキャリアを積むようになった背景は。

幼少時代は家が貧しかったので、自分にしかない技術があったほうが良いと思って美容を学び始めた。若いときに近所のある美容室に行ったときのことだ。近所の人が少しの間だけ荷物を預かってほしいと頼んできたが、店主はそれを断った。それを見て、「あの人には死ぬまで客がつかないだろう」と思った。顧客との交流って、大したことではない些細なことに気を配るだけで互いに通じ合えるのにと残念に思った。1982年に城北区敦岩洞にジュノ美容室1号店をオープンさせた。実は店を開く資金もなく、高利貸しから借金してやっとオープンした店だった。美容だけでなく、毎日違う人と会って言葉を交わし、その人たちを美しくしてあげることに幸せを感じていた。当時は一日がとても短く感じるほど、良い顧客に恵まれて仕事が楽しかった。夜遅い時間には、ヘアケアを終えて帰宅する顧客を近くの駅まで送ってあげたりもした。

Q. 1号店から92号店をオープンさせるまで、かなりの苦労と挫折があったと思う。それを乗り越えることができた要因は。

明確な目標意識だと思う。振り返ると、確かに苦労はあった。でも、それによって挫折したり、落胆したりすることはなかった。目標を成し遂げるという確固たる意志を持っていれば、この難関をいかに乗り越えようか考え、そのための計画を立てることに集中するので、挫折している暇などない。個人的には、ストレスがたまったときは従業員と話をするようにしている。彼らの夢と希望を聞けば、自分にも力とエネルギーが湧いてくる。

Q. 従業員に本を読ませる「読書経営」がジュノ・ヘアの大きな特徴の一つだ。単に美容技術だけを指導するのではなく、人格教育も行っている。学校や家庭がすべきことに敢えてこだわるわけは。

読書の重要性を一緒に共有したかった。貧しくて特別することがなかった幼少時代、家にあった数冊の本をよく読んだ。読書は私に「深く考えること」を教えてくれた。深く考えることで、理解の幅が広くなった。特別な労力を費やさなくてもエネルギーとアイデアを得られる最高の方法だと思う。顧客の気持ちを深く理解し、共感するためには読書が必要だ。そうした考えから従業員に本を読ませている。

"직원들의 성장 과정을 지켜보는 순간이 가장 행복하다"고 말하는 강윤선 대표. (사진: 전한 기자)

「従業員たちの成長過程を見守ることが何よりも幸せ」と話すカン代表(写真:チョン・ハン記者)


従業員全員で読む共通の本1冊を決め、毎月最終土曜日にその本について討論している。本を読んで思いついた新しいアイデアやそれをいかに活用するかなど、様々な意見を共有している。読書を楽しむよりも、手先を器用に使うことが好きな人たちが集まっているだけに、当初は従業員たちの不満が大きかった。でも、私の大きな長所の一つは、正しいと思ったことは粘り強く最後まで試みることだ。読書討論を始めてからもう20年近くになる。今では、話の幅が広がり、人との会話に自信が持てるようになったと、読書好きを自称する従業員が多くなった。将来の方向性について討論すると、従業員一人ひとりがオーナーシップを持っているようでとても嬉しくなる。また、新しいアイデアがどんどん出てきて、一層のサービス強化につながった。

Q. 離職率の高い美容業界で長期勤続者が多い。その秘訣は。

実際、10年以上働いた従業員が300人以上おり、その中に年収1億ウォンの従業員は約200人いる。自社運営するジュノ・ヘア・アカデミーで多様なプログラムを通じ、ヘアデザイン教育やリーダーシップ、サービス、トレンド、経営学など幅広く教育している。それを通じて彼らに希望を植え付け、モチベーションを与えている。彼らが職場でビジョンを感じれば、黙っていても愛社精神は生まれる。また、個人的に従業員の成長を見守ることに最高のやりがいと幸せを感じる。この幸福感と胸のトキメキは、他の仕事では決して感じられない。

에브뉴 준오 직원들이 헤어 관리에 집중하고 있다. (사진: 전한 기자)

アヴェニュー・ジュノの従業員たちがヘア管理に没頭している(写真:チョン・ハン記者)


Q. 美貌は古今東西を問わず誰もが求めるものだ。韓流ブームの広がりが美容分野でも感じられるか。

外国人顧客が徐々に増えている。中国人が一番多い。特に、明洞店は中国人顧客が最も多い。かつてはガイドと一緒に来店する外国人が多かったが、この頃は一人で来店する顧客が増えている。韓国語と韓国文化に慣れた外国人が多くなっている。韓国文化に対する関心が高まっていることを肌で感じている。

Q. 将来のジュノ・ヘアの姿が想像できない。将来はどんな姿になっていると思うか。

まず、アヴェニュー・ジュノの本社の近くに間もなく新しいアカデミービルが建てられる。専門デザイナーを養成するプログラムを主に実施してきたが、今後は運営範囲をもう少し広げるつもりだ。一般人や外国人も参加できる教育プログラムを計画している。また、9月頃にはベトナム・ハノイにジュノ・ヘア複合ビューティサロンが建設される予定で、力を入れている。

"다시 태어나도 미용 일을 선택하겠다"는 강윤선 대표. (사진: 전한 기자)

「もし生まれ変わったとしても、また美容の仕事に携わりたい」と話すカン代表(写真:チョン・ハン記者)


Q. 37年間にわたって美容に携わってきた。あなたにとって美容とは。

私の人生そのものだ。もし生まれ変わったとしても、また美容の仕事に携わると思う。

*ジュノ・ヘアのホームページ: http://www.junohair.com 

コリアネット イ・スンア記者
slee27@korea.kr