ひと

2014.07.02

グーグル・コリアは、昨年4月22日にホーム画面をリニューアルした。成人男性、緑色の恐竜の子ども、赤い鼻と金髪の宇宙人、ダチョウの子ども、そして小さな子どもが描かれている。

同社は、「韓国のアニメと大衆文化の歴史で重要な位置を占める“赤ちゃん恐竜ドゥーリー”の30回目の誕生日を記念し、アニメに登場するキャラクター“ドゥーリー”と天敵のコ・ギルドン、ドゥーリーの仲間のドーナー、トッチ、ヒドンが描かれたグーグルロゴを制作した」と発表した。

구글 코리아 로고를 장식한 둘리와 주요 등장인물들. 왼쪽부터 고길동, 둘리, 도우너, 또치, 희동이 (출처: 구글 코리아 페이스북)

リニューアルされたグーグル・コリアのロゴに登場するドゥーリーとキャラクターたち。左からコ・ギルドン、ドゥーリー、ドーナー、トッチ、ヒドン(出所:グーグル・コリア・フェイスブック)


「赤ちゃん恐竜ドゥーリー」は、韓国を代表する漫画・アニメだ。キム・スジョン画伯によるこの作品は、1983年4月から人気漫画月刊誌『宝島』に連載されて以来、爆発的な人気を集めてきた。

南極から流れてきた巨大な氷河の欠片が徐々に溶けてソウルの漢江に流れ込み、その氷河の中から恐竜の赤ちゃん「ドゥーリー」が誕生する。彼は、漢江沿いで二人の子ども(チョルスとヨンヒ)に発見され、彼らの家で一緒に暮らすことになる。ドゥーリーが気に食わない父親「コ・ギルドン」と事あるごとに言い争いになり、超能力でコ・ギルドンをアマゾンのジャングルに送ったり、恐竜にしたりするなど大騒動の連続だが、数人の仲間たちに出会い、ひとつ屋根の下で暮らすようになる。

둘리와 친구들은 숙적 고길동과 서로 티격태격하며 함께 생활한다. (둘리나라 제공)

ドゥーリーと仲間たちは、天敵のコ・キルドンと騒動を起こしながらひとつ屋根の下で暮らす(画像提供:ドゥーリー・ナラ)


시공간을 초월한 기상천외한 모험을 펼치는 둘리와 친구들. (둘리나라 제공)

時空を超越した奇想天外な冒険を繰り広げるドゥーリーと仲間たち(画像提供:ドゥーリー・ナラ)


2009년 TV 애니메이션으로 제작된 아기공룡 둘리 포스터 (둘리나라 제공)

2009年にテレビアニメとして制作された「赤ちゃん恐竜ドゥーリー」のポスター(提供:ドゥーリー・ナラ)


子ども宇宙人「ドーナー」、サーカス団を脱走してきたダチョウの子ども「トッチ」、歌手を夢見る浅黒い肌の「マイコル」、コ・ギルドンのおい「ヒドン」など、ドゥーリーと仲間たちの冒険は時空を超越する。彼らは行方不明のドゥーリーの母親を探しに宇宙の旅に出発し、そこでランプの妖精「ジニー」に出会う。エジプトではピラミッドの中でミイラたちと戦い、たまたま潜り込んだ地下の世界で冥土の使者に出会う。イイダコの王子やコーラ瓶の形をした宇宙人など、登場するキャラクターもとてもユニークだ。

彼らの冒険は多くの読者を魅了した。「赤ちゃん恐竜ドゥーリー」は、1987年に初めてアニメとして制作され、数多くの子どもをテレビの前に釘づけにした。それ以来、より多様な素材と発展した技術で続編と劇場版アニメが制作された。1999年に公開された劇場版アニメ「赤ちゃん恐竜ドゥーリー 氷星大冒険」とテレビアニメは、ドイツをはじめ欧州に輸出されて2桁の視聴率を記録し、中国、インドネシアにも輸出された。2009年には、テレビアニメとして制作・放映された。キャラクター商品やミュージカル作品、学習漫画なども制作され、多くの子どもたちを楽しませている。

쌍문동 겨울 밤하늘을 비행하는 둘리와 친구들. (둘리나라 제공)

双門洞の冬の夜空を飛行するドゥーリーと仲間たち(提供:ドゥーリー・ナラ)



「赤ちゃん恐竜ドゥーリー」は、韓国のアニメチャンネル3社が5月に実施したアンケート調査で、「韓国人が最も好む韓国のアニメ」の1位に選ばれた。比較的新しい作品で世界的に人気を集めている「ポンポン ポロロ」や「ロボカー・ポリー」などを退けた。

「最も韓国らしい内容で世界の人々を魅了したい」というキムさんは現在、カナダでドゥーリーの次のアニメ作品を構想中だ。コリアネットは、「永遠のドゥーリーのパパ」キムさんに、電子メールでインタビューした。

작업중인 김수정 화백의 모습. (사진: 손홍주)

作業するキムさん(写真:ソン・ホンジュ)


 
둘리의 원작자 김수정 화백 (사진: 손홍주)

「赤ちゃん恐竜ドゥーリー」の原作者のキム・スジョンさん(写真:ソン・ホンジュ)


- ドゥーリーは今年で31歳になったが、人気は相変わらずだ。長続きの秘訣とは。
そうだなあ…。返答に一番困る質問の一つだ。私たちの日常と密接に関係したストーリーのディテイルと多様なキャラクターではないかと思う。特に、食卓で繰り広げられる多くのハプニングは、まさに自分と家族との間でよくあることではないだろうか。そうした部分が長きにわたって読者に楽しさを与えているのだと思う。

- ドゥーリーを思いついたきっかけは。また、ドゥーリーが他の漫画と違う点は。
ドゥーリーを生み出したのは、当時の抑圧されていた社会だ。大人を大人とはいえず、子どもを子どもらしく描写できない審議規制が、児童向けのキャラクターとして動物を選択させ、動物をキャラクターにするのなら他の人が思いつかない変わったものにしようと思った。それで犬や猫といったありきたりな動物ではなく、数億万年前にさかのぼって恐竜の赤ちゃんを登場させることを思いついた。動物を選んだのは、人間の子どもをキャラクターにするよりも、動物を擬人化して子どもの世界を描写すれば、審議が多少甘くなることを知ったからだ。単に規制を避けるために設定したキャラクターが、これほどまでに反響を呼ぶとは思わなかった。でも、当時「ドゥーリー」といえば悪い漫画の代名詞とも言われたものだ。

- ドゥーリーを母親のいない恐竜の赤ちゃんに設定したのはなぜ。
数億万年前の世界から現代にタイムスリップするという設定なので、時空を超越して巨大な恐竜を登場させるには作家の力量に限界があった。ドゥーリーを1983年のソウルに登場させること一つでどれほど悩んだかわからない。「南極の氷河がソウルまで流れてくることはあり得るのか」や「氷河の中から出てきた恐竜の赤ちゃんが双門洞までどうやって行けるか」「コ・ギルドンはドゥーリーと和解するのか」などなど、多くのことを考え悩んだ。

- アニメ制作活動をする中で一番記憶に残っていること、もしくは一番嬉しかったことは。
「赤ちゃん恐竜ドゥーリー」が漫画月刊誌『宝島』に初めて連載され、輝ける作家らを抜いて6位にランクされたとき(読者が送った葉書の数で決定)、編集長がとても驚いていた。でも、私は別に驚かなかった。なぜなら、連載3回目になった号で1位になっていたからだ。そして、連載が終わるまで首席(?)の座を明け渡したことはほとんどなかった。とても嬉しかった。

また、教保文庫で初めて漫画家のサイン会を開いたとき、サインをもらおうという人で教保文庫の地下道から地上の李舜臣将軍像まで長蛇の列ができ、約1時間の予定だったサイン会が5時間近くもかかった。小指の下に真っ赤なあざができた。

- あなたの作品は、子どもの目線から見ても大人の目線から見てもそれぞれ違った意味があり、いまだにおもしろい。あなたの作品は大人向けか、それとも子ども向けか。
自分としては老若男女みんなに読んでほしい。漫画は年齢に関係なく、誰でも愉快に楽しめるものだと思うからだ。

- ドゥーリーの他にも数多くの作品がある。その中でドゥーリーの次に愛着が湧くキャラクターは。また、アニメとして制作したい作品は。
確かにドゥーリーの他にも多くのキャラクターがあり、全てのキャラクターに愛着を持っている。作品がヒットするヒットしないに関係なく、キャラクターの一つひとつを考えるたびに悩んで真心を注いだからだ。小手先で作った単なるキャラクターではなく、真心尽くして生んだ自分の子どもだと思っている。アニメとして制作すれば、どれもそれなりにおもしろいと思うが、今すぐ制作したいと思うのは、「7本の指」と「アリアリ・ドンドン」だ。

- ドゥーリーのテレビアニメと劇場版がドイツをはじめ欧州に輸出され、高い人気を得ている。ドゥーリーが海外でも支持されるのはなぜだと思うか。
漫画やアニメを見る感性は、東洋も西洋も違いはないようだ。私たちが涙すれば彼らも涙し、彼らが笑顔になれば私たちも笑顔になるように、多少の文化の違いはあっても結局はみんな同じ人間なのだから。

- 書店の子ども教育コーナーでは、漢字や歴史などを学べるドゥーリーの漫画が見られる。拡張したい分野は。
そうだなあ…。様々な分野に拡張するのも良いが、今はディテイルとクオリティで真にレベルの高い作品を制作したい。

- ドゥーリーをはじめ多くの作品のアイデアが思い浮かぶのはどこ。
アイデアは、自分を含めた周りの人の話、それから本やメディアなど広範囲から得るように努めている。どんな些細なことも見逃さないようにしている。

- ドゥーリー博物館が来年早々完成するそうだが、それを通じて追求すること、望むことは。
ドゥーリーの故郷、つまりドゥーリーの活動舞台は「双門洞」だ。住民は素朴で住みやすい場所だが、他の地域に比べ文化的恩恵は少ない方だ。そこにドゥーリー・ミュージアムが建てられる。道峰区とソウル市が積極的に支援してくれている。地元の人の誇りに満ちた文化施設にしたい。ドゥーリーの生涯の一代記を示すことで、単に空想の中のキャラクターではなく、自分と同じ空間で、一緒に呼吸し、日常を語り、みんなが支え合い、互いに癒し合える希望の場所にしたい。

- あなたにとって漫画・アニメとは。
コリアネット ユン・ソジョン記者
arete@korea.kr