世界に広がっている新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ19)。韓国政府や韓国国民がこれまで助け合い、寄り添い合ってコロナ19を乗り越えようとするエピソードを描いた動画「韓国は不思議な国?」がネットで話題となっている。その不思議な国で活動している不思議な人々。彼らの不思議な話に耳を傾けてみよう。
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4月23日に行われたコリアネットのインタビューに応じている手話通訳者の高恩美さん=キム・シュンジュ撮影
[清州=イ・ギョンミ]
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、韓国政府は、韓国における新型コロナウイルス情報を国民に伝えるため、一日2回にわたって定例会見を開いている。
一日も欠かさず毎日行われるこの会見で、担当者の横でマスクも着用せずに一生懸命に手と顔を動かしている人がいる。
定例会見の内容を、耳が不自由な人たちに伝える手話通訳者の高恩美(コ・ウンミ)さんは、自分がマスクをしない理由についてこう語る。
「手話をする際は、手話と共に表情や口の動きなどを交えて伝える必要がある。そのため、マスクを外さなくてはいけない」
4月23日、午後の定例会見が終わった後、あるカフェでコリアネットのインタビューに応じた高さん。最近、とても忙しい毎日を送っているそうだ。会見が行われるソウル・世宗(セジョン)市・清州(チョンジュ)市を行き来するだけでなく、正確な通訳のために準備しなくてはいけないことがたくさんあるからである。
「会見の前に資料が渡されるのではなく、リアルタイムで内容を通訳する。だから、会見の前後も、新型コロナに関する記事や資料を読むなどの努力が必要だ。最近は、外国の報道陣からの質問も増えているので、ユーチューブなどで海外のニュースも把握しないといけない」
一生懸命に準備しても、予想できない状況も発生する。高さんは、会見で新型コロナに関する新薬の名前が出てきた瞬間を思い出すと、今もくらっとするという。初めて聞くの単語ばかりで、とっさに指文字(手話の一つで、ハングルやアルファベット、数字を指で表すこと)で通訳したが、きちんと通訳できなかったという思いから、苦しかったという。
自信がなくなる瞬間もあるが、応援のメッセージを受けると、力が出るという。また、「手話通訳が、耳の不自由な人たちの役に立っているという話を聞くと、やりがいを感じる」とし、もっと上手に通訳したいと話した。
新型コロナウイルスに関する韓国政府の定例会見=疾病管理本部のユーチューブキャプチャー
少し前まで韓国政府は、政策発表や祝日のイベントなど、政府公式の行事で手話通訳を提供していなかった。しかし、文化体育観光部が去年12月2日から、政府の重要政策発表会の手話通訳を支援している。
「これまでは、耳が不自由な人たちが分かりにくいほど、手話通訳が出る画面が小さかった。でも、今は、手話通訳者と発言者が同じ大きさで出てくるので、すぐ理解できるという。彼らの言語である手話が尊重されていると感じるそうだ」
新型コロナが早く終息して、元の生活に戻りたいという高さんは、最後にこう語った。
「私はボランティアをしているわけではない。ただ、言語を伝える役割を果たしているだけだ。英語、日本語、中国語などの外国語のように、手話も一つの言語として考えてほしい」
km137426@korea.kr