科学技術

2020.06.30

世界で新型コロナウイルス感染症が拡大している中、韓国の感染症対策(K防疫)が注目を集めている。その背景には、K防疫をリードする韓国企業がある。

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株式会社高麗技研の代表を務める李沅泰さん=12日、ソウル、キム・シュンジュ撮影


[ソウル=ソ・エヨン、キム・ウニョン]

医療陣が公衆電話ボックスの形をした透明の検査ブースに入り、手袋を着け、感染の疑いのある人の検体を採取する。検査時間は約7分。


医療陣の安全を最優先に考える。

「韓国型ウォークスルー(Kウォークスルー)」は、医療陣と被検査者(患者)の相互感染を防ぐ検査用ブースで、株式会社高麗技研(KOREA KIYON)が開発した。医療陣への飛沫感染のリスクが軽減され、患者の待ち時間も短縮できる。

釜山市の南区保健所で働いている医療陣がアイデアを出し、開発につながった。これまでは、患者が検査用ブースに入り、外部に漏れ出さないように飛沫を閉じ込める陰圧式だった。検査にかかる時間よりも、検査が終わるたびに行う消毒作業のほうに時間と手間がかかった。

高麗技研は、この短所を踏まえ、陰圧・陽圧式が変換できるブースを作った。これが「Kウォークスルー」の原理。

高麗技研の代表を務める李沅泰(イ・ウォンテ)さんは、Kウォークスルーについて、「医療陣と患者との空間を分離している」とし、「グローブを消毒すれば、次の検査を行うことができる」と話した。「診断の効率性を高めるとともに、医療陣の疲労度を軽減する効果がある」とし、「一日、約80~150人まで検査ができる」と説明。


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釜山市の南区保健所に設置されている「Kウォークスルー」=釜山市


韓国の感染対策モデルを世界標準にする。

高麗技研は1985年に設立され、科学・電子・エネルギー分野での必須装備として知られているグローブボックスを製造し、大学・企業・研究所に供給している。社員50人以下の中小企業だが、2019年の売り上げが130億ウォン(約13億円)に上る。

また、技術力と効用性が検証され、韓国国内70カ所の保健所に設置されている。政府挙げての支援により「K-ウォークスルー」というブランド名で日本、タイなど8カ国に52台(計43万ドル)を輸出している。現在、ロシアとカザフスタンへの輸出も検討している。

李さんは、国家支援が輸出を強化したと強調。「国際旅客便の運航が大きく減り、運送コストが高くなっているが、政府の取り組みにより、輸出に支障はない」と述べた。

高麗技研は、K防疫を世界標準にすることを目指していて、政府が行っている品質検証やテスト方法などのプロジェクトに参加している。

李さんは、「自動消毒・診断キット企業と協力し、新たな感染症対策を模索している」とし、「ほかの感染症にも適用できる装備を開発したい」と目標を語った。


xuaiy@korea.kr