名誉記者団

2018.03.28

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[ソウル=登久美子(日本)]
[写真=登久美子]

仁寺洞の雑貨店で見つけた、見覚えのある緑色の球体。マリモです。

一緒に雑貨店を見ていた韓国の記者に「マリモは日本のものですか?」と訊かれたので、「はい、藻類で、生きているから大きくなりますよ」と言うと、目を丸くして「生きているの!?」と驚いていました。丸くてカラフルなビーズの上に転がるマリモ、特に鳴くわけでもなく、逃げ出そうと暴れることもなく、可愛らしい藻類です。

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店を入ってすぐ左手側、少し奥まった広いスペースで売られていました。店内を歩く客が次々と足を止めて見入っては瓶を手に取る。最初は何だろうと不思議そうに見ている人も瓶を見つめてフッと笑顔になります。インテリアとして買っていく人も多いのだとか。

確かに日本でもペット、というよりは観賞用水草のように窓辺に置いて愛でるもの、という印象があります。日本ではお土産などでマリモを販売する店は非常に多く、今回のようにカラフルなビーズと共に瓶で販売されたり、コルク栓の小さな瓶の中に星砂とマリモが入っていたり、はたまた缶詰で販売されるマリモもあります。マリモの生体ではありませんが、マリモがモデルになったお土産キャラクターが流行するなど、日本人にとってマリモは身近な藻類の一つだと言えます。

マリモはどうして人々の心を掴むのでしょうか。私はその形に秘密があるのではと思います。もしマリモが球体ではなく例えば三角柱であったなら、「可愛い」ではなく神秘の対象になりそうですし、直方体なら生体に見えずに通り過ぎてしまうかもしれません。そもそもマリモのマリはボールの毬から来ている言葉ということで名前自体が「カクモ」になってしまいます。球体だから可愛いのです。

日本国内に生息するマリモは北海道の阿寒湖が特に有名ですが、青森県や山梨県、滋賀県の琵琶湖でも見つかっているそうです。海外でもアイスランドのミーヴァトン湖を始め寒い地域の湖での観測例があるそうですが、最近のDNA研究では海外のマリモは全て日本にルーツを持つのではないか、と発表されています。非常に興味深い。約13万年前、渡り鳥のフンに混じって運ばれたのではないかと見られています。

ここの売り場で一番面白かったのは、一番左にある値札に、귀여움이 세상을 지배한닷!!!!(可愛さが世界を支配するっ!!!!)と書いてあったポップ。ユーモアたっぷりで店員さんのセンスが感じられるポップでした。確かに瓶や中身のビーズの色もSNSで映えそう。

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このテレビやポップを見ると、マリモは「幸運の植物」として売られています。マリモの気分が良いときは水面に浮かんでくるのだとか。 調べてみると、マリモが水面に浮くこと自体は珍しくないそうです。

光合成により酸素が発生した際、その酸素の気泡がマリモの球体につき、浮力が大きくなって浮く。ということは、光合成を活発にさせればマリモが浮く(ひいては幸運になる)ということですよね。これから夏至に向かって太陽高度が高くなる季節、マリモが水面まで浮く機会が増えていくのではないでしょうか。

次マリモを買ったら天気の良い日にマリモの瓶を太陽光に晒してみます。ただしマリモは高温に弱いので、室内で太陽光に晒す場合はご注意下さい。

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今回売り場を一通り見ていて、今まで私はマリモを「可愛い形をした藻類」と見ていましたが、韓国では「幸運の植物」という観点が強いように思いました。水面に浮くこと自体、思ってもみませんでした。人々を幸せにする可愛さ。幸せと可愛さの組み合わせは最強です。

子供の頃、富士五湖に行ったお土産で小さな瓶に入ったマリモを買ったことを思い出しました。世界を支配する可愛さ、寒い湖からじわりじわり侵略しています。

この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

km137426@korea.kr