科学技術

2016.02.11

アルファゴーと樊麾2段の対局はグーグル・ディープマインドのオフィシャルユーチューブチャンネルで観られる。写真は、アルファゴーと樊麾2段の対決の動画をキャプチャーしたもの

囲碁の世界王者イ・セドル9段は3月9日に、グーグルが開発した人工知能(AI)プログラム「アルファゴー(AlphaGo)」との対局を控えている。

囲碁の世界王者の座をかけて繰り広げられる今回の人間と人工知能の対決は、イ・セドル9段が欧州王者の樊麾(はんき、Fan Hui/中国)2段を打ち負かせたアルファゴーの挑戦を受け入れたことで成立した。イ・セドル9段は1995年に12歳で入段し、2000年に32連勝という大記録とともに国際棋戦で15回もの優勝を勝ち取った最強の棋士だ。

イ・セドル9段は1月、英科学誌ネイチャーとのインタビューで「グーグルのディープマインドが開発した人工知能と対決できて光栄だ。囲碁史における重要な試合と考えて挑戦を受け入れた。勝つ自身はある」と語った。

5回にわたる対決で勝負を決める今回の対局は、3月9日にソウルでの第1局を幕開けとし、10日・12日・13日・15日と順に行われる。全対局がユーチューブで生中継される今回の勝負には、100万ドルの賞金がかけられている。

イ・セドル9段と対決を繰り広げるアルファゴーは、グーグル・ディープマインドの開発者らが入力した対局3000万回分の棋譜を基に自ら学習して囲碁を習った人工知能。今回の対決に先立ち、アルファゴーは 樊麾2段との対決で5戦全勝の成績を収めた。

アルファゴーと樊麾2段の対局はグーグル・ディープマインドのオフィシャルユーチューブチャンネルで観られる。写真は、アルファゴーと樊麾2段の対決の動画をキャプチャーしたもの

アルファゴーと樊麾2段の対局はグーグル・ディープマインドのオフィシャルユーチューブチャンネルで観られる。写真は、アルファゴーと樊麾2段の対決の動画をキャプチャーしたもの


囲碁における碁石の配置や勝負の結果は、全宇宙の原子の数よりも多い10の170乗にも上る。そのため囲碁は、プログラムを基盤とするコンピューターにとって経験と直感で囲碁を打つ人間に勝てない領域とされていた。今回対決に挑むアルファゴーは、従来のコンピューターが囲碁のルールと入力されたデータを無作為に検索していたのとは違って、まず予想される確立を選定し、可能性の高い一手を選ぶそうだ。

反復的な学習と訓練を通じて人間の打つ一手を44~57%の確立で予測可能となったアルファゴーについて、グーグル・ディープマインドのデミス・ハサビスCEOは今回の対決の勝率は50対50と予想していると語った。

記事:コリアネット イ・ハナ記者
写真:聯合ニュース
hlee10@korea.kr