経済

2014.04.23

米を主食とする韓国人にとって、電気炊飯器は生活に欠かせない必需品だ。かつては鉄の釜でご飯を炊いていたが、やがて電気炊飯器で炊かれるようになった。数十年前まで、韓国人は海外旅行の機会があると、日本の「象印」の電気炊飯器を買ってきたものだった。当時日本製の電気炊飯器は、韓国人の憧れの対象だった。

しかし、今ではそうした現象はすっかり見られなくなった。韓国人は自国製の電気炊飯器でご飯を炊いている。この電気炊飯器は、音声機能があり、ご飯の風味を最大限に生かす様々な技術で、玄米や白米など消費者の多様な好みに合ったご飯を炊くことができる。ご飯の他にも米で作れるお粥やパン、餅、さらに小麦粉で作るパンやケーキ、ひいては参鶏湯やカルビチムなど手の込んだ難しい料理もボタンの操作で調理することができる。料理が不得意な人にはとても頼もしい存在だ。

この製品は、日本ではなく韓国のクック電子が製造した「クック炊飯器」だ。クック電子の2013年の電気炊飯器の国内シェアは70%を超える。昨年の売上高は5087億ウォンだ。「クック炊飯器」は、2001年の米国進出を皮切りに、現在は中国やベトナム、ロシアなど約30カ国に輸出されている。中国だけでも約800の売場で販売されているほか、ベトナムやミャンマーなど東南アジア諸国にも直営のサービスセンターと販売店を設置して裾野を拡大している。

쿠쿠밥솥은 베트남에서 프리미엄 브랜드로 인기를 누리고 있다.

「クック炊飯器」は、ベトナムでプレミアム・ブレンドとして人気を集めている


베트남에서 진행되고 있는 쿠쿠밥솥 제품 시연회

ベトナムで行われた「クック炊飯器」のデモンストレーションの様子


国内の免税店と百貨店の売場では、「クック炊飯器」を求めるアジア圏の観光客をよく見かける。「クック炊飯器」は、中国語はじめ該当国の言語での音声対応機能とディスプレー画面を備え、現地の料理を調理できる製品として発売された。2014年1月には、中国人観光客がいっせいに韓国を訪れる春節に合わせ、中国人が好む赤の「クック炊飯器(CRP‐T1085F)」を発売した。実際に昨年10月1日から7日間の国慶節の連休期間中に韓国を訪れた中国人観光客は、韓国の電気炊飯器に高い関心を見せた。同時期の国内の主要免税店と家電製品の売場の売上は前年比140%増だった。

「クック炊飯器」がこれほど人気を博しているのは、徹底した現地化戦略が功を奏したからだ。現地の言語で提供される音声案内機能はもとより、説明書には現地でよく作られる料理の調理方法をその国の言語で紹介するとともに、自動化メニューに入力させている。例えば、中国やロシアへの輸出モデルは、ユーザーが自動化メニューで食材を入れてメニューを入力すれば、自動的に適切な時間と圧力が設定され、料理が行われる。韓国風のお粥に比べて水分の多い中国風のお粥や温めた牛乳で調理するロシア料理「メドゥレンノバルカ」などを自動メニューで作ることができる。ベトナムの輸出モデルは、蒸し機能でベトナム風スチームチキン(Gà Vườn Mai)などいろいろな蒸し料理を作ることができる。特に、インドネシアやベトナムなどのように、主にベトナム米(ご飯粒がまとまらない米)を利用する国に合わせ、ご飯を炊いたときにご飯の粒がまとまるのを相対的に抑え、その国の気温や湿度など環境的な要素を考慮して保温の温度が調節されている。

쿠쿠전자 연구원들이 밥솥제품으로 지은 밥의 상태를 살펴보고 있다.

クック電子の研究員らが炊飯器で炊かれたご飯の状態を観察している


最近では米を主食としない欧州諸国を対象に、圧力を活用して様々な料理を調理できる「マルチクッカー」も登場した。この製品は、スチームを利用した蒸し機能、炒め機能、オーブンといった機能をすべて備えている。この製品は、特にロシアやスペインなどで高い関心を集めている。こうして世界の人々の好みに合わせるための取り組みが絶え間なく行われている。

러시아 한 가전제품 매장에 진열된 쿠쿠 멀티쿠커

ロシアのある家電製品の売場に並ぶクック電子の「マルチクッカー」


コリアネット ユン・ソジョン記者
arete@korea.kr