文化

2018.12.14

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(左下から時計回りで)ホンオフェ、キムチ、茹で豚を一緒に食べる料理を三合と呼ぶ。ホンオフェの値段が高いため、一緒に食べる習慣から由来した=木浦市

(左下から時計回りで)ホンオフェ、キムチ、茹で豚を一緒に食べる料理を三合と呼ぶ。ホンオフェの値段が高いため、一緒に食べる習慣から由来した=木浦市



[木浦=キム・ウニョン、カン・ガヒ]

発酵させた豆腐を揚げた中国料理「臭豆腐」、ニシンを発酵させたスウェーデン料理「シュールストレミング」、チーズにビールをかけて発酵させたフランス料理「ビュー・ブローニュチーズ」。

これらは、世界最強の強烈な匂いがするが、その匂いが忘れられるほどの最強の味を持つという共通点がある。モクバン(グルメ番組)の国である韓国にもある。「ホンオフェ(エイを発酵させた刺身)」のことだ。

「ホンオフェ」の匂いは、何カ月くらい掃除していない公衆トイレを連想させるアンモニア臭。大体の人は、食べる気がしない。吐き気になる人もいる。しかし、口に入れたとたん、ミント飴を食べたようにすっとする。食感が面白い。柔らかくてこりこりとした骨を噛めば噛むほど、さっぱりとした風味が徐々に引き立つ。ある人は、この味と匂いが忘れられなくて、再び訪問する。

 「ホンオフェ」は、高麗時代から食べ始めたと推定される。高麗末期に侵略が多かったため、全羅南道(チョルラナムド)の黒山島(フクサンド)の住民らは、地域名物の「ホンオ」を持って羅州(ナジュ)市に移動した。15日ほどの遠距離で「ホンオ」が発酵してしまった。捨てるのがもったいないと思って味見したことが、今まで引き継がれている。現在は、羅州市と木浦(モッポ)市に、ホンオ市場やホンオ通りがあるほどだ。

強烈な匂いにもかかわらず「ホンオフェ」を食べる理由は、一体何だろう。その答えは「発酵」にある。微生物によって行われる発酵は、食品本来にない「味」や「匂い」を作り出し、栄養価を高める。

お肉や果物は、腐りかけが一番美味しいと言われている。発酵が進んでいるお肉から出る酵素は、タンパク質を徐々に分解し、風味を引き立たせる。一カ月くらい発酵させた「ホンオフェ」も同じ。発酵させればさせるほど、その風味が引き立つ。もちろん、尿素も分解されてアンモニア臭が強くなるけど。

発酵食品の魅力として知られている「旨味」は、中毒性がある。「ホンオフェ」もそうだ。

朝鮮後期の学者の丁若銓(チョン・ヤクジョン)が書いた水産物報告書「茲山魚譜」によると、ホンオを発酵させると出てくる要素は、元気を取り戻せる効果がある。また、消化を促すとの内容が記録されている。

このような理由で「ホンオフェ」は、味と栄養の面で素晴らしい。一つ気になるのは、服に染み込むほど強烈な匂いだけ。

ある人は、この匂いに耐えず目標に辿りつけない。だが、ある人は、その瞬間に耐えて最高の味が味わえる。究極の味を求める人、悪臭に耐えろ!

eykim86@korea.kr