文化

2024.04.26

博物館は、国の歴史や文化が生き残っており、過去・現在・未来が共存する場所だ。また、国の文化水準を確認できる場所でもある。KOREA.netは、全国各地にある国立博物館の中から6カ所を選定し、絶対に見逃してはいけない代表所蔵品を紹介する記事を連載する。今回は、忠清南道西部地域の先史文化と百済の文化遺産がよくわかる国立扶余(プヨ)博物館を取り上げる。

1996年に国宝として指定された百済金銅大香炉。神仙が住む世界である博山を表した6世紀前半に製作された他の遺物に比べ、洗練されている=チェ・ジヌ

1996年に国宝として指定された百済金銅大香炉。神仙が住む世界である博山を表した6世紀前半に製作された他の遺物に比べ、洗練されている=チェ・ジヌ


[プヨ=ホン・アンジ、チェ・ジヌ]

1.百済文化遺産の花、「百済金銅大香炉」

百済金銅大香炉には、想像の中の動物と様々な人物が一緒に登場する。百済金銅大香の上部にある鳳凰は、「想像の鳥」として「安寧」を意味する=チェ・ジヌ

百済金銅大香炉には、想像の中の動物と様々な人物が一緒に登場する。百済金銅大香の上部にある鳳凰は、「想像の鳥」として「安寧」を意味する=チェ・ジヌ

国立扶余(プヨ)博物館第2展示室の最後には、暗闇の中でひときわ輝く遺物がある。百済金銅大香炉だ。「百済文化遺産の花」とも呼ばれる百済金属工芸の最高傑作である。

高さは61.8センチ。無限の想像力を発揮し、百済(ペクチェ)人の理想の世界をリアルに表現した。 再生と永遠の生命力を意味する蓮の花と、神山のモチーフである仏事と永生とが絶妙に結びつかせ、永遠の生命を表した。

全体的には、いろんな人物や想像の中の動物など、80点余りの彫刻がバランスよく配置されている。香炉台には、龍が胴体の蓮の花をくわえ、空高く舞い上がる様子を表した。

胴体には、満開の蓮の花を連想させる花びらをグルグルと3段で回しながら刻んだ。蓮の葉の間と表面には、不死鳥、魚、鹿、鶴など25匹の動物と2人の仙人が登場する。胴体に彫刻された動物の種類は、鳥が12羽で最も多い。

金銅大香炉の蓋である山の峰には、山の中に住む動物や空を飛ぶ鳥が彫刻されている。眺めているとまるで仙人になったような気がする。頂上には、そっと舞い降りてきた鳳凰がすました顔をしている。

国立扶余博物館の申敏澈(シン・ミンチョル)学芸研究員は「生物が生きているかのような表現と山頂と山頂をつなぐ主脈ラインが不思議なくらい調和していて、違和感がない」として「これは古代人が想像の世界を表そうとしたものであることがわかる」と説明した。

百済金銅大香炉は1993年12月12日、百済王の墓として知られている扶余王陵園(扶余・陵山里古墳群)の西の谷間にある陵山里の寺跡で発掘された。海外展示のために国外に搬出されたことは一度もないという。

シン学芸研究員は「多くの人に扶余博物館を訪ねてもらい、香炉を直接目にしてほしい」と伝えた。

2.百済末期の優れた仏像、金銅観音菩薩立像

シン学芸研究員は金銅観音菩薩立像のあだ名が「ミス百済」だと教えてくれた。ポーズ表情が美人大会のミスコリアのように見えるからことからつけられたあだ名だと言った=チェ・ジヌ

シン学芸研究員は金銅観音菩薩立像のあだ名が「ミス百済」だと教えてくれた。ポーズ表情が美人大会のミスコリアのように見えるからことからつけられたあだ名だと言った=チェ・ジヌ


博物館の第3展示室には、美しく小さい菩薩が展示されている。ふっくらとした顔に穏やかな表情の金銅観音菩薩立像だ。1997年1月1日、国宝として指定された。

21.1センチの金銅観音菩薩立像は、左手の親指と人差し指で布の裾をそっとつまみ、右手の親指と人差し指では小さな玉を握っている。表現が非常に自然で美しい。

シン学芸研究員は「穏やかな表情と自然な姿勢、なめらかに流れ落ちる布の裾、小さな玉と布衣を握っている指の繊細な表現など、百済の彫刻の素晴らしさを見せてくれる」と説明した。

既存の百済仏像とは異なり、身体の比例が浮彫から丸彫に変わったのが目につく。その前までは仏像の裏側はまとめて製作したが、金銅観音菩薩立像からは後ろ姿も非常に繊細に作業したそうだ。

そのためか、菩薩像の腕と胴体がはなれており、立体感があった。鋳造技術の発展がうかがえた。

3.世界で最も美しい装飾レンガ, 山水鳳凰模様のレンガ

長さ29センチ、厚さ4センチの正方形をしている山水鳳凰模様のレンガ=国立扶余博物館

長さ29センチ、厚さ4センチの正方形をしている山水鳳凰模様のレンガ=国立扶余博物館

博物館の第3展示室に入ると、また別の遺物が目を引く。山水鳳凰模様のレンガだ。「世界で最も美しい装飾レンガ」とよばれる文様レンガ8種のうち一つだ。

山水鳳凰柄のレンガは長さ29センチ、厚さ4センチの正方形だ。縁起のいい雲、3段となる峰と岩が調和した山岳、流れる水など、自然の景色を盛り込んだ。叙情的な雰囲気とともに絵を見ているかのような気がする。山の上に鳳凰が座っている百済金銅大香炉が思い浮かぶ。

シン学芸研究員は「山水鳳凰模様のレンガは簡潔でバランスが取れている。構図からの安定感や百済特有の緩やかさがうかがえる」と評価した。

ほとんどの文様レンガは国立扶余博物館が所蔵している。宝物として指定された8点の文様のレンガは、現在、国立中央博物館の百済室にある。

国立扶余博物館をさらに楽しもう

- 博物館を訪れて百済人の世界観を感じてみよう。蓮の花の香りや百済金銅大香炉をはじめ、百済人が夢見た理想の世界を表現したレーザーショーが、常設展示室のロビーで毎日行われる。日程などの詳細は国立扶余博物館のホームページ(http://buyeo.museum.go.kr/content.do?key=2302160002)で確認できる。

- 博物館をより便利に楽しんでもらうために「百済を実感する」という憩いの場も用意した。韓国の伝統的な縁側と縁台をモチーフに、デジタルで表した空間だ。長さ12メートル、高さ2.4メートルの大型発光ダイオード(LED)画面で、扶余の窺岩(キュアム)で出土された金銅観音菩薩立像、百済金銅大香炉、王興寺址(ワンフンサジ)舎利器、扶余外里遺跡など百済文樣塼を活用した映像を見ながら休息できる。

- 博物館のあちこちにあるユニークな遺物を探してみるのもおススメだ。SNSで話題になったおまるの「虎子(ホジャ)」もこの一つだ。


shong9412@korea.kr

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