名誉記者団

2018.04.24

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韓国側で見た板門店の北朝鮮側施設「統一閣」=18日、ゾン・ハン撮影



[坡州=登久美子(日本)]

4月27日(金)、2018南北首脳会談が予定されています。
南北首脳会談が開催されることを聞いたときに、北朝鮮を目の当たりにしたある場所を思い出しました。

4年前の夏にソウルを旅した際、バスツアーを利用して板門店と都羅山展望台を訪れました。バスの中では北朝鮮の人々の暮らしぶり、兵役の話などがありました。中でもよく覚えているのが、北朝鮮では男女ともに徴兵制があり、男性が10年間、女性が7年間という期間です。日本には徴兵制は男女ともにありませんし、ましてや女性が7年間というのは同じ女性として複雑な気分になりました。

バスを乗り換えて板門店に近づくと、次第に周りの景色が物々しく変わっていきました。地雷に注意するよう促す標識がいくつもあり、道路脇には常に有刺鉄線。バスの中にも緊張した空気が漂っていました。

最初に板門店を訪れ、やってはいけないことや有事の際の注意事項を何度も確認し、いざ平和の家へ。その日は雨が降っていて視界も悪かったのですが、銃に見間違う事故も懸念されるため、傘は差さずに雨合羽を着たまま歩いて行きました。私語は一切厳禁で、張り詰めた空気の中に響くのは靴音だけ。薄暗い階段を上がり屋外に出ると、映画で観た板門店の景色が目の前に広がっていました。ちょうどその頃、何度も観ていた映画「JSA」そのままの景色。青色の会議室の奥に見えた北朝鮮側の施設、板門閣には数名の北朝鮮兵がおり、私たちツアー客の動向をじっと見つめていました。圧倒されたままの私も説明が始まると我に返り、一通り板門閣を遠目で見た後に記念撮影をし、バスに戻りました。

その後、ツアーは都羅山展望台へ。まずは都羅山駅で京義線の説明がありました。2002年開業とのことでしたが、まだ新築のように綺麗な都羅山駅の改札を見学してから、都羅山展望台で北朝鮮側の村であるキジョンドン村を見学しました。事前にキジョンドン村は宣伝村であるという説明がありましたが、確かに人の気配は全くなく、きれいな団地と整備された田畑、大きくはためく北朝鮮の国旗が違和感を発していました。展望台にはカメラで撮影してはいけないエリアに線が引かれていてキジョンドン村を写真に撮ることは許されませんでしたが、有料の望遠鏡で建物の中まである程度見ることができました。

都羅山駅のすぐ横にひょうたんがたわわに実った木があったのですが、いつの間にか上がった雨とその丸々としたひょうたんの実が今でも記憶に残っています。

また、2年前の夏に江原道束草を旅した際、私は路線バスとタクシーを乗り継いで統一展望台に行きました。統一展望台は板門店の時と違い韓国国籍を持つ方も行けるということで、張り詰めた空気はあまりなく、どちらかというと行きやすい場所でした。不謹慎な言い方かもしれませんが、お土産屋や露店も数多くあるので子供も飽きない場所だと思います。タクシーの運転手さんに連れられて場違いなサンダルで山を登っていくと、辿り着いた展望台から見えたのは人の気配が全くない殺風景な北朝鮮の風景。見渡す限り山と木、そして野鳥。唯一人工的なものは舗装されたアスファルトの道路だけで、その道路にも通る車が1台もありませんでした。近くて遠い国。車の往来があればまた印象は変わったのかもしれませんが、その風景が今でも脳裏に焼き付いています。

実は、束草の旅行の際にもう1カ所行きたかった場所があります。それは北朝鮮の金剛山。以前は韓国側から行くことができたけれど今は行けないということで、いつか必ず行きたい場所です。滝壺に向かって大きくうねった九龍の滝、どこまでも穏やかな三日浦の水面。残念ながらネット上にアップされている写真を見ることしかできませんが、統一展望台の風景のように自分の目で脳裏に焼き付けたい。自分の足で歩いて行きたい。近いうちにパスポートを持って気軽に観光できる日が来るよう願っています。またその時には都羅山駅で切符を買って、車窓から流れるひょうたんの実を見ながら北朝鮮側に電車で行くこともできるようになっているかもしれません。

4月27日に予定されている南北首脳会談、全てを一気に解決するウルトラCはあるのかわかりませんが、何とかないものか、今日もニュースを確認しています。

この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

eykim86@korea.kr