名誉記者団

2020.03.27

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BTSのニューアルバム『MAP OF THE SOUL : 7』



[ソウル=登久美子(日本)]
[写真=BigHitエンターテインメント]

2020年2月28日、BTSのニューアルバム『MAP OF THE SOUL : 7』のタイトル曲、『ON』のミュージックビデオが公開されました。これは、とにかく凄い。動画をスマートフォンで観ましたが、スマートフォンの長方形では足りないくらいにスケールが大きい。6分弱のクライマックスまで一気に観ました。

まるで映画のように幻想的なミュージックビデオは、荒廃した戦場で1羽の傷ついた白いハトをジンが見つけるところからスタートします。途中には、動物たちと舟というノアの方舟を思わせるようなシーン、ジョングクが何かから逃げるように走り続けるシーン、Vが傷ついた少女の手を取り歩き出すシーン、などなど。その数々のシーンがヒップホップソング『ON』と共に流れていき、クライマックスではそれらの伏線が一つになっていきます。

これに先だってリリースされていたのは、ニューアルバム『MAP OF THE SOUL : 7』。7人のメンバーがBTSとして集まったデビューから7年を振り返るアルバムで、全19曲が収録されています。その19曲の中には各メンバーのソロ曲もあり、メンバー個々人の7年間も振り返ることができます。

2曲目に収録されている『小さなものたちのための詩(작은 것들을 위한 시)』、英語タイトルは『Boy With Luv』と一見ラブソングのようにも見えるタイトルですが、内容をじっくり聴いていくとよくある甘いラブソングだけでないことがわかります。“愛は何よりも強いんだ(Love is nothing stronger)”、誰かを愛する気持ちが少年を成長させていく、そんな前向きなストーリーを見ることができます。ボーカルにはアメリカの女性シンガーソングライターであるHALSEYがフィーチャリング、すぐに歌い出したくなるようなキャッチーさのある曲です。

「舞踏家は二度死ぬ 最初の死は踊るのをやめた時 そしてその死が最も辛い」
7曲目の『Black Swan』はアメリカのダンサーであり振付師、マーサ・グレアムの名言がモチーフになっています。この名言にあるように、歌詞には「Oh that would be my first death」と死を意味する「death」が出てきます。最初の死を受け入れるのか否か、その苦悩が淡々と描かれています。流れるサウンドにはアコースティックギター、シンセベースとバスドラムが一緒になったような音。楽曲としての派手さはないけれど、それだけ歌詞が重く響いてくる曲になっています。

15曲目の『友達(친구)』はジミンとVが二人で会話をするように進んでいく曲です。「7回目の夏と寒い冬より
長く(일곱 번의 여름과 추운 겨울보다 오래)」とあるように、デビューから7年を迎えた彼らがお互いを意識しながらも時間の経過と共にかけがえのない「友達」になってきた、というデビューからの日々を振り返っていくような歌詞。楽曲もみんなで一緒に合わせて歌うような箇所があり、ライブで盛り上がりそうなミディアムナンバーです。

全曲を通じアルバムメッセージとして感じたのは、見せたい自分と見せたくない自分との葛藤。そして、逃れられない圧力に抗いながらも完全な自分を探していく、ということ。このことについては2月24日に行われたグローバル記者会見でもジンが「僕たちの本音のようなアルバムです」と語っています。恋愛だけではない人間の本質を問うような普遍的な問題。日本にも韓国にも流行歌にラブソングはたくさんありますが、今回のアルバムではBTSというフィルターを通って誰もが抱えた、もしくは抱えている思いを7人の歌声によって表現されています。それがもしジンが言うように「僕たちの本音」なのであれば、実はBTSも同じことを思っていたんだと気付くことで自分の抱えていた思いが軽くなる人も少ないのではないか、と思います。


防弾少年団(BTS)


今回のタイトル曲『ON』で本格的な活動をスタートするBTS。これまでの7年を『MAP OF THE SOUL : 7』を通して見たとき、7年前のあどけなさが残る時から現在の世界的な大スターとなった彼らまでを記した「地図」が見られるはずです。


なお、今回のアルバムタイトル曲『ON』は3月30日(月)~4月5日(日)に全国のコミュニティFM17局で放送される『旅するK-POP』にて楽曲と歌詞の解説をお送りします。週間放送放送スケジュールや番組の詳細などはカンナユリのブログをご覧下さい。



登 久美子(のぼる くみこ)


茨城県たかはぎFM「旅するK-POP(全国18局より放送中)」のパーソナリティーであり番組編集も担当している。


Twitterアカウントは @Kanna_Yuri 

ブログは https://kannayuri.hatenablog.com/





*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

eykim86@korea.kr