社会

2015.02.24

「絵本のノーベル賞」と呼ばれるボローニャ・ラガッツィ賞で韓国の絵本が5部門すべてで入賞作を出した。

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第52回ボローニャ国際児童図書展の公式ホームページで発表されたフィクション、ノンフィクション、ニューホライズン、オペラプリマの4部門のラガッツィ賞受賞作



3月30日から4月2日までイタリアのボローニャで開催される第52回ボローニャ国際児童図書展の期間に授与されるラガッツィ賞のフィクション部門では、チョン・ユミ作家の『私の小さな人形箱(My Little Doll's House)』が入賞作に選ばれた。

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チョン・ユミ作家が昨年「絵本のノーベル賞」と呼ばれるボローニャ・ラガッツィ賞を受賞した絵本『ほこりの子』を手に持っている。チョン・ユミさんは今年も『私の小さな人形箱』が入賞し、ボローニャ・ラガッツィ賞を2年連続で受賞する栄誉を手にした(写真提供:カルチャープラットフォーム)



特に、チョン・ユミさんは昨年、『ほこりの子』がニューホライズン(新しい地平)部門で大賞を受賞したのに続き、2年連続受賞の栄誉に輝いた。チョンさんは、「ラガッツィ賞を受賞した2つの作品ともアニメとして制作したあと絵本にしたものだ。アニメとして制作するなかでストーリーを何回も修正し、編集していくうちに作品の密度が増して行ったのが受賞につながったようだ」と感想を語った。

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チョン・ユミ作家の『私の小さな人形箱』



受賞作『私の小さな人形箱』は、少女ユジンが自ら作った小さな人形箱の中を旅しながら4人の人形に出会って多様な経験をするというストーリーで、これまで閉じこもっていた狭い世界から抜け出し、より広い世界に向けて足を踏み出す勇気を得るというメッセージを伝える。

ラガッツィ賞審査委員会は、「非常に美しく、写真のように繊細に描かれた絵が引き立つ『私の小さな人形箱』は、読者を心理的世界に導いて行く。内面世界を旅するなかで自分のアイデンティティと不安に向き合う経験をすることになる」としたうえで、「作家の独創的な視覚的叙述構造は、心理的な無意識の迷路をさらに強固にする」と、選定の理由を明らかにした。

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チ・ギョンエ作家の『塀』



同部門の別の受賞作、チ・ギョンエ作家の作品『塀(The Little Wall)』は、母の帰りを待つ子どもにとって、ぎゅっと手を握ってくれる友達のようで、便りになる存在である『塀』を素材に物語を綴っている。審査委員会は、「水平方向に広がる開放感ある絵が充満な感性の詩的空間に案内する」と説明した。

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キム・ジャンソン、オ・ヒョンギョン作家の『タンポポはタンポポ』



ノンフィクション部門では、キム・ジャンソン、オ・ヒョンギョン作家の『タンポポはタンポポ(A Dandelion is a Dandelion)』が選ばれた。審査評によると、同作品は、種から風に飛ばされるまでのタンポポの一生を描いた詩的な本で、繊細な水彩画と空白、単純な文章を巧みに活用し、厳しい環境を生き抜く植物の様子をわかりやすく描いているという。

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パク・ヨンチョル作家の『テル・テル』



絵本の新しい地平を開く創造的な作品に贈られるニューホライズン部門の優秀賞受賞作としては、パク・ヨンチョル作家の『テル・テル(Teru Teru)』が選ばれた。審査委員会は、「この作品は、伝統的な韓国の物語を現代的にアレンジしている。構成、バランス、色、文章に繊細な注意を払い、演劇的なミジャンセン(演出)を作り出している」と説明した。

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チョン・ジノ作家の『上を見て!』



最後に、新人作家に贈られるオペラ・プリマ(処女作)部門に選定されたチョン・ジノ作家の『上を見て!(Look Up!)』は、車椅子に乗った子どもがバルコニーから下の風景を見下す姿を描いた作品だ。審査委員会は、「目立つ彩色はないが、高い所から見下ろす視線の中で、バルコニーの静かさと下で動いている人たちが対照をなしている。ストーリーが展開されていくにつれて、両者の間に楽しい関係が形成される」と評価した。

ラガッツィ賞は1964年に始まったボローニャ国際児童図書展が1966年から主催してきた賞で、一年間に出版された全世界の子ども向け本を対象に内容、デザイン、創造性などを評価し、大賞と優秀賞を選定する。ラガッツィ賞の全部門で韓国の絵本が入賞したのは今回が初めてだ。

今年とラガッツィ賞には、世界40カ国以上から合わせて1455の絵本作品の応募があり、授賞式は図書展の開幕日翌日の来月30日にボローニャで開かれる。

コリアネット ソン・ジエ記者
写真提供:ボローニャ国際児童図書展
jiae5853@korea.kr