名誉記者団

2024.10.04

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【文・写真=いとう めぐみ】

暑さも落ち着き始め、秋の訪れを感じ始める9月。

日本でも秋は「読書」の季節と言われますがお隣、韓国でも9月は「文学の月」とされ、読書が推奨されています。

今月のお題は「読書にまつわるトピック」ということで、「さぁ!読書の秋。本屋に行こう!バリエーション豊富な韓国の本たち」というタイトルでこれまでに筆者が出逢ってきてユニークに感じた韓国の本たちについてお伝えさせて頂きます。

■初めての韓国の本との出逢い■

筆者が初めて韓国の本に出逢ったのは2010年頃でした。

当時、加入していたケーブルテレビで2003年韓国ドラマ「サンドゥ、学校へ行こう」が放送され、俳優のコン・ヒョジンさんを知り、ヒョジンさんの他のドラマも見てみたくなり韓国の検索サイトでヒョジンさんについて調べました。

その時にヒョジンさんがエシカルな暮らしをテーマにしたエッセイを出されていることを知り、そこで初めて韓国の本を読んでみたいと思いました。

日本で韓国の本を購入する場合、取り扱っているお店が限られているため2024年現在も結構ハードルが高いのですが、当時は更に取り扱っているECサイトも殆どない状態で検索エンジンでも上手く見つからず・・・

手に取ることを諦めていたのですが、雑談で筆者が「日本では韓国の本を買える場所が殆どないみたい」と話していたことを憶えていてくれてた韓国人の親友が初めて一緒に食事をした日、ヒョジンさんの本をプレゼントしてくださり、それが筆者にとっての「初めての一冊」となったのでした。

■大人向けの本■

1. 著:コン・ヒョジン 「공(효진) 책」(コン・ヒョジン本)

俳優コン・ヒョジンさんがエシカルな暮らしについて、充電式乾電池の利用、節水に繋がることを考えてヘアスタイルをショートにしてみたこと、ヒョジンさんの親友でもある俳優のぺ・ドゥナさんたちとの座談会等が綴られているエッセイです。

タイトルの「공책」(コンチェク)は本来、韓国語では「ノート」という意味ですが、「コン」・ヒョジンさんの名前とかけたユニークなタイトルになっています。
韓国語の初級を一通り学び、中級に入りかけた時に出逢いました。

エッセイなので写真も多く、ページの文量もそれほどではなく、またデザインもポップなため辞書を片手にでも楽しく読み進めることができ、筆者にとって初めて手に取った韓国の本でもあり、初めて読了できた思い出の一冊ともなりました。

2. 著:ぺ・ドゥナ 「서울 놀이」(ソウル遊び)

「서울 놀이」(ソウル遊び)の表紙

「서울 놀이」(ソウル遊び)の表紙


韓国人の親友ができ、ソウルの街についてもっと詳しく知りたくなった時期にコン・ヒョジンさんの親友でもある俳優のぺ・ドゥナさんが「서울 놀이」(ソウル遊び)という著書を出していることを知りました。

当時「現地に住む方にとってのお勧めの場所って一体どこなんだろう?」という好奇心を抱いてた時、この本に出逢いました。

本には観光ガイドブックには出ていないソウル市内「東大入口」駅すぐの韓国伝統菓子店などが紹介されており、それまで私の中ではなんとなく旅行にた対して「観光=ガイドブックにある場所をまわる」、「ツアーで決められた場所をまわる」という認識があったのですが、自分で行き先をアレンジして更に楽しい旅にすることも可能なんだなと観光に対してなんとなく持っていた固定観念を壊してくれる本となりました。

こちらの本は写真も多めですが、それなりに文量も多いため、当初は負担なく読める場所を掻い摘んで読み、ある程度、韓国語の本がしっかり読めるようになってきた時に読了しました。

3. 著:ぺ・ドゥナ 「토쿄 놀이」(東京遊び)

続編で「東京編」もあることを知り、韓国人の方に東京はどう見えるんだろうということが気になり、この本を手にとりました。趣味でカメラをされるぺ・ドゥナさん目線での代官山などの観光地の風景や日本の居酒屋の様子などが情報とともに記されていて、普段当たり前のように目にしていた何気ない日本の風景も韓国の方のファインダーを通して見るとまた違って見えるんだなぁという気づきがあって楽しかったです。

こちらの本も「서울 놀이」(ソウル遊び)同様に最初は負担なく読めるところから読み、ある程度、韓国語の本がしっかり読めるようになってきた後に読了しました。

4. 著:Chiho Machiyama「플레이팅의 기술」(プレーティングの技術)

韓国の書店を訪れたことがキッカケで、日本人著者の素敵な本を知ることもありました。

まちやま しほさんの韓国タイトル「플레이팅의 기술」(プレーティングの技術)ではデザインの基本的な考え方に沿いながら美しく見せるための盛り付けのコツ、お皿へのソースを使った描き方のコツ等が詳しい図解と非常に美しい写真で紹介されており、現代美術の写真集や食べることが好きな人には眺めているだけでも楽しくなる実用書だと思います。

日本では「盛りつけの発想と組み立て」というタイトルで出されているので、日常の盛り付けも上品でおしゃれな盛り付けにできたら・・・という方におすすめです。

5. 著:ABE Yaro 「深夜食堂」

日本でも小林薫さんの主演でドラマ化され、韓国でも「深夜食堂 fromソウル」というタイトルでリメイクされたドラマの原作漫画です。

韓国語学習が進んできて、オノマトペを知りたくなってきた頃、漫画を韓国語で読んでみたいと思っていた時に出逢いました。

舞台は新宿ゴールデン街にある夜に開店する和定食屋のため日本人にとっては物語に入りやすく、読みやすかったです。

日韓の本で見比べて読んでみても楽しい気付きがあるかもしれません。

6. 著:レシピファクトリー 「진짜 기본 요리책」 (意訳:本当に基本の料理本) 


更に韓国について深く知りたくなった私は韓国料理のレシピに関心を持ちました。そんな時、韓国の基本的な家庭料理が掲載されているこの本に出逢いました。

日韓で用意ができる食材に多少の違いはありますが日本でもお馴染みの「ほうれん草のナムル」やチヂミ、オイ(きゅうりの)キムチ、ポッサム(豚肉を茹でて葉物野菜で巻いて食べるもの)などの韓国の日常でよく出される幅広い料理のレシピが掲載されています。

必要な材料はシンプルかつ明確に、手順はしっかり写真付きで書いてあり、分からない単語が出てきた場合でも翻訳アプリを通して問題なく理解できる感じです。

こちらの本と出逢ってからはおかずに「もう一品」必要なとき、ほうれん草のナムルを作ったり、닭볶음탕(タッボクムタン)というジャガイモと鶏肉の甘辛煮を作ったりできるようになり、献立のレパートリーに韓国料理が少しずつ加わるようになりました。
おうちでも韓国料理を作って楽しみたい場合におすすめです。

そしてこの頃からは韓国でしか買えない韓国ならではの韓国文化に関する本を多く手にとるようになりました。

7. 著:ハンスメディア 「흑요석의 한복 포즈집」 (和訳:黒曜石のチマチョゴリポーズ集)

「흑요석의 한복 포즈집」(黒曜石のチマチョゴリポーズ集) 表紙

「흑요석의 한복 포즈집」(黒曜石のチマチョゴリポーズ集) 表紙


筆者はイラストを描くことも好きなのですが、チマチョゴリ姿の女性のイラストを描いてみたいなと思い始めた時、この本に出逢いました。

現在、独学でデジタルでイラストを描く方法を学んでいる段階でまだまだ未熟ではありますが、韓国観光公社から記者向けに出されたイラスト課題を作成する際にこの本を参考にして描きました。

本には基本的な立ち姿、座ってスカートをふわっと広げたポーズ等、細かな所作が写真で掲載されているので韓国に特化したイラストを描いてみたい方にもおすすめです。

筆者が本を参考にして描いてみたイラスト

筆者が本を参考にして描いてみたイラスト


■子ども向けの本たち■

日本に日本文化をイラストとともに綴る絵本があるように、韓国にも韓国文化を綴った素敵な絵本が数多くあります。

8. 文:シン・クァンチョル/絵:キム・ユギョン 「아름다운 우리 한옥」(和訳:美しい私たちの韓屋)

瓦屋根が印象的な韓国ならではの伝統建築物「韓屋」(韓国語では「ハノク」と言います)に根差した暮らしを紹介している絵本です。

冬を凌ぐために、かまどから出る排熱を上手く利用した床下暖房(オンドル)を使っていた暮らしのこと、簡単でも韓屋の建築工法も分かり易く解説されている絵本です。

韓屋に住む方の暮らしと、韓屋の仕組みとについての理解が深まり、韓国を訪れた際、韓屋を目にする度にこの本を思い出します。

9. 文:チェ・インソン/絵:チェ・ウンジュ  「김밥은 왜 김밥이 되었을까?」 (和訳:キンパは、なぜキンパになったのでしょう?)

手書きで和訳をつけた絵本

手書きで和訳をつけた絵本


好き嫌いがあり身体がキンパの具のような緑色・黄色・オレンジ色の子ブタたち。驚くような体験を機に好き嫌いなくキンパも食べられるようになり、親ブタのように美しい綺麗なピンク色のブタになれたという物語です。

子どもに対して「好き嫌いなくなんでも食べられるようにしましょう」というメッセージが込められている絵本で、韓国ならではのキンパのイラストも表紙をはじめたくさん描かれており、話のオチも面白くて、親子でケラケラと笑って心温まる絵本でした。

絵本なのであまり韓国語が分からない場合でも、翻訳アプリで問題なく楽しめると思います。
我が家ではこの本を子どもが気に入り自分でも読みたがったので一人で気軽に読めるようにと筆者の韓国語の勉強がてら和訳を付けて渡してみた結果、子どもが並々ならぬキンパに対して愛着を持ちはじめ、キンパが売られている場面に遭遇すると必ず「キンパ買って!!」と言うようになりました(笑)

10. 著:アップルビーブック 「도전!진짜 편의점 접기」 (意訳:挑戦!マジなコンビニ折り紙)

韓国のコンビニで売っているお菓子・ドリンク・ラーメン等の食品たちをリアルに再現できる紙工作本です。

コンビニやマートでお馴染みの牛乳やお菓子、ラーメンのパッケージ、モノによっては中身までリアルに再現できるため小学生ぐらいで工作好きなお子さんがいる場合、親子で楽しく遊べます。

ただ印刷が両面仕様なのでそのまま切って使ってしまうと隣合わせのページにあるものが作れなくなってしまうので、工作時は予め工作用紙を調達と、この本をカラーコビーして、工作用紙に貼って作っていくと綺麗に作れて良いかもしれません。

11. 著:ブレインストア 「마구로 센세의 일본어 편의점 마스터」 (和訳:マグロ先生の日本語 コンビニマスター)

日本の主要コンビニチェーン店の商品、サービスについて日本語表記/韓国語ルビを交えながら可愛いイラストで紹介しているムック本です。

いつも身近にある日本のコンビニについて可愛いイラストで詳しく解説されているので日本在住者には「そうそう。これあるね!」や「へー、こんな商品あったんだ」という気づきもあり、楽しく読めます。
文量もそこまでなく日本語・韓国語併記のため韓国語が分からない場合でも翻訳アプリで気楽に楽しめる本です。

ここまでご紹介いたしましたように韓国にも様々な素敵で楽しい本があります。

しかしながら2024年9月現在も日本では韓国の本を手にするためのハードルが高いことが否めないため筆者も韓国に渡航する際、大型書店を立ち寄ることも多いです。

また時には現地在住の親しい方々の温かいお心遣いも頂き、おかげさまでこれまで様々な本と出逢い、読書を楽しんで参りました。

読書の秋。韓国語を学習中の方は韓国滞在時にぜひ書店にも立ち寄ってみてください。心に残るお気に入りの一冊に出逢えるかもしれません。

ここまでご覧頂きまして、ありがとうございました。

※ご紹介した本は筆者が執筆時に韓国国内にて流通が確認できるものを掲載しております。
なお、随時、書籍の市場流通状況は変化しますのでご購入ご検討の際は、事前に韓国の検索エンジンや行く予定の書店へ在庫状況のご確認をお願い致します。