世宗大王は、楽譜の井間譜(チョンガンボ)を作り、独自の楽器を製作・整 備して、自ら「宗廟祭礼楽」(2001年ユネスコ人類無形文化遺産登録)と「与 民楽(ヨミンナク・民と共に楽しむという意味)」などを作曲しました。「国 楽」という言葉は、朝鮮末に外来音楽が入って来た時に、掌楽院(チャンアグ ォン)で韓国固有の音楽であることを示すために初めて使われました。
国楽は、宮殿で演奏された音楽と、朝鮮時代のソンビ(儒教理念を具現す る人格者又は身分階層)の風流音楽である正楽と正歌、平民が世俗的に楽しん だパンソリ、散調などの民俗楽、そして宮中で王に捧げるために踊った呈才( チョンジェ)、サルプリと僧舞(スンム)などの民俗舞踊をすべて含みます。
国楽を演奏する伝統楽器も様々です。国楽器は笛、大芩、奚琴、伽倻琴、 コムンゴ、チャング、太鼓、編鐘、編磬など60種類以上もあり、楽曲によっ ていろいろな組み合わせで演奏します。
弦楽器には伽倻琴、コムンゴ、牙箏、琵琶、奚琴などがあり、管楽器には大芩、笛、短簫、太平簫などがあります。太鼓、チャング、鉦、どらなどの 打楽器も大衆的な伝統楽器です。
金正喜(キム・ジョンヒ、1786~1856)は、韓国だけでなく世界の書芸美術 史において独歩的な書芸家です。彼は、現代人が見ても驚くほどの破格的な 造形美を持つ字体を開発しましたが、これを彼の号をとって秋史体(チュサチ ェ)と呼びます。
白磁は、100~600年前の韓国陶磁器の代表です。白磁には、彩色しない 純白磁やコバルトで青色の絵を描いた青画白磁、酸化鉄の赤色を利用した鉄 画白磁などがあります。コバルトは、中国を経てペルシャから輸入された貴 重な染料でした。
京畿道(キョンギド)広州(クァンジュ)には、官窯(国で直営していた窯)が設 置されていました。韓国の先進的な陶磁器技術は、400年前に韓国を侵略して 陶工を連行した日本に伝わりました。
青磁と白磁のほかにも、500~600年前に流行した粉青沙器があります。 粉青沙器は、高麗の官窯で活躍した陶工が、王朝が滅亡して窯が解体された あと、独自に作った陶磁器です。
ソウル仁寺洞(インサドン)にあるギャラリーやアンティークショップはも ちろん、オークションでも絵画や書芸の作品、陶磁器などの伝統芸術品が広 く取引されています。
漆皮から採取した樹液を宝石箱・鏡台・針箱に塗って美しさと耐久性を 加え、牛の角を紙のように薄く伸ばし、様々な模様を描いた画角製品も作ら れました。ひょうたんにも彫刻を施して色を塗り装飾品として使用し、アワ ビ・サザエなどの貝殻も薄く加工して家具の装飾に利用しました。
女性によって作られてきた工芸品には、刺繍と組紐があります。針と糸で 布に模様を描く刺繍は、韓服・屏風・敷布団の装飾に利用され、糸を撚り合 わせて作った組紐では、ノリゲと呼ばれる様々な装身具が作られました。刺 繍と組紐の他に、布を様々な色に染める染色工芸も盛んに行われました。