「Big Ocean」。聴覚障害者で構成された韓国初のK-POPアイドルグループ。パラスタ・エンターテインメントの練習室でKOREA.net読者のためにポーズを取る(左から)パク・ヒョンジン、イ・チャンヨン、キム・ジソク=16日、ソウル・江南区、テレシア・マーガレット
[テレシア・マーガレット、イ・ギョンミ]
[映像=Big Ocean公式ユーチューブチャンネル]
「障害の有無や国籍、年齢などに関わらず、みんなで共に生きる、障壁なき社会を目指しています。自分を自由に表現することができ、ありのまま受け入れられればと思います」
韓国で、障害者の日として定められている4月20日のデビューを控えた「Big Ocean」からのメッセージだ。3人組のK-POPアイドルグループ、Big Oceanは、メンバー全員が聴覚障害を持っている。このようなグループが登場したのは、韓国では初めて。。
彼らがデビューを決意したのは、障害者に対する誤解や偏見をなくしたかったからだ。「アイドルなのに聞こえないなんて」という心配もあるが、障害を乗り越えたいという。新しいジャンルのアイドルとして向き合いたいと堂々と挑戦状を突きつけた。
16日、ソウル・江南(カンナム)区にあるパラスタ・エンターテインメントの練習室で、Big OceanはKOREA.netのインタビューに応じた。彼らはデビューを控えた心境について語ってくれた。耳が聞こえなくても、補助機器や読唇術があるので、コミュニケーションに問題が生じることはなかった。
Big Oceanは「障壁なき社会で、みんなで共に生きていきたい」と話した。(左から)イ・チャンヨン、パク・ヒョンジン、キム・ジソク=イ・ギョンミ
Big Oceanというグループ名は、希望いっぱいの大きな海という意味だ。メンバーはキム・ジソク、パク・ヒョンジン、イ・チャンヨンの3人。彼らは初めからアイドルを夢見ていたわけではなかった。ジソクはアルペンスキー選手として、ヒョンジンはユーチューバーとして活躍していたことがある。チャンヨンは高麗(コリョ)大学校安岩(アナム)病院でオージオロジストとして勤務していた。彼らが意気投合したきっかけになったのは、障害に対する偏見だ。彼らは、聴覚障害を巡る誤解や偏見をなくしたいという思いから、アイドルとしてデビューを目指して、昨年の1月にグループを結成した。しかし、覚悟はしていたものの、やかり道は険しかった。
Big Oceanは、3人とも聴覚障害があるので、聴覚補助機器を使っている。メンバーひとり一人の聴力が異なるため、拍子やリズム、音、ダンスを合わせるのが何よりも難しかったそうだ。ヒョンジンは、「拍子を認知するタイミングが全員違うので、最初はそれを合わせるのがとても難しかった」と話した。しかし、「会社がプレゼントしてくれた腕時計のおかげで、拍子を合わせやすくなった」と付け加えた。
歌が重要なのは知っているが、自分たちの声が相手にどのように聞こえるのか分からず、最初は高い音と低い音の区分ができなかったという。彼らが厳しい練習に励む様子が、目に浮かぶようだった
「練習に練習を重ね、お腹の筋肉の動きで音を覚えた。今はドレミファソラシドの音の区分ができるようになった」と彼らが歌えるようになった秘訣を教えてくれた。
Big Oceanは「韓国の手話はもちろん、他の国の手話や国際手話を使っても歌が作れる」とし、「手話は言語より、交流できるエリアを広げやすい」と話した。また、「最近『韓国の手話を学びたい』というコメントが目立つようになった。韓国の文化や韓国語はもちろん、韓国の手話を学ぼうとする人も増えていくだろう」と笑顔で答えた。
Big Oceanはデビュー数カ月前からすでに話題になっていた。ファンたちはブラジル、米国、インドネシアなど多くの国からSNSで、応援メッセージを送った。メンバーたちは、「デビューしてくれてありがとう」というコメントが一番記憶に残ったという。ジソクは「僕たちが勇気を出してデビューしたことを、ファンたちがありがたく思ってくれている」として「僕たちも期待に応えられるように、頑張ります」と付け加えた。
Big Oceanはデビュー後、音楽番組はもちろん、芸能、ドラマ、映画など、たくさんの分野にチャレンジをしたいという。今後の目標について「僕たちのデビューをきっかけに、障害のある人に対する理解が深まってくれることを願う」とし、「障害の有無にかかわらず、夢をあきらめないでほしい」と話した。また、「今後は、みんな各自の特性を生かして活動するアーティストが増えてほしい」と話した。
Big Oceanは20日、H.O.Tの「光(hope)」をリメイクした曲でデビューする。韓国政府が国際通貨基金(IMF)に緊急融資を申請した翌年の1998年にリリースされた曲だ。「光」をデビュー曲として選んだ理由は、「みんな元気を出して頑張ろう」というメッセージを伝えたかったからだという。
メンバーたちは「Big Oceanもみんなの『光』になりたい。障害の有無にかかわらず、みんなに力を与えたい」とし、「偏見なき社会に向けて、共に歩んでいこう」と最後のメッセージを残した。
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