地理的・地形的特徴
北東アジアの中心である韓(朝鮮)半島は、中国、ロシア、日本と接しており、地球の座標では北緯33~43度、東経124~132度の範囲にあります。韓半島の大きさは南北には約1,000km、東西には約300kmで、総面積は222,000㎢です。軍事境界線を境とする韓国の面積は、約100,364㎢です。
韓半島は総面積の3/4が山地のため、全国どこからでも山を見ることができ、地平線が見られるところはほとんどありません。地形は東側が高く、西側が低い形になっています。海抜高度1,000mを超える高い山が北側と東側に偏っていて地形の背筋を成しており、この背筋を中心に東海岸側には急な傾斜が、西海岸側には緩やかな傾斜が続きます。
韓半島は、北側を除いて三面が海に囲まれています。海岸線の長さは約17,000km(島嶼を含む)です。東海岸は水深が深く海岸線が単調ですが、西海岸と南海岸は水深が浅く海岸線が複雑で、島が多いという特徴があります。深く澄み切った東海(トンヘ)と、干潟が生きている西海(ソヘ)、島が多いことから多島海(タドヘ)と呼ばれる南海(ナメ)はそれぞれの特色を誇り、多様な海の趣きを感じることができます。
気候の特徴
韓国の気候は、四季がはっきりした温帯性気候です。春と秋は移動性高気圧の影響で晴れて乾燥した日が多く、夏は高温多湿な北太平洋高気圧の影響で蒸し暑くなります。また、冬は寒冷で乾燥した大陸性高気圧の影響を受けて、寒く乾燥した日が多くなります。
韓国の年平均気温は7~15℃です。最も暑い8月には月平均気温が19.7~26.7℃に達し、日中の最高気温が33℃を超える暑い日もあります。最も寒い1月の月平均気温は-6.9~3.6℃程度で、全国的に雪や氷が見られます。春と秋は日中の平均気温が15~18℃で、晴れて快適な天気が続くため野外活動や旅行に最適です。
年間降水量は1,332㎜で、そのうち約55%が夏の時期に降ります。6月下旬~7月下旬には何日も続けて(約30日程度)雨の降る「チャンマ」(梅雨)という時期があります。湿度は季節によって差が激しく、7~8月は75~85%と高い一方、3~4月は50~70%程度に下がります。
韓国の南海岸を中心に亜熱帯性気候が現れることもあり、夏になると局地性豪雨が頻繁に発生します。近年ではバナナやアップルマンゴーといった熱帯性作物を栽培できるようになり、主力農作物である稲やりんごなどの栽培適地は減少傾向にあります。
人口
韓国の人口は2022年基準5,163万人で、世界で29番目に人口の多い国です。首都圏(ソウル、京畿道)だけで50.49%の人口が居住しており、人口の偏りが大きい方です。(将来人口推計資料、2021年12月基準)
医学の発達と急速な経済成長により、韓国人の期待寿命は1970年には62.3歳でしたが、2021年には21.3年も延びて83.6歳になりました。これはOECD加盟国38ヵ国中、3番目に高い水準です。
一方、韓国の2021年の合計特殊出生率は0.81人で、韓国政府は少子高齢化問題を解決するために多様で積極的な政策を展開しています。
言語と文字
韓国では、固有の言語(韓国語)と文字(ハングル)を使用します。韓国語は、実質的な意味を持つ単語に文法的な機能を持つ要素が結合し、文章の中で文法的関係を表す言語である膠着語に属します。
ハングルは、韓国語の音の特徴が文字体系に反映されており、子音と母音を一つの発音単位としてまとめて書きます。朝鮮の世宗(セジョン)大王(1397~1450)が韓国語を表記するために創製したもので、創製当時は「訓民正音(フンミンジョンウム)」と呼びました。訓民正音の創製当時は、17個の子音と11個の母音、計28個の文字で成り立っていましたが、時の流れと共に4つの文字が無くなり、現在は子音14個、母音10個の計24個の文字を使用しています。
国王が国民のために直接文字を創り、頒布するために解説書を刊行したのは世界的にも訓民正音が唯一です。訓民正音の創製に対する内容は、「訓民正音解例本」に記録されており、1997年にはユネスコにその価値が認められ、世界記録遺産に登録されました。また、ユネスコは世界で識字率の向上に貢献した人に「世宗大王識字賞」を授与しています。
最近はハングルの造形美が世界中に知られ、文字としての用途を超えて、服やデザイン小物、絵画や彫刻などの芸術分野においてもハングルが広く活用されています。
世宗大王
朝鮮の第4代王で、在位期間は1418~1450年です。科学、経済、国防、芸術、文化など様々な分野にわたり業績を残しました。その中でも1443年、国民のために直接訓民正音(ハングル)を創製したことは、世宗大王の最も大きな功績として挙げられます。
国旗
太極旗
国旗(太極旗)
太極旗は1883年に朝鮮の正式な国旗として採択され、1897年に大韓帝国が宣布されてから韓国の国旗として使用されてきました。白い背景の中央に青と赤の太極模様、四方の対角線上に黒い線で表した四卦で構成されています。
太極旗の白地は明るさと純粋さと平和を意味し、太極模様は陰・陽(東洋哲学における天地万物を成す、相反する2つの気運を意味)の調和を、4つの卦(乾坤坎離)はそれぞれ天・地・水・火を意味します。
国花
ムクゲ
国花(ムクゲ、無窮花)
ムクゲは韓国の国花で、「永遠に咲き続ける散らない花」という意味を持っています。我慢強さと根気強さに代表される韓民族の気質を反映している花です。
国歌(愛国歌)
愛国歌は韓国の国歌です。複数の先駆者により歌詞が作詞され、1935年に安益泰(アン・イクテ)が曲をつけ、現在の愛国歌が完成しました。愛国歌は1948年の大韓民国政府の樹立と共に公式国歌として採用されました。
国歌
愛国歌
政治体制
韓国は民主共和国であり、三権分立の原則に則り立法府、行政府、司法府に分かれた政治体系を有しています。また、国家元首である大統領が政府首班と行政府の首長を兼ねる大統領中心制を採択しています。大統領は5年単任制で、全国民を対象とする選挙によって選出されます。2022年、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が第20代大統領に就任しました。