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2016.11.10

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2003年1月15日から4月3日までSBSで放送された全24回のドラマ『オールイン 運命の愛』は、最高視聴率47.7%を記録し、高い人気を博した

2003年1月15日から4月3日までSBSで放送された全24回のドラマ『オールイン 運命の愛』は、最高視聴率47.7%を記録し、高い人気を博した




2003年、韓国の視聴者たちは1本のドラマに「オールイン(all-in)」していた。

SBSで放送された全24回のドラマ『オールイン 運命の愛(以下、「オールイン」という)』は初回で22%、最高視聴率は47.7%を記録し2003年に絶大な人気を誇った。

同作はプロの囲碁棋士であり天才ギャンブラーとして知られるチャ・ミンスという実在の人物をモデルにしたノ・スンイル作家の小説をドラマ化したもの。チャ・ミンスは1976年にアメリカへ移住しポーカーとブラックジャックなど様々なトランプゲームで抜群の実力を発揮したカジノ界の大物である。

ドラマ『オールイン』はギャンブルではなく「愛」にすべてを掛けたヒーロー、キム・イナのストーリだ。彼は幼い頃から親を知らず叔父と一緒に全国の違法ギャンブル場を転々としながらギャンブルを習う。ある日、偶然めぐり合ったヒロインのミン・スヨンに一目惚れしたイナは、少年院から出て済州島でカジノギャンブルを始める。そこでカジノのディーラーとして働いていた初恋の相手、スヨンと再会するが、殺人事件に巻き込まれてしまいアメリカへと逃亡する。マフィアのボディーガードとして働くことになったイナは、波乱万丈の人生の中で忘れられなったスヨンと劇的に再開する。2人が結婚する日、銃撃で負傷を負い生死をさまようイナと、彼が死んだと思い韓国に戻るスヨン。以降、イナはマフィアの世界から足を洗って世界ポーカー大会のチャンピオンになる。済州島に戻ってきた彼はカジノビジネスを始め、結局スヨンと2度めの再会を果たし幸せな結末を迎える。

2003年に放送されたSBSドラマ『オールイン』で主人公を務めたイ・ビョンホン(左)とソン・ヘギョ

2003年に放送されたSBSドラマ『オールイン』で主人公を務めたイ・ビョンホン(左)とソン・ヘギョ



ヒーローを務めた俳優のイ・ビョンホンは「『オールイン』はギャンブルから人生の勝負を語るドラマ」だと説明したことがある。役作りのためにビデオを見ながらギャンブラーの目付きと手の動きを研究したという彼は「肝心なのはギャンブルができることより彼らの生活を理解することだ。このドラマはギャンブルドラマというよりはギャンブルを題材にして愛と友情、欲望について語ったドラマ」と同作を紹介した。

ドラマの爆発的な人気はあちこちで「オールインブーム」を巻き起こした。2人の主人公が交換した「オルゴール」がネットショップで大人気商品となり、故パク・ヨンハが歌った主題歌の「初めて出逢った日のように(原題:처음 그날처럼)」などドラマのオリジナル・サウンドトラックも高い人気を得た。

『オールイン』のワンシーン。済州島のソプチコジで撮影されたイナとスヨンの別れのシーン(左)とアメリカで再開した2人(右)

『オールイン』のワンシーン。済州島のソプチコジで撮影されたイナとスヨンの別れのシーン(左)とアメリカで再開した2人(右)



ドラマ人気は海外にまで広がった。日本、台湾などのアジアはもちろんロシア・ウズベキスタン・カザフスタン・ルーマニアなどでも放送された。このドラマで一躍トップスターになったイ・ビョンホンは日本で「ビョン様」と呼ばれるほどの人気を得た。2006年には韓国俳優としては初めて東京ドームでファンミーティングを開催した。

同作成功の理由としてはルックスの良いカリスマ俳優イ・ビョンホンと2000年に放送されたKBSドラマ『秋の童話』ですでに韓国だけでなくアジア全域で高い人気を博していた清純派女優ソン・ヘギョを挙げられる。この2人の共演はドラマ放送前から大きな話題を集めていた。

アメリカの広大なグランドキャニオンで繰り広げられるカーレーシング、ラスベガスのカジノで展開されるトランプゲームなど、視聴者を魅了する大規模ロケも人気の要因となった。

『オールイン』の中に登場した済州島

- ソプチコジ

ドラマ『オールイン』では済州島が美しく映し出された。ドラマが撮影された南済州郡(ナムジェジュぐん)城山邑(ソンサンウプ)新陽里(シニャンり)の「ソプチコジ」はドラマ放送後に国内外のファンが訪問する観光名所となった。ここにはスヨンが暮らしていた尼寺、聖堂などがあるオープンセット「オールインハウス」が建てられ、海岸沿いの1.05kmに及ぶ「オールイン散歩道」も造成された。残念ながら「オールインハウス」は2003年に済州を直撃した台風で崩れてしまったため、現在は記念品とチョコレートなどを販売する「コジハウス」に建て替えられた。

『オールイン』の背景になったソプチコジの海岸に建てられた聖堂の模型(写真の左)はヒロインのソン・ヘギョが暮らしていた場所。周辺に尼寺、聖堂などのセット「オールインハウス」があったが現在は撤去された

『オールイン』の背景になったソプチコジの海岸に建てられた聖堂の模型(写真の左)はヒロインのソン・ヘギョが暮らしていた場所。周辺に尼寺、聖堂などのセット「オールインハウス」があったが現在は撤去された



ドラマで有名になったソプチコジは済州の方言で狭い地を意味する「ソプチ」と鼻の端という意味の「コジ」の合成語で、鼻のように尖っている狭い地のこと。ここは映画『タン・ジョク・ピ・ヨン・ス』『イ・ジェスの乱』のロケ地としても有名だ。春になると海岸にそびえる石柱の「ソンドル」と濃い青色の海を背景に広々とした野原に咲き放つ菜の花が見事に調和する。放送から10年以上が経つ今でも多くの観光客が訪れる済州島の観光名所。

※交通アクセス:
済州国際空港の38番バスに乗車、新村里で東一周市外バスに乗り換えて新陽里入り口で下車。新陽ソプチコジの海辺方向に20分ほど歩く。バスを利用すると3時間以上かかることもあるので、タクシーや車をお勧めする。(約46km)


- 中文チュンムン観光団地
風車を背景に2人の主人公が会話をしていたバルコニー、ジョギングをしていた散策路、カジノなど、『オールイン』の多くのシーンがロッテホテル済州で撮影された。写真は海岸に位置するロッテホテル済州の夜景

風車を背景に2人の主人公が会話をしていたバルコニー、ジョギングをしていた散策路、カジノなど、『オールイン』の多くのシーンがロッテホテル済州で撮影された。写真は海岸に位置するロッテホテル済州の夜景



中文観光団地の一帯にも『オールイン』の名残が残っている。2人の主人公がカジノのギャンブラーとディーラーとして再会した「ロッテホテル済州」がここにあるのだ。風車を後ろに主人公が会話をしていたバルコニー、スヨンがジョギングをしていた散策路、カジノのシーンまでがこのホテルで撮影された。「中文ゴルフ場」はイナがゴルフをしていた場所。済州の青い海を眺めながらゴルフを楽しめる。大きなガラス越しに海が見下ろせる場所に建てられた現代風の「済州国際コンベンションセンター」でも撮影が行われた。ここはアメリカから戻ってきたイナが働いていた職場だった。

※交通アクセス:
済州国際空港のバス停から空港バス600番に乗車、中文観光団地のヨミジ植物院入り口で下車


コリアネット ソン・ジエ記者
写真:SBS、聯合ニュース、ロッテホテル済州
翻訳:イム・ユジン
jiae5853@korea.kr