文化

2018.05.21

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5・18光州民主化運動を現場で取材したドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーター氏(左)



[ミン・イェジ、イ・ギョンミ]
[写真=(株)ドリームファクト・エンターテインメント]

去年、観客動員数1200万を記録した映画「タクシー運転手」。この映画に出てくる実際の人物であるドイツ人記者「ユルゲン・ヒンツペーター」氏の撮影した映像に基づいて製作されたドキュメンタリー映画が17日、公開となった。

「5・18ヒンツペーター・ストーリー」とのタイトルで公開されたこのドキュメンタリー映画は、実際にヒンツペーター氏が光州(クァンジュ)で撮影した映像に現場の音声まで加わり、当時の状況を生々しく伝える。夫人のエーデルトゥラウト・ブラムシュテット氏とタクシー運転手キム・サボク氏の息子のインタビューも見られる。

去年、映画「タクシー運転手」が5・18民主化運動への興味を起こさせた後、ヒンツペーター記者が気になる人々が増えた。「5・18ヒンツペーター・ストーリー」はその日の真実を知りたがる人々のためのドキュメンタリー映画だ。

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ユルゲン・ヒンツペーター氏とタクシー運転手キム・サボク氏



「タクシー運転手」は、 キム・サボクの実話をもとにした映画だが、実際のところとは違い、劇的に表現された部分もある。まず、キム・サボク氏は10万ウォンを稼ぐために光州に行ったということは事実ではない。キム氏の息子スンピル氏の証言で、1975年の張俊河(チャン・ジュナ)の転落死の現場から5・18民主化運動まで、少なくとも5年以上取材に同行したことがわかった。

映画の中で、近道で光州に入ったこと、外国人記者を見て歓呼する市民の様子、一緒にトラックに乗って取材するヒンツペーター記者、撮影したフィルムをクッキーの箱に隠しておいたことはすべて事実であることが、ドキュメンタリーで分かる。

しかし、映画でもっとも緊張感溢れるシーンの一つであるソウルに向かう道で検問を受けたことは、本当ではない。腰の方にフィルムを隠したが、軍人は車の中に銃があるかどうかを確認しただけだと、ヒンツペーター氏がドキュメンタリーで直接証言する。

チャン・ヨンジュ監督は「映画『タクシー運転手』が大ヒットし、2003年に製作されたヒンツペーター・ドキュメンタリーに興味を持つ人々が多くなった。当時使われず、15年間資料で残っていたヒンツペーター氏の物語を聞かせたかった」と製作の理由について説明した。

去年に続いて今年も、多くの韓国人はなぜ「青い目の目撃者」に興味を持つだろう。

生前にヒンツペーター記者は「撮影しながら、私はいつも彼らと一緒にデモに参加したかった。つい韓国が民主化を成し遂げて、とても嬉しい」と話した。夫人のブラムシュテット氏は「主人は若い生徒たちが眠っているあの共同墓地に葬られることを望んだ」と伝えた。

韓国の民主化に向けたヒンツペーター氏の熱情と韓国への深い愛情。
数十年間忘れていた心の負い目を、今少しでも拭い去ろうという気持ちかもしれない。

jesimin@korea.kr