韓国は地球温暖化による気候危機に対応するため、2020年に「2050炭素中立」を宣言し、様々な取り組みを進めてきた。その一環として、石炭火力発電の段階的廃止と再生可能エネルギー比率の大幅拡大を進めており、全国の石炭火力発電所は順次閉鎖され、鉱業所も廃業が相次いでいる。
政府は、廃鉱に伴う人口流出や地域消滅の危機を克服するため、太白(テベク)、三陟(サムチョク)、和順(ファスン)の3地域を対象に「廃鉱地域経済振興開発事業」を推進している。事業は単なる雇用創出にとどまらず、地域の特性を生かした高付加価値産業への転換も目指す。各地域で進められる代替産業の取り組みを見てみよう。
[イ・ダソム]
1. 江原道(カンウォンド)太白(テベク)市、清浄メタノール製造施設を設置
チャンソン鉱業所の全景=太白市
太白市は、大統領直属の「2050炭素中立グリーン成長委員会」により、清浄メタノールのモデル都市に指定されている。清浄メタノールは、バイオマスやバイオエネルギー、再生可能エネルギーを活用して生産される低炭素燃料だ。地域の豊富な山林資源や再生可能エネルギー基盤を活用し、炭素中立への貢献を目指している。
「清浄メタノール製造施設」は総事業費3540億ウォン規模で、昨年7月に閉鎖された長城鉱業所の敷地(約20万平方メートル)に建設される。2028年までに年間2万2千トンの初期生産を計画しており、8月に企画財政部の予備妥当性調査を通過したことから、地域経済の再建や雇用創出、人口問題の緩和にも成果が期待されている。
2. 江原道(カンウォンド)三陟(サムチョク)、「重粒子加速器基盤医療産業クラスター」整備
トゲ鉱業所の全景=三陟市
三陟市は6月、トゲ鉱業所の廃鉱を受け、代替産業として「重粒子加速器医療産業クラスター」の整備を進めている。重粒子加速器は、炭素などの重い粒子を加速させ、がん細胞を破壊する治療の中核装置だ。難治性がんに対する効果を最大化し、副作用を最小限に抑えられることから「夢のがん治療装置」とも称される。
2029年までに、約12万平方メートルの敷地に重粒子加速器医療産業クラスターが整備される予定だ。このクラスターは、重粒子加速器を活用したがん治療センター、専門人材の育成を行う教育・研究開発センター、プレミアム療養病院、そして患者や家族のための休養・居住施設で構成される。
今回の事業を通じ、鉱業中心の地域から高付加価値の医療都市へと転換する。持続可能な産業基盤の整備により地域経済の成長を促すとともに、医療サービスの均衡ある発展や地域医療機能の強化にも取り組む。
3. 全羅南道(チョルラナムド)和順(ファスン)「バイオ・食品基盤農工団地・スマートファーム団地」
和順鉱業所の全景=和順郡
1970~80年代に韓国の高度成長をけん引し、地域経済の中核を担った和順鉱業所は、政府のエネルギー政策の転換により2023年6月に廃鉱となった。和順郡は、廃鉱地域にバイオ・食品基盤の農工団地やスマートファーム団地を造成する事業を、2028年の着工を目標に進めている。これは、産業基盤の縮小による人口流出や地域の低迷を克服するための取り組みである。
軍は、今回の事業に必要な総事業費3579億ウォンのうち、国費として700億ウォンの支援を受ける。和順郡が単独で確保した事業費としては、過去最大規模だ。軍はこれまで、鉱山都市から革新産業・観光都市への転換を通じて、雇用創出や地域経済の活性化、定住環境の改善、持続的な成長基盤の整備といった成果を上げており、今回の事業でも同様の効果を見込んでいる。
廃鉱地域の開発事業は、気候危機への対応と地域経済の再建を同時に進める戦略的取り組みとされる。清浄エネルギーや先端医療、スマート農業など、地域の特性に応じた代替産業の変化に、すでに期待が高まっている。
dlektha0319@korea.kr