「READY Korea」4次訓練で、船舶衝突を想定した人命救助訓練を行う救助隊= 2025年11月25日、仁川、行政安全部
[ソウル=テレシア・マーガレット]
韓国政府は、韓国を世界3大人工知能(AI)強国に飛躍させることを目標とした「国家AI戦略」の青写真を公開した。
今年のAI予算は昨年の3倍以上の10兆ウォンに増額され、官民で最大30兆ウォン規模の投資が可能となる。韓国はこの資金を活用し、グローバル技術覇権をめぐる競争に挑む方針だ。
科学技術情報通信部は先月、ソウルで開かれた外信記者向け政策説明会で、汎政府レベルのAI戦略を発表した。副総理級に格上げされた同部はコントロールタワーとして中心的役割を果たし、単なる技術開発にとどまらず、インフラ・金融・人材を網羅した「AI国家大改造」を打ち出した。
NVIDIAのジェンソン・フアン最高経営責任者と握手する李大統領=昨年10月31日、慶州 、大韓民国大統領府
政府が最優先課題として掲げるのは、いわゆる「AI高速道路」と称される大規模なコンピューティングインフラの構築である。韓国は、2030年までに世界最高水準のグラフィック処理装置(GPU)26万枚を確保する計画だ。これらのGPUは、国内企業やスタートアップ、研究機関に提供され、AIの研究開発能力を大幅に強化することが期待される。
財源確保に向けた金融戦略も具体化された。政府予算10兆ウォンを投入し、「国民成長ファンド」を通じて民間資本30兆ウォンを誘導する戦略を実施する。
データインフラもまた、国家レベルで高度化が進む。公共・民間データを連携させる国家データプラットフォームや、医療・科学・産業といった分野ごとのデータスペースを構築し、AIサービス開発の基盤を拡充する方針だ。
政府は、世界水準のAI人材が韓国国内で研究・起業・産業活動を活発に展開できる環境整備にも注力している。具体的には、海外の優秀人材の誘致、先導的研究者への支援、産業分野における融合型専門人材の養成政策を同時に推進する。
韓国は、汎用人工知能(AGI)の次の時代における技術主導権を確保するため、フィジカルAI、韓国型NPU基盤技術、量子AIとった次世代分野にも先制的に投資する。特に、今年はフィジカルAI分野に1600億ウォン規模の研究開発費を投入する計画だ。これと並行して、韓国型AI半導体の性能向上プロジェクトも同時に推進する。
「K-テックショーケース」のSKグループブースに展示された次世代高帯域幅メモリー(HBM)=昨年10月29日、慶州、パク・デジン
単なるソフトウェアAIにとどまらず、製造・医療・福祉・雇用・地域産業全般にAIを導入する「AI大転換(AX)」も本格化する。製造企業300社を対象とした「AXスプリント300」プロジェクトをはじめ、光州(クァンジュ)・大邱(テグ)・全北(チョルラブク)・慶南(キョンサンナム)の4大地域を基盤とするAI革新拠点の育成や、公共サービス分野における納税・医療・福祉システムのAI転換が代表例だ。
政府は、技術発展の恩恵を国民生活へ直接行き届かせるための「民生AI10大プロジェクト」を施行する。一方、AIの安全性と透明性を担保する「AI基本法」の制定など、制度的な整備にも速度を上げる
対外的な活動として、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で合意されたグローバルAIイニシアチブを主導する。アジア・太平洋地域AI共同研究センターの設立に加え、世界銀行(WBG)などの国際機構と連携し、「責任あるAI」のグローバル標準を先取りしていく意志を明らかにした。
科学技術情報通信部の関係者は、「韓国は強力な製造基盤と情報通信技術(ICT)を併せ持つ国だ」とした上で、「政府と民間の力を結集し、グローバルなAI競争において確固たる優位性を確立したい」と語った。
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