韓国の座敷文化の産物である板の間と洋式の立式厨房を組み合わせたハンセムの厨房家具のモデル
韓国の伝統家屋で、台所は居間と寝室から分離された別の空間だった。一昔前まで韓国のほとんどの家庭では旧式の台所が使われていた。竈はとても低い位置にあり、主婦たちは腰をかかめて炊事をしなければならず、とても不便だった。また、当時は生ゴミを台所で処理することができず、別に分けておいて外に捨てていたためとても手間がかかった。
1970年に厨房家具専門メーカーとしてスタートしたハンセムは、韓国に「立式厨房」という新しい厨房文化の概念を導入した。立式厨房は動線が長く、それまでの炊事の不便さを解消した。すっきり整備された流し台、収納しやすい棚と食器棚、調理台からガスレンジ、食卓まで、完璧に構成された厨房家具のおかげだ。消費者は、食材の下ごしらえから料理、食事、後かたづけまで、全て一カ所で済ませられる立式厨房の便利さに大喜びした。
ハンセムは、一般的に「シンク台」と呼ばれる厨房家具の常識を超えようと、現代人の住居構造と消費者の趣向、ライフスタイルと食文化を絶えず研究し続け、製品に反映させてきた。
床のボタンを押すと電気コンセントが下から出てくるスマートテーブル。厨房で多くのことをする現代人のライフスタイルがよく反映されている
リモコンで調節できる棚とカーテンで隠された空間。厨房をすっきりと整理できる
ハンセムは、鍋料理と汁物を好む韓国人の食文化を考慮し、電気釜や鍋といったかさばる厨房用品と様々な食材を保管する棚と食器棚の収納効果を最大限に生かした厨房家具をデザインするとともに、オーブンと食器洗浄機を主に使用する海外消費者の食文化もデザインに反映させた。
ハンセムがデザインした厨房は、料理と食事だけの空間ではない。炊事だけでなく、パソコン操作など様々な作業もできる厨房でなければならない。そのために、水気のない中で安全にコンセントを使用できる、食卓の床から出てくるリモコン式コンセントを開発した。空間を最大限に生かしつつ、厨房で家族と団らんし、様々な活動ができるようにしたのだ。また、放置されやすい厨房の一角をカーテンで覆い、必要なときにリモコン操作で開けて使用できる設計になっている。
鍋料理と汁物を好む韓国人の食文化を反映し、かさばる厨房用品を収納できるよう大きな棚が複数設置されたハンセムの「キッチン・バッハモデル」。棚は全て軽く押せば開くよう設計されている
明るくて穏やかな木目調やシャンデリアなど欧米風の趣向を好む消費者に人気の高い厨房家具のモデル
収納を最も重要視する消費者のニーズを反映させた食器棚
ハンセムの厨房家具は、海外でも脚光を浴びている。ハンセムは1986年の米国法人設立を皮切りに、中国と日本にも海外法人を立ち上げた。米国では、消費者がハンセムのディーラーとのマンツーマン商談で見積もりから仮想デザインやイメージ・デモンストレーションなどまで、自分が望む厨房を自ら選択・設計できる。実際に、平澤市をはじめ米軍が暮らす韓国のマンションでハンセムの厨房家具を使用した主婦たちの口コミからもハンセムの人気がうかがえる。中国では現地の建設会社のマンション施工にハンセムの厨房家具が採用されている。
ハンセムは現在、厨房家具の他にも、総合家具とインテリアの分野でも業界1位の座を守り続けている。昨年は業界で初めて売上1兆ウォンを達成するなど、厨房家具業界をリードしている。
記事:コリアネット ユン・ソジョン記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者
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