
ボルビックのムン代表取締役は、優れた製品の販売によって発生した収益を選手に投資し、選手がその製品を使用・PRすることでさらに販売が促進されるというスポーツ産業の好循環の重要性を強調する
全米女子プロゴルフ協会(LPGA)のツアー大会で優勝したチェ・ウンジョン選手、イ・イルヒ選手、イ・ミヒャン選手の共通点は、「ボルビックのカラーボール」を使用していることだ。7月19日のLPGAツアー・マラソンクラシックで優勝したチェ選手は、ボルビックのオレンジボールを使用していることから「オレンジガール」と呼ばれている。
チェ選手だけでなく、LPGAツアーで活躍するイ・ミナ選手、イ・イルヒ選手、イ・ミヒャン選手、バーディ・キム選手、ポーナノン・ファトラム選手(タイ)、リンゼー・ライト選手(オーストラリア)もボルビック・ゴルフチームの所属で、全員ボルビックのボールを使用している。みんながカラーボールを使っているわけではないが、チェ選手はオレンジ、イ・イルヒ選手とイ・ミナ選手はイエローのボールを使用している。
2000年代初頭~中盤はプロの舞台でカラーボールを使用する選手はほとんど見られなかった。当時のカラーボールは白のボールに色をつけただけのもので、微妙な違いで成績が左右されるプロゴルフの世界で選手に使用してもらうというのは容易なことではなかった。LPGAツアーでは、「ピンクパンダー」と呼ばれるポーラ・クリーマー選手(米国)だけがファンサービスと自身のPRのためにピンクのボールを使用していた。

カラーのゴルフボールでLPGAツアーで優勝者を輩出したボルビックのムン代表取締役。彼の夢は、ボルビックをゴルフクラブなどゴルフ関連の全製品で世界トップの会社にすることだ
2009年にボルビックを買収したムン・ギョンアン代表取締役は、性能においてどのブランドにも引けをとらないことを確認し、プレミアムゴルフ用品市場に挑んだ。1980年に設立されたボルビックは当時、約30年にわたってゴルフボールを生産していたが、低価格というイメージしかなかった。
プレミアムゴルフ用品市場への参入と同時に、ムン代表取締役は自社のゴルフチームを創設した。ボルビックのボールを使用する選手たちが良い成績を収めれば、自然に会社のPRになるからだ。そして、もう一つ取り組んだのがカラーボールの制作だ。
カラーボールは機能が落ちるという先入観をボルビックは技術で払拭した。1993年から昨年までに韓国や米国、英国、日本などで特許40件以上を取得したボルビックは、3年連続でLPGAツアー優勝者を輩出し、性能を立証した。

ボルビック本社の廊下には、同社のカラーボールを使用してLPGAツアーで優勝した選手たちの写真とトロフィーが飾られている
「ゴルフは未来産業」と語るムン代表取締役は、「世界の3分の2に当たる発展途上国はやっとゴルフが始められるようになった段階で、中国では急速にゴルフ関連産業が発展している」とした。その上で、「ボルビックのボールは、距離と方向性というゴルフでは非常に重要な要素を充足させており、技術面ではどのブランドにも劣らない。技術によって得た利益を幼い選手の育成に投資し、その選手が活躍することによってボルビックの認知度が上がるというスポーツ産業の好循環を構築していきたい」と話す。ボルビックは、韓国人選手だけでなく、LPGAツアーとPGA(全米プロゴルフ)ツアーで活躍するタイ、米国、オーストラリアの選手たちも後援している。
記事:コリアネット チョン・ハン記者
hanjeon@korea.kr

ボルビックのムン代表取締役の執務室には自身の似顔絵が描かれたカラーボールがある

韓国のモバイルユーザーに人気の無料通話・メールアプリ「カカオトーク」のアイコン・キャラクターが描かれた「カカオフレンズ・キャラクター・ボール」。女性ゴルファーに特に人気が高い

ボルビックのカラーボールは、企業及び団体、特別イベントの記念品としても人気が高い