インタビューに応じる株式会社「イーキューブ・ラボ(Ecube Labs)」の権純範代表=チェ・テシュン撮影
[ソウル=チョン・ジュリ、キム・ウニョン]
コリアネットは2019年を迎え、様々な分野で韓国の革新成長をリードする企業を直接訪れ、革新成長の現状について連載する。第2弾として、韓国政府の革新成長の主要動力技術である「事物インターネット(IoT)」を活用して廃棄物を管理する株式会社「イーキューブ・ラボ(Ecube Labs)」を紹介する。
日常生活で必要とされているが、目立たない市場がある。廃棄物管理市場もその一つである。社会が発展するにつれて商品の数やサービス提供も増える。しかし残念なことに、それに伴いゴミ量も増大する。この問題を解決するため、ゴミ処理に新技術を融合させた企業がある。ゴミを圧縮する「クリーン・キューブ(Clean Cube)」という太陽光発電によるゴミ圧縮容器を提供する株式会社「イーキューブ・ラボ(Ecube Labs)」だ。
株式会社「イーキューブ・ラボ」の権純範(クォン・スンボム)代表は、去年12月14日、同社(ソウル九老区に位置)で「革新とは、何気ないことから始まる」とし、「多くの分野は、技術発展の恩恵を受けている。だが、ゴミ産業は、非効率で改善すべき点が多い」と語った。また、「全世界における廃棄物処理市場の規模は、600兆ウォン(約60兆円)に達するが、競争強度が低くて技術的に改善すべき点などを工夫した」と創業背景について説明した。
株式会社「イーキューブ・ラボ」のデータ分析プラットフォーム「クリーン・ シティー・ネットワークス」=イーキューブ・ラボ・ホームページ
再生可能エネルギーを活用したゴミ圧縮容器
2011年に設立された同社は翌年、無線通信機能を搭載した屋外ゴミ圧縮容器「クリーン・キューブ(Clean Cube)」を開発した。この容器は、太陽光発電を利用して自ら充電でき、ゴミの容量を確認し、自動的にゴミを圧縮する。従来の容器より、最大8倍のスペースが確保できる。
同社は2015年、ゴミの容量をチェックするセンサー「クーリン・フレックス(Clean FLEX)」を開発した。超音波でゴミの容量や火災の危険性などが確認できる。
これらの情報は、同社のデータ分析プラットフォーム「クリーン・ シティー・ネットワークス(CCN、Clean City Networks)」にリアルタイムで転送される。ゴミの容量などがパソコンやタブレット端末、スマートフォンで確認できるので、ゴミの処理にも時間や費用などがセーブできる。
事物インターネット(IoT)で効率的な廃棄物を管理
ソウル所在の4大学(ソウル大学、高麗大学、延世大学、東国大学)に「クリーン・キューブ」70台が、2012年に設立されてから6年が経った。ソウル、ワシントンD.C、上海、バーミンガム、サンティアーゴなど、全世界に設置された太陽光発電によるゴミ圧縮容器と超音波センサーは、計5120個に至る。韓国の地方政府や廃棄物管理関連の企業だけでなく、米国のハモサビーチやアイルランドのダブリン空港でも、同社のゴミ圧縮容器が使われている。
権代表は「メルボルン・プロジェクト」が最も記憶に残ると話した。ゴミ圧縮容器を設置してから都市全体の処理費用が大きく減り、処理効率性も7割上がったからだ。
無線通信機能を搭載したゴミ圧縮容器「クリーン・キューブ」=チェ・テシュン撮影
無線通信機能による効率的な廃棄物処理は、スマートシティ構築にも役立つ。
同社は、太陽光発電によるゴミ圧縮容器4千5百個を2020年まで3年間、米国のボルチモア・スマートシティに設置する。このような経験を生かして、韓国政府の革新成長事業である「スマートシティ国家モデル都市」構築に力を注いでいる。
権代表は、2017年11月に第4次産業革命委員会傘下スマートシティ特別委員会民間委員に委嘱され、韓国スマートシティに関する諮問活動を行っている。「韓国型スマートシティ」は、人工知能(AI)と自動運転車などの第4次産業革命技術を基盤として、韓国の世宗(セジョン)市と釜山(ブサン)市に構築される。
権代表は、今後の目標について「全世界のゴミ管理企業が、私たちの(管理)ソリューションを使用すること」とし、「『ゴミ管理』といえば、『我が社の製品』を思い浮かべてもらえるようになりたい」と抱負を述べた。
ゴミ問題について考えていない国はない。ゴミが増えれば、処理する費用も増える。些細なことから革新を摸索した「イーキューブ・ラボ」の未来が期待できる。
etoilejr@korea.kr