文化

2014.01.24

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数年前までは、映画やドラマなど韓国の大衆文化に外国人が出演することなど想像すらできなかった。しかし、経済発展やグローバル化などに伴い、様々な国籍の外国人芸能人が韓国の映画界、歌謡界、放送界で活発に活動するようになった。

これまで外国人芸能人は、目鼻立ちの整ったルックスで人気はとれるものの、不自然な韓国語がいつもネックになっていた。しかし、現在韓国で活動する人気上昇中の外国人芸能人は、きれいなルックスとあふれるエンターテイナー性はもとより、流暢な韓国語で演技、歌、バラエティ番組までこなし、韓国の視聴者に親しまれている。

その中の一人がオーストラリア人のサム・ハミントンさんだ。彼は最近、様々なバラエティ番組に出演し、お茶の間に笑いを届けている。彼は、MBC「日曜日の夜に‐真の男」やJTBCのトークショー 「魔女狩り」、tvNのリアルバラエティショー「島の村先生」などに出演し、ユニークな韓国語と独特のギャグで視聴者を魅了している。特に、MBC「日曜日の夜に‐真の男」では、外国人には難しいとされる韓国軍の兵営生活に耐え、韓国人視聴者の感動と爆笑を誘っている。

한국에서 활발히 활동하고 있는 호주 출신 샘 해밍턴 (사진: 연합뉴스)

韓国で活発に活動するオーストラリア人のハミントンさん(写真提供:連合ニュース)



ドラマや映画で存在感を表している外国人芸能人もいる。米国人のダニエル・ヘニー(Daniel Henney)さんは、2005年にMBCドラマ「私の名前はキム・サンスン」でデビューして以来、映画「ミスター・ロビンの口説き方」(2006)や「マイ・ファザー」(2007)、昨年公開された「スパイ」などに出演し、流暢な韓国語を駆使して韓国人俳優たちとピッタリ息の合った演技を披露した。

지난해 영화 ‘스파이’ 시사회에서 배우 다니엘 헤니 (사진: 연합뉴스)

昨年公開された映画「スパイ」の試写会でポーズをとる俳優のヘニーさん(写真提供:連合ニュース)


日本人の藤井美菜さんとフランス人のジュリアン・カン(Julien Kang)さんも活発に活動している。二人は昨年11月からtvNのシットコム「ジャガイモ星2013QR3」で、外国人カップルとして共演している。この作品で藤井さんは、やたらと転んで頭をぶつける、落ち着きはないが可愛らしい日本人女性の役を演じ、その恋人役として登場するカンさんは、イケメンとは裏腹の不自然で下手な韓国語で笑いを誘っている。

二人はシットコムだけでなく、バラエティ番組でも活躍している。二人は昨年放映されたMBCのバラエティ番組「私たち結婚しました‐世界編」と「私たち結婚しました4」にそれぞれ出演した。藤井さんはアイドルロックバンド「FTアイランド」のイ・ホンギと、カンさんは女優のユン・セアと架空の夫婦となり、外国人と韓国人の夫婦の間に起こる興味深いエピソードで視聴者の笑いを誘った。

tvN 드라마 ‘감자별2013QR3’에서 커플로 함께 출연하고 있는 줄리엔 강(위)과 후지이 미나 (사진캡쳐: tvN ‘감자별2013QR3’)

tvNのシットコム「ジャガイモ星2013QR3」でカップルとして共演するカンさん(上)と藤井さん(下)(写真:tvN「ジャガイモ星2013QR3」)


こうした外国人の韓国芸能界への進出は、数十年間にわたって世界各国に広がりを見せる韓流ブームが影響しているという指摘だ。Kポップやドラマ、映画など韓国の大衆文化の魅力に共感した外国人たちが、関心を持って一人で楽しむだけでなく、自ら韓国を訪れ、韓国語を学び、芸能事務所のオーディションに応募したり、Kポップのダンススクールでトレーニングを受けたりといった事例が一般化したことがこれを立証している。ある大衆文化の専門家は、外国人芸能人の韓国芸能界への進出は、今後益々活発になり、それによって韓国文化はさらに多彩になるとの見通しを示した。

< <藤井美菜さんとのインタビュー>>

9歳で子役としてデビューし、日本でも女優・モデルとして大きな人気を博している彼女は、日本で芸能活動をしているときに韓国ドラマ「冬のソナタ」の主人公ペ・ヨンジュンに魅了され、韓国に関心を持つようになった。

2012년 SBS 드라마 ‘드라마의 제왕’에 깜짝 출연해 유창한 한국어로 연기를 하고 있는 후지이 미나 씨. (사진캡쳐: SBS ‘드라마의 제왕’)

2012年に放映されたSBSドラマ「ドラマの帝王」にサプライズ出演し、流暢な韓国語を駆使して演技する藤井さん(写真:SBS「ドラマの帝王」)


一人の韓国人俳優への関心は、やがて韓国と韓国語に対する情熱へとつながる。彼女は懸命に韓国語を学んで習得した韓国語能力で2012年に放映されたSBSドラマ「ドラマの帝王」やチャンネルAのドラマ「パンダさんとハリネズミ」、KBSドラマスペシャル「もう一度ウェディング」など多数のドラマに出演した。

藤井さんから韓国での芸能活動について聞いた。

1)ドラマ「私たち結婚しました」やヒューマンドキュメンタリー「人が好き」など多くの番組に出演しているが、韓日両国を股にかけたハードスケジュールをどのようにこなしているか

昨年は日本と韓国を行き来しながら活動したが、自分がしたいことをしているので、どこで活動するにしても、いくら忙しくて大変でも楽しく活動できた。昨年までは、1年の半分は韓国、半分は日本という感じで、両国を行ったり来たりしていた。今年の1月はずっと韓国に留まって活動している。

2)韓国語を学ぶようになったきっかけはドラマ「冬のソナタ」だそうだが、韓国語の何に魅かれたのか。また、韓国語を学んでみて難しかったことは

韓国語を学び始めたときはとても楽しかった。韓国ドラマは日本で人気が高く、容易に見ることができる。韓国ドラマの他にも、Kポップを聞きながらリスニングの練習をたくさんした。大学在学中は第2外国語として韓国語を履修した。

韓国語が難しいと感じたのは、韓国で女優として活動を始めてからだ。韓国で芸能活動をするには韓国語能力が必要だが、いまだにイントネーションが不自然だ。自然なイントネーションで演技することが最も難しい。もっともっと勉強する必要があると思う。

最近はずっと韓国で過ごしているので、毎日生きた韓国語を学んでいる。毎日テレビをつけ、何度も聞いて正しいイントネーションを身につけようとしている。

3) 2012年に「ドラマの帝王」に少しだけ出演したが、すべての台詞を韓国語で話していたのが印象的だった。大変ではなかったか

2012年の夏から本格的に韓国で活動を始めた。それからすぐ「ドラマの帝王」に出演する日本人の役を選抜するオーディションがあった。一生懸命準備したかいあって幸運にも合格することができた。合格が決まってから一度、チャン・ハンジュン監督と個別に台本合わせをしたが、私の台詞を聞いてチャン監督が「イントネーションがあまりにも不自然だ。それが治らなければ他の人に代えるしかない」と厳しく言われた。「本当にそうなったらどうしよう」ととても心配した。何度も何度も繰り返し練習した。今考えてみると、そのときの監督の言葉が刺激になって頑張ることができたと思う。後でチャン監督に会ったら、そのときは私のためにわざと厳しく言ったのだと教えてくれた。

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후지이 미나 씨 (사진 위택환 기자)

藤井美菜さん(写真:ウィ・テックァン記者)



4)韓国で活動しながら精神的に大変なこともあったと思うが

9歳のときに演技に関心を持った。そのときから演技がしたくて、しばらく子役として活動し、17歳から日本で本格的に女優として活動を始めた。韓国では言葉の問題から台詞を覚えるのに多くの時間がかかった。一人で練習しながら、直すべきところを自分で見つけて直さなければいけないことが難しい。

5)韓国での活動で一番記憶に残っていることは

韓国で活動し始めてから約1年半になるが、昨年出演した「私たち結婚しました‐世界編」が一番記憶に残っている。私にとってとても大切な作品だ。韓国で活動を始める前、日本で家族や近所の人たちとこの番組をよく見ていた。自分が見ていた番組に出演したことが不思議でもあり、嬉しくもあった。

この番組は日本でもとても人気がある。両親にこの番組のDVDで見せたら、とてもおもしろいと言っていた。

6)藤井さんが感じる韓日両国の文化の違いとは

感情表現が違うことだ。日本人は感情をストレートに表現しようとしない傾向があるが、韓国人は自分の感情を自然に、そして素直に表現する。初めて韓国で演技をするとき、そのことに多少抵抗を感じたが、今はもう感じなくなった。もう一つは、電話を切るときに相手が「また電話するね」と言って電話を切ったので、また電話がかかってくると思って一日中待っていたが、電話はかかってこなかった。後で聞いたら、韓国では「また電話するね」と言って電話を切るのが慣習だという。これも興味深い文化の違いだ。

7)世界には数多くの国があるのに、なぜその中から韓国を選んだのか

韓国という国に関心を持ち、もっと深く知りたかったからだ。私は韓国という国のすべてが好きだ。ドラマや映画、歌、言葉、韓国人など韓国のすべてが好きだ。4~5年前に初めて韓国に来たとき、母と祖母の三人で「冬のソナタ」のロケ地である南怡島に行き、主人公のチェ・ジウさんになった気分でドラマの真似をしたことが思い出される。

8)藤井さんのように韓国芸能界への進出を考えている才能ある外国人にアドバイスがあれば。また、今後の韓国での活動でぜひやってみたいことは

私もまだ夢の途中なので、そうした人たちに「ともに頑張りましょう」と言いたい。

日本では、「完璧な女優になろう」と思ってバラエティ番組には出演しなかった。でも、韓国では女優もバラエティ番組によく出演しているので、私も出演しようと決心した。間違った韓国語を話したり、普段通りの自然な姿を見せようと思った。失敗して完璧でなくても、ファンは私のありのままの姿を見て喜び、応援してくれるのがとても良かった。

韓国で毎日多くのことを学んでいる。出演中のシットコム「ジャガイモ星」の収録が3~4月まで続くので、2014年のスタートは春までずっと韓国にいることになりそうだ。昨年は日本で3本の映画を撮った。1本はすでに公開され、2本は今年公開される予定だ。

今後は、韓国の他のドラマで魅力ある役を演じたい。また、機会があれば映画にも出演したい。

コリアネット ソン・ジエ記者
jiae5853@korea.kr