文化

2014.03.24

ほんの10年前、パンやチョコレートといった洋菓子は、韓国人にとってとても貴重な食べ物で、ごく小数の上層階級しか味わえない特別なご馳走だった。しかし、今では韓国人も西洋人に劣らない洋菓子を作っている。世界のあちらこちらで見られる韓国の製菓や飲料は、国籍や人種に関係なく世界の人々に愛されている。

ソチ冬季五輪が閉幕したばかりのロシアでは、「レッツ・ビー」ブームが巻き起こっている。190ミリリットルサイズの缶入りコーヒー「レッツ・ビー」は、ラテやエスプレッソ、アメリカーノ、チョコラテなど9種類のタイプがある。ロシアでは、この缶コーヒーが保温庫の中に入れられて販売されている。凍てつくロシアの気候を考慮した製造会社ロッテ・チルソンの気配りだ。ロシアではこの「ホットレッツ・ビー」が大ヒット中だ。昨年一年間の売上は710万ドル以上だ。

러시아에서 판매 중인 레쓰비. (사진: 롯데칠성)

ロシアで販売されている「レッツ・ビー」(写真提供:ロッテ・チルソン)


11가지의 과일 맛으로 출시된 밀키스 (사진: 롯데칠성)

11種類のフルーツ味がある「ミルキス」(写真提供:ロッテ・チルソン)



だが、それ以上に人気の飲料がある。ロッテ・チルソンが炭酸飲料第1号として発売した「ミルキス」だ。「ミルキス」はロシア市場で昨年1400万ドルを売り上げた。本格的に輸出が始まった2000年から昨年までの累積輸出額は約7670万ドルだ。これは、250ミリリットルの缶入りの飲み物に換算すると、約3億5千万本というとてつもない量だ。

ロシア市場で「ミルキス」がこれほどまでにヒットした理由について、製造会社のロッテ・チルソンは、現地では味わえない牛乳と炭酸飲料の調和がもたらす新鮮な味わいと分析した。また、輸出が始まった翌年からは、ロシア人の好みと情緒に合わせ、多少の変化を加えた戦略が功を奏したという。寒冷な気候のため、限られた果物しか食べられないロシア人のために、イチゴやメロン、リンゴ、パイナップルなどいろいろた風味の炭酸飲料を開発した。この新しいフルーツ味の炭酸飲料がロシアで大ヒットした。一部のバーやカフェでは、若年層を中心にアルコール度数の高いウォッカと「ミルキス」をカクテルにして飲む新しいスタイルが生まれるほどのブームだという。

한국산 신라면의 매운 맛이 세계 각국으로 전파되고 있다. (사진: 농심)

「辛ラーメン」のピリッとした辛さが世界の人々を魅了している(写真提供:農心)



상해의 대형마트에서 판매 중인 신라면. (사진: 농심)

上海の大手スーパーマーケットで販売されている「辛ラーメン」(写真提供:農心)



ロシアだけではない。ピリッとした辛さが売り物の「辛ラーメン」は、今や世界80カ国で販売されるグローバルフードになった。日本や中国といった近隣諸国だけでなく、スイスのユングフラウ(Jungfraw)ヨッホ(ユングフラウの頂上)やこれまで輸出されたことのなかった中南米及びイスラム諸国でも韓国の「辛ラーメン」が人気を集めている。韓国内外を合わせた年平均の売上高は6億5千万ドルにも上る。

융프라우의 정상에서 판매되고 있는 한국의 신라면 (사진: 농심)

ユングフラウの頂上で販売されている韓国の「辛ラーメン」(写真提供:農心)


「辛ラーメン」は、韓国人の多くが海外に出かけるときに持っていく必須アイテムだ。ピリッとした辛さが疲れた心身に活力を与えるからだ。この韓国独特の文化に共感する外国人が徐々に増えている。「欧州の屋根」と呼ばれるアルプス山脈のユングフラウの頂上では、カップタイプの「辛ラーメン」が販売されている。リュックを背負った大学生や家族連れ、カップルなど登山客の間で「辛ラーメン」は大人気だ。

アフリカのケニヤではテレビショッピングで「辛ラーメン」が販売され、アメリカン航空やエアフランスなど7つの航空会社では「辛ラーメン」が機内食として提供されている。また、イスラム教の律法に則ったハラル(Halal)フードの摂取しか認められないイスラム諸国でも辛ラーメンの人気はうなぎ上りだ。農心は、イスラム教の律法に則った食品であることを認めるハラル認証を8種類取得し、これまで輸出されたことのなかったイスラム諸国(パキスタン、ヨルダン、カタール)にも販路を広げた。

世界に広がる韓国フードを語る上で欠かせないのがオリオンの「チョコパイ」だ。温かい心「情」のコピーで長く愛されてきた「チョコパイ」は、世界各国の感性と情緒に合わせて包装・発売されている。中国では「良き友」という意の「ハオリヨウ」の商品名で販売され、親しみやすいイメージを与え、結婚式の引出物として人気の商品になっている。

한국의 초코파이가 전 세계 60여 개 국에서 판매되고 있다. (사진: 오리온)

韓国の「チョコパイ」は世界60カ国余りで販売されている(写真提供:オリオン)


重さ35グラム、直径7センチ、厚さ2.3センチの小さなチョコスナックが年平均で20億個販売されている。それは、一列に並べると地球を3周する距離になり、発売からこれまで世界で販売された数でいうと30周以上にもなる。

しっとりした食感を維持するために、「チョコパイ」には多くの水分が含まれている。水分を多く含むほど微生物による汚染や変質、腐敗、風味の変化などが起こりやすいが、長きにわたる研究の末、防腐剤を使わずに製品の新鮮度と微生物による腐敗を防ぐ技術を開発し、世界どこでも同じ風味が保たれている。

브라질에서 사랑받고 있는 빙그레의 메로나 아이스크림 (사진: 빙그레)

ブラジルで人気のピングレのアイスクリーム「メロナ」(写真提供:ピングレ)



韓国から見て地球の反対側に位置する南米ブラジルでは韓国のアイスクリームが人気だ。ピングレの「メロナ」だ。2002年からブラジルに輸出されている「メロナ」は、ブラジルの若者たちの間で「メロナ食べたことある」があいさつになるほどの人気で、町の所々にある商店の冷蔵庫には「メロナ」がずらっと陳列されている。通りにある「メロナ」のポップアップ・ストアの前に多くの人が並んでいるのもよく見かける光景だ。

韓国のお菓子、食品、飲料は世界で唯一の閉鎖社会である北朝鮮でも人気だ。開成工業団地では労働者たちにチョコパイがおやつとして提供されている。北朝鮮の労働者たちはこれを食べずにコツコツ貯め、市場で売りさばいて家計の足しにしているという。韓国の商標がついたままのラーメンやジュース、コーラなどがあからさまに取引されているのだ。脱北者たちが韓国で一番多く食べるのは、熱いお湯を注いだカップラーメンだという。

西欧のものというイメージが強かったチョコレート菓子が、韓国で生産され、西欧の人々の人気を集めているという逆転現象は、食べ物には国も民族も関係ないことを立証している。美味しいものがあれば、人は国境を越えてでも食べに行くのだ。

コリアネット イ・スンア記者
slee27@korea.kr