韓国で大衆的な人気を得ている大衆音楽を総称して「Kポップ(K-Pop)」という。Kポップという概念が生まれたのは1990年代後半だ。当時韓国では、米国と日本の音楽が普遍的な「ポップミュージック」と認識されていた。やがて欧米の音楽を基にした「Kポップ」という新たなジャンルが誕生し、今やKポップは韓国とアジアと超え、逆に欧米や中南米といった西洋社会に進出し、活動領域を広めている。
Kポップは世界のコンサート分野からも脚光を浴びている。 Kポップ歌手を自身のコンサートに招待し、同じステージでパフォーマンスをしたいという世界的なポップスターが増え、「コラボレーション公演」が相次いで行われている。
先日、韓国のクレヨン・ポップと世界的なポップスターのレディー・ガガがコラボレーションするというニュースが話題になった。ガガは21日に自身のツイッターに「6月26日~7月22日に開かれるコンサートツアー“アートレーブ:ザ・アートポップ・ボール(artRAVE:THE ARTPOP Ball)”のオープニングをクレヨン・ポップが飾ることが決まり、興奮している」と書き込むとともに、クレヨン・ポップの代表曲「パパパ」のミュージックビデオ(MV)を紹介した。
クレヨンポップは、名札のついたジャージにヘルメットというユニークなコスチュームと、一度聞いたら忘れない「パパパ」のメロディで爆発的な旋風を巻き起こしたガールズグループだ。特に、5人のメンバーが横一列に並んで時間差で飛び上がるいわゆる「直列5気筒ダンス(Straight Five Engine Dance)」は、大衆に大受けし、数多くのパロディが生まれた。
ユニークな振り付けとコスチュームで話題を集めたクレヨン・ポップ(左)が、今年6月に予定されているレディー・ガガの米国・カナダツアーのコンサートのオープニングを飾る(写真提供 左:クロム・エンターテインメント、右:連合ニュース)
アジアのスターとKポップに関心を持っていたガガは、クレヨン・ポップのMVを見てユニークで強烈なイメージに魅了され、出演を依頼したという。米国全域とカナダで繰り広げられるガガのツアーコンサートで、クレヨンポップは13回にわたってオープニングを飾る予定だ。
マドンナの2012年11月のコンサートに招待されたPSYが、マドンナと一緒に乗馬ダンスを披露した(写真提供:連合ニュース)
Kポップが世界の音楽界から認められるようになった背景にあるのはPSYの存在だ。2012年のヒット曲「江南スタイル」のMVは、動画投稿サイト「ユーチューブ」で最短期間での最多再生回数を記録し、彼の「乗馬ダンス」は韓国内外の数多くのファンだけでなく、ポップスターたちの関心も集めた。
そうした自身のコンサートへの出演をPSYに依頼するアーティストらによってPSYと世界的なポップスターのコラボレーションが見られるようになった。PSYは、2012年11月にマドンナのコンサートに出演し、マドンナと一緒に乗馬ダンスを披露するとともに、彼女のヒット曲「Music」をデュエットした。また、アメリカン・ミュージック・アワード(AMA)とABCのバラエティ番組「Dick Clark's New Year's Rockin Eve」では、ラッパーのMCハマーとともにステージに上がり、「江南スタイル」と「Too Lefiet to Quit」をリミックスしたパフォーマンスを披露して会場を大いに盛り上げた。現在は、米国人ラッパーのスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)とのコラボレーションで話題を呼んだニューアルバムの仕上げの作業に没頭しているという。4月中旬に発売予定のPSYの新曲のMVには、スヌープ・ドッグの他にビッグ・バンのGドラゴン(G-Dragon)と2NE1のCLもサプライズで出演すると伝えられている。
Kポップ歌手と海外のアーティストらによるコラボレーションは、コンサートに限らずアルバム制作への参加やMVへの友情出演といった様々な形で行われている。
2NE1のCL(左)とビッグ・バンのGドラゴン(中央)は、スクリレックス(右)の新曲「Dirty Vibe」の制作に参加した(写真提供 左・中央:YGエンターテインメント、右:連合ニュース)
これに先立ち、GドラゴンとCLは、「ダブステップ」の世界的なブームを巻き起こしているDJスクリレックス(Skrillex)の新曲の制作にも参加した。先週公開されたニューアルバム「リセス(Recess)」は、米ビルボードのアルバムチャート「ビルボード200」で4位、アイチューンズのヒットチャートで2位にランキングされ、爆発的な人気を集めている。
他にも、Gドラゴンは海外のアーティストとのコラボレーションを積極的に試みている。カナダのポップスターのジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)と共同で制作したトラックを発表する予定だと伝えられ、すでにファンの間では期待が高まっている。また、ラッパー兼音楽プロデューサーとして活動中のファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)とツイッターを通じてコラボレーションの可能性を示唆するメッセージをやり取りし、注目が集まっている。
国境を越えて世界中のファンに支持されているKポップは、韓国のものでありながら韓国だけのものではない。欧米の音楽も欧米のものだが、欧米だけのものではない。結局、音楽は文化コミュニケーションと交流の産物なのだ。
コリアネット イ・スンア記者
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