「なぜ来たのだろう、なぜ来たのだろう…泣いて帰る道、私はここになぜ来たのだろう…」
13日午前、在韓ドイツ文化院に悲しげな声が響き渡った。
この声の主人公は、第一次世界大戦当時、ロシア軍の兵士として参戦しドイツの捕虜になった韓人カン・ガブリエル(Kang Gawriel)さんがミュンスター捕虜収容所で故郷を懐かしみながら歌った歌だ。
第一次世界大戦当時、ロシア軍の兵士として参戦しドイツの捕虜になった韓人たちが故郷を懐かしみながら歌った歌を収録した円筒状の留声機アルバム
第一次世界大戦当時、ドイツの捕虜になった韓人の写真
当時ドイツは、世界各地の捕虜を対象に多様な文化圏の伝統音楽や言語などを円筒状の留声機アルバムに録音した。カン氏のほか、5人の韓人捕虜がそこにいた。キム・グリゴリ(Kim Grigori)さんをはじめ、アン・ステパン(An Stepan)さん、ユ・ニコライ(Yu Nikolai)さん、ユ・ニキフォール(Yu Nikiphor)さん、キム・カリトン(Kim Chariton)さんは、いずれもロシア軍の兵士として参戦し、捕虜の身となった。
故郷を懐かしみながら歌った彼らの歌が13日、在韓ドイツ文化院で開かれた学術会議「ベルリンに残された20世紀初めの韓人の声」で公開された。
この日の会議では、ベルリン民族学博物館のフォノグラム・アーカイブとフンボルト大学のラウト・アーカイブに所蔵されている1910年代の韓人捕虜が歌った音源が、円筒状の留声機アルバムに複製され、再生された。
彼らが歌った歌の中には「アリラン」「愁心歌」「哀怨声」などの民謡と「大韓人の」「祖国江山」などの独立運動歌が含まれている。この音源は、1999年にユネスコ世界記録遺産に登録されている。
13日に在韓ドイツ文化院で開かれた学術会議「ベルリンに残された20世紀初めの韓人の声」で、ベルリン民族学博物館とフンボルト大学の関係者が、韓人捕虜が残した音源について討論している
13日に開かれた学術会議「ベルリンに残された20世紀初めの韓人の声」で、第一次世界大戦当時、ロシア軍の兵士として参戦しドイツの捕虜になった韓人が故郷を懐かしみながら歌った歌を出席者が聴いている。
続いて、この音源をテーマにした学術発表が行われた。ベルリン民族学博物館フォノグラム・アーカイブの代表を務めるラス・クリスティアン・コッホ氏とフンボルト大学のラウト・アーカイブ収集委員を務めるヨヘン・ヘンニヒ氏が、それぞれの機関で所蔵している資料を紹介した。
国立国楽院は、ベルリン民族学博物館が所蔵している11のエジソンシリンダー・アルバムの14種の音源と、フンボルト大学が所蔵している17の円盤型留声機アルバム31種の音源、合わせて45種の音源をすべて収録したアルバムを制作した。
朝鮮時代の宮中音楽26曲が収録された留声機アルバム「朝鮮雅楽」
一方、国立故宮博物館は、朝鮮時代(1392-1910)から受け継がれてきた宮廷音楽26曲を収録したアルバムを公開した。
朝鮮時代に宮廷音楽を担当していた機関の李王職雅楽部が1928年に演奏した宮廷音楽26曲を収録した13枚の留声機アルバム(SP)「朝鮮雅楽」である。
国立故宮博物館は、これらの宮廷音楽をデジタル化し、音源の補正編集、ノイズ除去、マスタリング作業を経てデジタル音源を完成させた。
アルバム「朝鮮雅楽」には、李王職雅楽部の当時の活動内容と収録楽曲に関する解説も含まれている。収録された26曲は、当時の宮廷楽士と軍楽隊出身の楽士、李王職雅楽部員養成所の卒業生が演奏し、雅楽師だったキム・ヨンジェ(金寗済、1883-1954)とハム・ファジン(咸和鎭、1884-1948)が指揮したもの。
国立故宮博物館の関係者は、「このうち12曲は、1991年にCDにして発売したことがあるが、全曲をデジタル音源にしたのは今回が初めて」と説明した。
音源は、国立故宮博物館の公式ホームページ (
www.gogung.go.kr)にも掲載し、誰でも簡単にダウンロードし、鑑賞できるようにする計画だ。
コリアネット ソン・ジエ記者
写真提供:国立国楽院、国立故宮博物館
jiae5853@korea.kr