文化

2016.02.16

安堅(アン・ギョン)の「夢遊桃源図」(1447年作)デジタル複製品が高麗(コリョ)大学博物館に展示されている

安堅(アン・ギョン)の「夢遊桃源図」(1447年作)デジタル複製品が高麗(コリョ)大学博物館に展示されている



朝鮮王朝世宗(セジョン)大王の三男、安平大君(アンピョンデグン)が夢で見た武陵桃源を絵にした「夢遊桃源図」。深い霧で遠くかすかに見える絶壁と鮮やかな桃畑が対比をなす安堅のこの作品は朝鮮山水画有数の傑作だが、韓国ではなかなか拝むことができない。天理大学が所蔵している日本の重要文化財だからだ。そのため2009年の「夢遊桃源図」のソウル展示は大混雑となり、4時間も並んでたった1分間しか作品の観賞ができない場面も見受けられた。

これまで滅多に見られなかった「夢遊桃源図」を、ようやく時間の制限なくゆっくりと鑑賞できるようになった。カギはデジタルだ。日本の天理大学にある実物のデジタル複製品を提供してもらい展示するのだ。

高麗大学博物館と京畿道(キョンギド)城南(ソンナム)市所在のミヌ現代美術館で開かれる「海外の韓国文化財、デジタルでの里帰り」展では、デジタル「夢遊桃源図」をはじめ海外にある韓国の名画7作がデジタル複製品で鑑賞できる。

デジタル展示された「墨梅図」(中央)の梅の枝に、雪がこんもりと降り積もっていく

デジタル展示された「墨梅図」(中央)の梅の枝に、雪がこんもりと降り積もっていく



単にデジタル複製品を壁面に映し出すのではなく、デジタルストーリーテリングも導入された。作品を保有する海外の美術館からデジタル複製品を提供してもらい、絵画の対象物を動かせたり筆の動きを見せるなどの変形を加えたのだ。「夢遊桃源図」に登場する渓谷や滝からは水が流れ、安平大君が夢で見たであろう鮮明な風景を間接体験したり、絵画の中で瞬きをする朝鮮時代の大臣、尹鳳九(ユン・ボング)にも会うことができる。

海外にある韓国名画は、韓国ではもちろん、作品を所蔵する海外美術館でも鑑賞するのは容易でない。展示を企画・進行したダインメディアアートラボの作家ナム・サンミン氏は、そんな傑作をデジタル化して展示することで、より多くの人々に楽しんでほしかったと話す。

デジタルで蘇らせた歴史的名画らは今月28日まで、高麗大学博物館とミヌ現代美術館で鑑賞できる。

コリアネット チャン・ヨジョン記者
写真:ダインメディアアートラボ
icchang@korea.kr