文化

2016.03.11

ピンデトク(緑豆チヂミ)は寒い冬だけでなく、結婚式や還暦などの宴会にも必ず登場する人気料理だ。昔は「貧しい人のための料理ということで『ピンジャ(貧子)トク』と呼ばれたが、最近は大切なお客に出す料理という意味でピンデ(賓待)トクと呼ばれる。

ピンデトクは名前とは違って餅(韓国語で「トク」は餅のこと)ではなく、油で焼いて食べるチヂミのこと。黄色い緑豆の生地に細かく切ったキムチと味付けした豚肉、ワラビ、緑豆もやしなどを乗せて分厚く焼き上げるピンデトクは、もともと祭祀や宴会に上がる油で焼いた肉の下敷きとして使われた料理だ。上の肉は身分の高い人たちが食べ、下のピンデトクは貧しい人たちに配ったり、宴会で雑役を務めた者の分になっていた。このとき、肉からにじみ出た油が染み込み、緑豆チヂミの味と調和して独特な味がするだけでなく、チヂミが分厚く小腹を満たすにはちょうどよかったため、徐々に1つの料理として独立することになったという。

ピンデトクが初めて記録として残されたのは、17世紀に書かれた初のハングル料理書「飲食知味方」でのことだ。ここには「ピンジャ餅」と書かれてあるが、書籍では現在とは違って小豆を中身に入れる調理法になっている。

最近は特別な日でなくても雨の日、雪の日にピンデトクを楽しむ人が多い。その理由としては、ピンデトクを油で焼く音が雨の音に似ているからだという説もある。  

緑豆生地にキムチ、豚肉、ワラビ、緑豆もやしなどを混ぜて分厚く焼き上げるピンデトクは、冬だけでなく大規模な宴会には欠かせない料理だ

緑豆生地にキムチ、豚肉、ワラビ、緑豆もやしなどを混ぜて分厚く焼き上げるピンデトクは、冬だけでなく大規模な宴会には欠かせない料理だ


** 材料と分量
緑豆90g(½カップ)、水110g、塩1g(小さじ¼)
白菜キムチ40g、ふやかしたワラビ20g、刻んだ豚肉30g
ソース : 醤油3g(小さじ½)、刻んだ長ネギ4.5g(小さじ1)、刻んだニンニク2.8g(小さじ½)、
コショウ0.1g、ごま油2g(小さじ½)
緑豆もやし50g、水600g(3カップ)、塩1g(小さじ¼)
味付け : 塩0.5g(小さじ⅛)、ごま油2g(小さじ½)
青唐辛子5g(⅓個)、赤唐辛子5g(¼個)
食用油26g(大さじ2)
酢醤油 : 醤油18g(大さじ1)、酢15g(大さじ1)、水15g(大さじ1)、チョウセンマツ粉末2g(小さじ1)

ピンデトクの主な材料である緑豆、豚肉、緑豆もやし、ワラビ、キムチ、青・赤唐辛子

ピンデトクの主な材料である緑豆、豚肉、緑豆もやし、ワラビ、キムチ、青・赤唐辛子



** 材料の下準備
1. 緑豆は水に8時間程ふやかして皮を擦りむき、小石を取り除いてからざるにあげる。
2. 白菜キムチは芯を抜いてぎゅっと絞り、約1㎝の長さで細かく切る。
3. ふやかしたワラビの硬い部分は切り取って、約2㎝の長さで切り、刻んだ豚肉と一緒にソースに入れて混ぜる。 緑豆もやしはシッポを取ってきれいに洗う。
4. 青・赤唐辛子は洗ってから長さ1㎝、厚さ0.2㎝程度に斜め切りする。
5. 酢醤油を作る。  

ふやかしたワラビは硬い部分を切り取り、緑豆もやしはシッポを取って斜め切りする

ふやかしたワラビは硬い部分を切り取り、緑豆もやしはシッポを取って斜め切りする


緑豆もやしとワラビは手入れしてから約2cmの長さで切り、刻んだ豚肉とソースに混ぜる

緑豆もやしとワラビは手入れしてから約2cmの長さで切り、刻んだ豚肉とソースに混ぜる



**作り方
1. ミキサーに緑豆と水を入れて1分ほどかけた後、塩を入れて味付けをする。
2. 鍋に水を入れて強火に3分ほどかけて沸騰したら緑豆もやしを入れて2分ほど茹でた後、約2㎝の長さで切り、ソースを入れて味付けをする。
3. 白菜キムチにワラビ、豚肉、緑豆もやしを一緒に混ぜて生地を作る。
4. フライパンを温めて油を引いてから、生地を径5~6㎝・厚さ0.5㎝程度に、形は丸く整えて流し込む。その上に青・赤唐辛子をかけて表は4分、裏返して2分ほど中火でこんがりと焼き上げる。
5. 酢醤油と一緒に出す。

コリアネット ユン・ソジョン記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者
資料:美しい韓国料理100選
翻訳:イム・ユジン
arete@korea.kr

ミクサーにかけた緑豆に白菜キムチ、ワラビ、豚肉、緑豆もやしを一緒に混ぜてピンデトクの生地を作る

ミクサーにかけた緑豆に白菜キムチ、ワラビ、豚肉、緑豆もやしを一緒に混ぜてピンデトクの生地を作る


温めたフライパンに油を引いてピンデトクの生地を丸く乗せる。5~6分ほどこんがりと焼く

温めたフライパンに油を引いてピンデトクの生地を丸く乗せる。5~6分ほどこんがりと焼く