「韓国人の力はご飯から出る」という言葉もあるように、温かいご飯1杯は韓国人にとって元気の源のようなもの。その中でも、トルソプ(石釜)にに米・人参・ナツメ・栗などを入れて炊き上げたヨンヤンドルソッパプ(栄養釜飯)は大事な客にもてなした特別な料理だ。
朝鮮時代に書かれた衣食住に関する百科事典『閨閤叢書(キュハプジョンソ)』(1809)には、「ご飯と粥には石釜が一番」と石釜で作るご飯を最高のものと考えた。実際に、石釜は炊いたご飯を蒸らす際に均一に熱が伝わるうえ焦げにくいので味がよく、石釜が保温性にも優れているためご飯が冷めにくい。
ヨンヤンドルソッパプに入れるナツメや人参は、消化促進および滋養強壮に効果があり漢方で広く使われてきた。とくに、ナツメは貧血、気管支炎、神経衰弱、全身衰弱、慢性肝炎、栄養不足などに効き、熱を下げたり便秘をなくすだけでなく、咳にもよく効く。
人参はスタミナのつく代表的な健康食品で、ナツメと併せて摂ると栄養のバランスがよく合う。人参に含まれるサポニン成分は、脂肪を溶かし体の外に排出する作用をし、老化防止やスタミナ補充に良い。朝鮮時代の代表的な医書『東医宝鑑(トンイボガム)』(1610)には「精神を安定させ、目を明るくし、気力を補充する」と書かれている。

ナツメ・人参・栗・松の実などが入ったヨンヤンドルソッパプは大事な客にもてなす特別な料理。石釜で炊き上げたご飯は味もよく保温性にも優れる
** 材料および分量

ヨンヤンドルソッパプの主な材料。うるち米ともち米、ナツメ、人参、栗、キノコ、松の実、黒豆
うるち米 360g(2カップ)、もち米 90g(½カップ)、黒豆 30g、栗 60g(4個)
ナツメ 32g(8個)、マッシュルーム 37g、人参 25g
銀杏の実 24g(12個)、松の実 10g(大さじ1)、水 600g(3カップ)
ソース:醤油 54g(大さじ3)、唐辛子 1.1g(小さじ½)、刻んだネギ 14g(大さじ1)
刻んだニンニク 5.5g(小さじ1)、ごま塩 6g(大さじ1)、コショウ 0.3g(小さじ⅛)
ごま油 8g(小さじ2)
** 材料の下準備
1.うるち米ともち米をきらいに洗ってから30分ほど水にふやかしてから、ザルに上げて10分ほど水切りする。
2.黒豆はきれいに洗ってから3時間ほど水にふやかしてから、ザルに上げて10分ほど水切りする。
3.栗は皮を剥いて2~4等分に切り、ナツメは布巾で拭いて実だけを切ってから2~3等分する。
4.マッシュルームは傘の皮を剥いて、縦に0.7cmほどの厚さで切る。
5.人参はきれいに洗ってから脳頭を切り、長さ2cm・厚さ0.7cmで斜め切りにする。
6.フライパンを温めてから油を引いて銀杏の実を入れ、中火で2分ほど転がしながら炒め皮を剥く。松の実は鱗片を剥いてから布巾で拭く。
7.ソースを作る。

人参はきれいに洗ってから脳頭を切り、食べやすい大きさで斜め切りにする
** 作り方
1.石釜にうるち米・もち米・黒豆・栗・マッシュルーム・人参を入れて強火に10分ほどかける。沸騰したら3分ほどさらに加熱。
2.弱火にしてからナツメ・銀杏の実・松の実を入れて10分ほど経ったら、火を消して10分ほど蒸らす。
3.十分蒸らしてからよく混ぜ、お皿に入れてソースと一緒に食べる。

石釜にうるち米・もち米・豆・栗・人参をいれて水を入れる。このとき水が沸騰して溢れたら、蓋を少しだけ開けてからまた閉める
コリアネット ユン・ソジョン記者
翻訳:イ・ジンヒョン
写真:コリアネット チョン・ハン記者
資料:美しい韓国食100選
arete@korea.kr