文化

2016.07.08

ファチェ(花菜)は冷やした果汁に果物や花を浮かべた飲み物で、料理で暑さを忘れる韓国人ならではの方法の1つ。19世紀末に刊行されたハングル料理本の『是議全書』にはバラ、ユスラウメ、クマイチゴ、モモなどを使った様々なファチェの作り方が書いてある。 純祖 スンジョ 29年(1829年)に発刊された『進爵儀軌(朝鮮時代の宮廷で行われた宴会の詳細記録)』でもファチェの材料を紹介している。

ファチェ用の果汁を作るとき一番よく使われる材料は五味子だ。五味子ファチェは五味子を浸しておいた果汁に蜂蜜や砂糖を入れ、飾り切りにした梨を浮かべたもので、独特の酸味が疲労と喉の渇きを癒し、疲れた心身に活力を与える夏の飲み物。

五味子は辛い・苦い・甘い・酸っぱい・渋いの5つの味がすることから名付けられた赤く小さい実である。水に浸しておくとツツジ色のきれいな果汁が滲み出て、その色は餅や伝統菓子に色をつけるときの天然染料として利用される。飲清類(酒以外の嗜好性飲料)、伝統酒、果片類にも使われる。五味子は滋養強壮、去痰・鎮咳作用、喉の渇きを解消し、汗や下痢を止め、肺の機能を助ける効果がある。

五味子ファチェは湯冷ましの水に五味子を一晩浸してきれいに色が滲み出たら、目の細かい茶こしなどで濾してから蜂蜜を入れて色と味を調整する。梨を薄切りにして花の形に抜き松の実とともに浮かべる。

五味子ファチェは五味子の果汁に水や砂糖を入れ、形を作った梨を浮かべて冷たい状態で飲むもの。この飲料は肺の機能を助け、咳や喉の渇きにも効く

五味子ファチェは五味子の果汁に水や砂糖を入れ、花の形に抜いた梨を浮かべて冷たい状態で飲むもの。この飲料は肺の機能を助け、咳や喉の渇きにも効く



**材料と分量
五味子 20g(1/5カップ)、湯冷まし 400g(2カップ)
砂糖 36g(大さじ 3)
蜂蜜 38g(大さじ 2)
梨 125g(¼個)
松の実 3.5g(小さじ 1)

ファチェの果汁を作るとき一番頻繁に利用される五味子は辛い・苦い・甘い・酸っぱい・渋いの5つの味をもつ赤くて小さい実

ファチェの果汁を作るとき一番頻繁に利用される五味子は辛い・苦い・甘い・酸っぱい・渋いの5つの味をもつ赤くて小さい実


水に五味子を入れて12時間置くと赤い果汁ができあがる。この果汁は色がきれいであるため餅や韓国の伝統菓子に色をつけたり飲清類、伝統酒にも利用される

水に五味子を入れて12時間置くと赤い果汁ができあがる。この果汁は色がきれいであるため餅や韓国の伝統菓子に色をつけたり飲清類、伝統酒にも利用される



**材料の下準備
1. 五味子はきれいに洗ってからザルにあげて水気を切る。
2. 水に五味子を入れて12時間ほど置いてから綿布で濾して五味子果汁を作る。
3. 松の実は胚芽を取り綿布で拭く。

**作り方
1. 五味子果汁に砂糖と蜂蜜を入れる。
2. 梨は皮を剥いて厚さ0.2㎝程度に薄切りし、型で梨の花の形に抜く。
3. 器にファチェ果汁を入れて、梨と松の実を浮かべる。

コリアネットユン・ソジョン記者
写真:コリアネットチョン・ハン記者
協力:韓国伝統飲食研究所
翻訳:イム・ユジン
arete@korea.kr

薄切りした梨を花模様の抜き型で具の形を作る。好みに合わせて他の果物を使っても良い

薄切りした梨を抜き型で抜いて花の形を作る。好みに合わせて他の果物を使っても良い


五味子を12時間ほど水に浸して作った果汁に砂糖と蜂蜜を入れる

五味子を12時間ほど水に浸して作った果汁に砂糖と蜂蜜を入れる


器に果汁を入れて梨と松の実を浮かべる

器に果汁を入れて梨と松の実を浮かべる