文化

2016.08.24

映像、音響、インスタレーションなどを組み合わせた各国のアーティストたちによるメディアアートがソウルに集まる。

数々のメディアアートが一堂に会するのは、9月1日からソウル市立美術館で開催される「メディアシティー・ソウル(Mediacity Seoul)2016」展。同展示には欧州、アジア、北米、南米、アフリカ、中東、オセアニアの23カ国61人のアーティストが参加する。

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アルゼンチン出身のアーティスト、エドゥアルド・ナバーロは「メディアシティー・ソウル2016」で公演『馬は嘘をつかない(Horses Don’t Lie)』を3度にわたり披露する。言語の要らない心理の風景を体と装置の動きで表現し、異なる生命体の時間を体験する姿を演出する



展示のテーマは「ネリリ、キルル、ハララ」。谷川俊太郎の詩『二十億光年の孤独』に登場する火星語で、まだ来ぬ未来の言語、または未知のものとして残っている過去あるいは現在の言語という意味が込められている。同展示のペク・ジスク芸術監督は「今回の展示は戦争、災害、貧困など負の遺産をどうやって未来に向けた希望へと転換させるかについての質問からスタートしている」と説明した。

そのようなテーマであるためか、今年は女性、中南米やアフリカのアーティストの参加率が大幅に高くなっている。最先端技術に反対しつつ環境や自然を作品に取り入れた女性アーティスト、貧困・戦争・災害などを経験したアフリカ・中南米アーティストの視点で見つめる未来を確認することができる。ペク監督は「『デジタル・ネイティブ』世代の特徴を反映し、女性アーティストが未来に向ける視線に注目し、アフリカのSF的想像力を反映させたい」と語る。

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フランス出身のピエール・ユイグによる19分の映像作品『人間仮面(Human Mask)』は、東日本大震災以後の静寂な福島を背景に、自らが覚えている人間の行動を無意識のうちに繰り返す猿を地球上の最後の生命体として描いている



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オーストリア出身のマルチメディア・アーティスト、ウルスラ・マイヤー(Ursula Mayer)による28分の映像作品『ゴンダ(Gonda)』は、映画の古典的文法をすべて崩し、荒廃の地にポスト・ヒューマン(post-human)を描き出している



展示作にはフランス出身のピエール・ユイグ(Pierre Huyghe)、アルゼンチンのエドゥアルド・ナバーロ(Eduardo Navarro)、ベルギーの映画監督シャンタル・アケルマン(Chantal Akerman)、米国出身のベン・ラッセル(Ben Russel)の作品も含まれている。

作品の展示以外にセミナーも開かれ、参加したアーティストらがそれぞれの作品世界と現代美術の技術、環境、身体についての議論を交わす予定。2000年の初回以来、隔年で開催されている「メディアシティー・ソウル」展。今年の展示は11月20日まで続く。詳細は下記のホームページで確認可能。
http://mediacityseoul.kr/2016/ko/

コリアネット ソン・ジエ記者
写真:ソウル市立美術館
翻訳:イ・ジンヒョン
jiae5853@korea.kr