「冬に食べるキムチ(冬沈)」のトンチミは、塩漬けした大根に香味野菜を入れてから塩水をかけて熟成させた水キムチ。辛かったり塩味が強いなどの刺激的な味がしないため誰もが楽しめる上、大根のシャキシャキした食感が爽やかなスープの味とよくマッチするのが特徴といえる。
トンチミは冬が旬の小さい大根を使って立冬の前後に作る。そうすれば冬至の頃に程よく熟成し、小豆粥と一緒に食べたりトンチミスープに麺を入れて冷麺として楽しむこともできる。韓国伝統飲食研究所によると、朝鮮王朝第26代王の高宗(コジョン、1852-1919)は歯が弱く辛いものを嫌ったため冷たいトンチミスープを使った冷麺を夜食としてよく食べたという。
トンチミは塩漬けにした大根で作る水キムチの1種で、味が刺激的でないため誰もが楽しめる冬のキムチ。柚子・松の実・梨・りんごなどの多様な材料を入れることもあり、スープに麺を入れて食べたりもする
トンチミのスープは昔消化不良や胃もたれのときに民間療法としても活用された。トンチミの主材料となる大根に消化を助ける働きがあるためだ。実際、 朝鮮時代の代表的な医書の1つである『東医宝鑑(トンイボガム)』には大根について「五腸の悪い機運を洗い流し、肺の萎縮による吐血と咳を治す」と書いてある。大根にはアミラーゼのリグニン成分が豊富で去痰作用があるので咳や痰を沈静させるときに有効である。
**材料と分量 大根 3.5kg(4個)、粗塩 52g(大さじ 4)
塩水:水 10kg(50カップ)、塩 240g(1½カップ)
ワケギ 50g、カラシナ 50g、ニンニク 100g、ショウガ 60g、もどしたミル 30g
塩漬けのトウガラシ 100g、梨 500g(1個)
トンチミの主材料の大根・塩・梨・ワケギ・ニンニク・ショウガ・トウガラシ
**材料の下準備 1. 大根は葉っぱとひげ根をとりきれいに洗ってから粗塩でいたずりして2日ほど漬ける。
2. ワケギとカラシナ・ニンニク・ショウガ・もどしたミルは下準備して洗った後、ワケギは2~3本ずつ束ねニンニクとショウガは厚さ0.3cm程度に切ってミルとともに綿袋に入れて入り口を結ぶ。
3. 塩漬けのトウガラシは下準備して洗い、梨は洗ってから箸で全体に穴を開けておく。
トンチミの主材料の大根をいたずりしてから漬ける
**作り方 1. 鍋に塩水と漬けた大根から出た水を入れ強火に20分程度かけてから冷やしてトンチミスープを作る。
2. 壺に塩漬けにした大根と残りの材料を入れてから塩水をかけて重いもので押さえておく。
壺に塩漬けにした大根ち残りの材料を入れてから塩水をかけて重石で押さえておく
編集:コリアネット ユン・ソジョン記者
写真:韓国伝統飲食研究所
資料:美しい韓国料理100選
翻訳:イム・ユジン
arete@korea.kr