トッククや旬の果物、お茶及びお酒を中心とするソルナルの茶礼床=東遠グループ
[ソウル=キム・ウニョン]
韓国の今年のお正月(ソルナル)は1月25日である。
ソルナルの当日には、先祖の霊を供養する儀式「茶礼(チャレ)」を行う。各家庭では、先祖を祀る祭壇に茶礼床(チャレサン)と呼ばれるお供え用の食膳を準備する。地域や家庭によって、食膳に並ぶ料理に多少の違いがある。基本的には、冠婚葬祭が詳細に記述されている「朱子家禮」に従って、トックク(餅のスープ)や旬の果物、お茶及びお酒が中心とする。
韓国国学振興院によると、1960年代から韓国で産業化が進むにつれて、一般市民の生活も豊かになり、食膳に並ぶ料理の種類も30種類に上るなど多様化してきた。
だが、たくさんの料理を作る茶礼の準備が、多くの人々の負担や悩みとなり、最近では料理の数を減らすなど簡素化するケースも増えてきた。家族が食べないメニューは省いたり、食べきれないくらい大量に作らない、というようにだ。
茶礼床の食材を買いに大型スーパーを訪れた林昭瑛(イム・ソヨン、35)さんは、韓菓(ハングァ、もち米を油で揚げた菓子)を食膳から省くと話した。家族が食べないからだ。林さんは、「食べきれる量を用意することが先祖に対する礼だ」と強調した。
また、 茶礼床の食膳や用品のオンライン宅配サービスを利用したり、調理済み食品を購入したりする人も多くなった。
40年間、茶礼を行っている姜秀京(カン・スギョン、63)さんは、「これまでは、たくさんの料理を準備してきたが、親戚もだんだん集まらなくなったし、何より料理の準備をする時間がない」とし、料理の中で一番手間がかかるジョン(チヂミ)とナムル(和え物)は店で購入した。
茶礼床に並ぶ熱帯産の果物=健康弁当
最近では、先祖が好きだった食べ物や、珍しい食べ物が茶礼床に並ぶこともある。
昨年の茶礼床にバナナとパインアップルを用意した尹喜貞(ユン・ヒジョン、43)さんは、「なくなった祖母の大好物が果物だった」とし、「今年はシャインマスカットを用意した」と話した。
韓国国学振興院の金美榮(キム・ミヨン)博士は、最近の茶礼床について「韓国文化のアイデンティティを保ちながら、家庭の都合に合わせて行うべきだ」とし、「誠心誠意を込めて、先祖に敬意を表することと、家族の和を大切にすることが最も重要だ」と説明した。
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