文化

2025.05.07

徳寿宮の重明殿で、外国人を対象にした「皇帝の食卓」の体験イベントが英語で行われた=5月1日、ソウル

徳寿宮の重明殿で、外国人を対象にした「皇帝の食卓」の体験イベントが英語で行われた=5月1日、ソウル


[ソウル=チョン・ミソン]
[写真=イ・ジョンウ]

1905年、乙巳勒約の締結をわずか2カ月に控え、アメリカのルーズベルト大統領の娘、アリス・ルーズベルトをどのようにもてなせばよいだろうか。危うい大韓帝国の運命を変えることができるのだろうか。 

貴賓を宴会場に案内する女官の様子

貴賓を宴会場に案内する女官の様子


それから120年後、宮殿で再び晩さん会が開かれた。

先月26日、第11回目を迎えた「宮中文化祝典」が開催された。ソウルの5大宮と宗廟(チョンミョ)を舞台に、韓国で最大規模を誇る文化遺産祭りだ。毎年、数十万人が訪れている。

今年は、徳寿宮(トクスグン)の重明殿で外国人を対象にした「皇帝の食卓」が初めて披露された。大韓帝国の皇室のディナーを味わいながら、その背景と意味について英語で解説を聞くことができる。皇帝が西洋からの客を迎えるために準備した食卓の雰囲気がリアルに再現された。

'「皇帝の食卓」で再現された料理。右下から時計回りに骨董麺、アワビ、花陽炙、酢コチュジャン、煎油魚、煮豚、キムチ

「皇帝の食卓」で再現された料理。右下から時計回りに骨董麺、アワビ、花陽炙、酢コチュジャン、煎油魚、煮豚、キムチ


骨董(コルドン、混ぜるという意味)麺、チャンキムチ、花陽炙、アワビ、煎油魚、煮豚、酢コチュジャンなど、前菜からデザートに至るまで、当時のメニューがそのまま再現された。高宗(コジョン)皇帝は、「韓国料理」を宮中の真心と自尊心であると考えていた。外交の場で、料理で国の品格を表そうとしたのだ。

国家無形文化財である宮廷料理の技能保有者であるハン・ボクリョ。「皇帝の食卓」を企画した背景について説明する様子。

国家無形文化財である宮廷料理の技能保有者であるハン・ボクリョ。「皇帝の食卓」を企画した背景について説明する様子。


料理の再現を担当したのは、国家無形文化財の宮中料理技能保有者であるハン・ボクリョ。彼女は、「宮中料理は私たちが守らなければならない貴重な文化遺産だ。K-フードと聞いて、すぐに思い浮かぶようなメニューだけでなく、長い歴史を持つ朝鮮時代の宮廷料理を紹介したかった」と話した。

開港後、大韓帝国は西洋からの文物を受け入れて転換点を迎えた。 西洋の客には、西洋式のコース料理を振る舞ったという。今回の「皇帝の食卓」を通して、「韓国固有のもの」で外交に取り組んだ先祖たちの知恵と自負心について感じさせてくれる。

「皇帝の食卓」が行われている徳寿宮の中明展=5月1日、ソウル

「皇帝の食卓」が行われている徳寿宮の中明展=5月1日、ソウル


1905年、西洋式の建築物である重明殿で、晩さん会が行われた。それは国家の運命をかけた外交戦であり、威厳と品格、自尊心に満ちた大韓帝国の食卓だっただろう。高宗が大韓帝国を宣布する際に明らかにした「旧本新参、古いものを守りつつ、新しいものを取り入れる」という精神が込められていた。

今年で11回目を迎える「宮中文化祝典」は、ソウルの5大宮殿である景福宮(キョンボックン)、昌徳宮(チャンドックン)、徳寿宮(トクスグン)、昌慶宮(チャンギョングン)、慶熙宮(キョンヒグン)と宗廟(チョンミョ)で毎年2回、春と秋に開催される。今年は4月26日から5月4日までの9日間行われる。外国人のための事前予約プログラムも用意された。イベントの詳細は、宮廷文化祝典のホームページ(http://www.kh.or.kr/fest/en)で英語で確認できる。
msjeon22@korea.kr