食・旅行

2021.06.18


[高城=ソ・エヨン、イ・ギョンミ]
[写真=ソ・エヨン]
[映像=江原文化TV]

韓国最北端の海水浴場である江原道(カンウォンド)・高城(コソン)郡の明波(ミョンパ)海水浴場の近くに位置しているホテル「リーメーカー(Re:maker)」。ホテルの客室のカーテンを開けると、目の前に海が見える。しかし、白い砂浜と青い海の間を遮っている鉄柵が、分断されている韓半島の現状を思い出させる。

英国出身の有名アーティストであるバンクシーが手がけ、パレスチナのベツレヘムにオープンした「ザ・ウォールド・オフ・ホテル(The Walled off Hotel、壁で切り離されたホテル)」に続き、世界で2番目に国境地域に建てられたアートホテル。放置されていた宿泊施設を、8組のアーティストチームが6カ月間にわたってリフォームし、先月20日にオープンした。文化体育観光部と江原道、京畿道(キョンギド)、仁川(インチョン)広域市が共同で、国境地域の軍事的イメージを平和のイメージに切り替え、新しい文化芸術観光資源を構築するために進めている事業の一つ。

8組のアーティストチームが一部屋を担当し、客室ごとにコンセプトが異なる。客室そのものが作品であり、展示スペースでもあるのだ。部屋の壁紙、ソファーなどの家具はもちろん、コップなどの小物に至るまで、客室の中の全てをアーティストが手がけた。

「Weird tension」


アーティストのオ・ミョチョ氏は、非武装地帯(DMZ)の近くにあるホテルという点に着目し、「不便さ」をキーワードにした「Weird tension」(訳:奇妙な緊張)と名付けた部屋を公開した。トイレのドアには、ドアノブが12個もついている。また、テレビが天井に設置されているため、ベッドに横にならなければ見ることができない。普通の部屋なら当たり前の光景が、この部屋ではぎこちないものになっている。平和に見えるが、相変わらず緊張感が残っている分断の現実を表現した。

海にかかった虹をモチーフにした「スペクトルーム」


スポラ・スポラというアーティストチームの「スペクトルーム」は、江原道の高城の海にかかった虹からアイディアを得て作った部屋である。

「金作家の部屋」


他にも、DMZの生態系と自然を再解釈した「山水設計ホームプロジェクト」、武器や戦略物資に使われる金属で空間を作った「金属部屋」、架空の失郷民を登場させた「金(キム)作家の部屋」など、個性あふれるアートルームがある。

オープンはしたものの、現在は内部観覧のみ可能となっている。カフェ、レストラン、コミュニティールームなどがあり、近くの統一展望台、DMZ博物館などを訪問する人が休憩をとる場所として使われる予定。今後の具体的な利用方法は、6月中旬以降に決まる。

このホテル建設の総括担当者である洪京漢(ホン・ギョンハン)氏は、「世界で唯一の分断国家であることを象徴するDMZは、最後の禁断の地であり、悲劇と希望が共存する場所」とし、「単なる宿泊施設ではなく、韓国戦争以来、70年間の歴史と理念という固い障壁の中で生きていく韓国の現実と向き合える混沌の実験室」と説明した。

江原道・高城に位置しているアートホテル「Re:maker」


xuaiy@korea.kr