過去に上演された「ニジ部隊」の一場面＝居昌郡
[居昌＝キム・ヘリン、イ・ギョンミ]
車窓から景色が緑濃くなると、渓谷が見え始める。曲線の美しい岩、老松の群れが青い水と調和しているところ。「世間の憂いを忘れるほど風景が素晴らしい場所」という意味を持つ「捜勝台（ススンデ）」に着いた。
先月２８日、KOREA.netが訪れた捜勝台は、今年で３２回目となる「居昌（コチャン）国際演劇祭」の開催準備の真っただ中だった。水深浅く、涼しい木陰の森道があることから夏休みの人気スポットとして有名なこの場所で、「居昌国際演劇祭」が２２日から８月５日まで開催される。この演劇祭は、韓国最古の屋外演劇祭。新型コロナウイルスの感染拡大や内部の事情により中断されてから４年ぶりのオフライン開催となる。
慶尚南道・居昌郡を代表する観光スポット「捜勝台」＝2022年6月28日、慶尚南道・居昌郡、キム・シュンジュ撮影
居昌国際演劇祭は１９８９年、慶尚南道（キョンサンナムド）地域の劇団が主に参加する「十月演劇祭」として始まった。その後、観客の注目を集め、海外劇団も参加するようになり、１９９５年に国際演劇祭へと発展した。忠清南道（チュンチョンナムド）・公州（コンジュ）市、慶尚南道・蜜陽（ミリャン）市など、他の地域でも大規模な演劇祭を行うが、屋外舞台を中心に国際演劇祭を開催するのは居昌が唯一。
人気グループBTSのメンバーV、俳優のカン・ドンウォンが居昌出身であることを誇りに思う現地の住民にとって、この演劇祭はもう一つの自慢。居昌郡と慶尚南道は、２０２０年に居昌演劇高校も設立した。地域唯一の演劇高校を初めて卒業した生徒たちが今回の開幕公演に参加することも意味がある。
「居昌、夏の夜の夢」というテーマで行われる開幕公演は、捜勝台に設置された水中特設舞台で午後８時から始まる。居昌文化財団の黄国宰（ファン・グクジェ）芸術監督は「開幕公演を見ることで演劇祭全体の流れが分かるよう、作品のハイライトだけを抜き出した」とし、「様々なパフォーマンスやドローンを利用した花火大会が行われるなど、見どころ豊富な演劇祭になる」と説明した。
第３２回居昌国際演劇祭が行われる会場＝2022年6月28日、慶尚南道・居昌郡、キム・シュンジュ撮影
今年は、米国やフランス、ギリシャなど８カ国・地域から５６の団体が参加し、７５回の公演を上演する。海外団体の公演の大半は「ノンバーバル（言語を使わない、非言語という意味）」で行われる予定で、国籍を問わず楽しむことができる。
子供連れの家族のための演劇やマイム演劇、２１のチームが披露するフリンジ公演などが予定されている。「フリンジ」とは、舞台を問わず街のあちこちで行われる公演のこと。フリンジの起源は、１９４７年、英国のエディンバラ国際フェスティバルが開催された際、公式に招待されなかった劇団が自主的に公演を行ったことによる。
ファン監督は、今回の演劇祭で注目したい公演として、米国で映画監督・俳優・教育者として活動しているDaniel Irizarry氏のノンバーバル公演を挙げた。ファン監督は「挑戦的かつ魅惑的で、予測のできない作品と評価されている」とし、「観客にとってユニークな体験になるだろう」と話した。
Daniel Irizarry氏の１人劇「YOVO」の一場面＝居昌郡
居昌郡の具仁謨（ク・インモ）郡首は「今年を、居昌国際演劇が再跳躍するきっかけの年にしたい。自然と人が調和する演劇祭、韓国を代表する夏の屋外演劇祭になれるよう最善を尽くす」とし、「居昌を、１年中公演が行われる地域にしたい」と抱負を語った。
ソウル（南部ターミナル）から居昌までは、バスで約３時間３０分かかる。捜勝台にはキャンプ場が設けられている。夏休みの計画をまだ立てていないなら、居昌へ行くのはどうだろう。緑に癒されながら公演を満喫することができる。
居昌国際演劇祭の詳細は、ホームページ（http://www.kift.or.kr/）で確認できる。料金は、大人１万ウォン（約１０００円）、学生５０００ウォン（約５００円）。
第３２回居昌国際演劇祭の会場で準備状況を確認する居昌郡の具仁謨郡首（中）＝2022年6月28日、慶尚南道・居昌郡、キム・シュンジュ撮影
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