[仁川=田村温子(日本)]
「キムジャン」をご存じですか?
キムジャンとは本格的な冬が来る前に、春先~1年分のキムチをまとめて漬ける「キムチ作り」のことを言います。また、キムジャンはユネスコの無形文化遺産に指定されており、韓国の大切な文化として認められています。
スーパーのキムジャンコーナー=田村温子撮影
11月末頃になると多くの家庭でこのキムジャンが行われ、スーパーではキムジャンコーナーが設けられていたり、ソウルではキムジャン祭りが開かれたりと、韓国人には欠かせない一大イベントとして認識されています。
キムチは保存食なので冬の間に食べるキムチを作り溜めしておくというのに加え、ちょうど白菜の旬でもあるので白菜自体もおいしいし、キムチ作りに最適な時期です。
キムジャンは家庭ごとに行われるため、キムチの味は家庭ごとに少しずつ違うし、また地域によっても材料が少しずつ変わってきます。
キムチは義母からもらうことが多く、自身で作ってまで食べたことがなかったのですが、今回韓国料理教室の特別授業で大量のキムチを作ることになり、キムジャンの大変さを身をもって体験しました。
塩付けされたチョリム白菜=ジョン・ラパン撮影
今回作ったキムチは白菜キムチで100キロ、白菜は塩付けされたチョリム白菜(市販のもの)を使用しました。
■まずはヤンニョム(薬味)作り
野菜カッターで大根スライス作り=ジョン・ラパン撮影
調味料は、にんにく、生姜、アミの塩辛、魚醤、唐辛子の粉、塩、砂糖、もち米糊、出汁などを使用します。ヤンニョム作りに使用した野菜は、スライスした大根、からし菜、細ねぎ、ねぎなど。
キムジャンマット(子供用のビニールプールのようなビニールシート)に上の材料を入れ混ぜ合わせます。
最初にスライス大根に味付けをし、からし菜やネギなどの野菜を入れていく=ジョン・ラパン撮影
■次にチョリム白菜にヤンニョムを塗る
キムジャンマットで白菜にヤンニョムを塗る=ジョン・ラパン撮影
白菜の外側の葉から一枚一枚、ヤンニョムを塗っていきます。
仕上げとして白菜の大きな葉(緑の濃い部分)などでヤンニョムが出てこないように包むのがポイント。こうすることで後に保管する際に白カビなども生えにくくなります。
上だけを見ると簡単そうに見えるキムチ作りですが、韓国では「キムジャンは大変な仕事だ」と言われています。 何が大変かというと、どれもこれも力仕事だからなのです。
家族が半年~1年分食べる分なので量が多いのは当たり前のことですが、大根のスライス作りから、ヤンニョム作りで混ぜ合わせる時も力がいるし、長時間の作業になるので腰や脚も痛いのです。
キムジャンは女性が集まってするイメージがありますが、男性の手を借りたいくらい力が要る作業だったと個人的には思います。
それでも一度にまとめてたくさん作っておけば、長い間食べられるので、大変でもやっぱりキムジャンはしなくてはならない韓国の行事だと、一緒に作業した韓国人のおばさんが言っていました。
最後はポッサム(茹で豚肉)や牡蠣にできたてのキムチでお疲れ様の昼食会!キムジャン後の定番の食事です。
キムチはまだ染み込んでない状態ですが、ひと仕事した後の食事は最高においしく、やり遂げた満足感も大きいです。
ちなみに今回作ったキムチは、教室に通う私たちの他に地域に住む経済的に困窮しているお年寄たちに分けられました。韓国ではキムジャンの時期に、地域センターなどでキムジャンをし、地域のお年寄りたちに無料で分ける分かち合い文化などもあります。
キムジャンを終え持ち帰ったキムチ=田村温子撮影
韓国では毎度の食事で食べるキムチ。
キムチを知って韓国を知る、キムジャンを体験して韓国文化をまたひとつ理解したような気がします。
*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
km137426@korea.kr