韓国文学のコーナーが設けられている日本の書店
[大阪=大野瑠華(日本)]
[写真=大野瑠華]
今、日本で、韓国ドラマやK-POPなどと共に注目を集めているものがあります。何だかおわかりですか?そう、韓国文学です。韓国で人気を集めた作品が次々に翻訳され、日本で出版されています。最近ではどこの書店に行ってもベストセラーの棚に一つは韓国作品があったり、韓国文学のコーナーが設けられているところも少なくありません。どんな作品があるのか、なぜ今そんなに人気を集めているのか、私なりに分析した結果などをご紹介していきたいと思います。
『82年生まれ、キム・ジヨン』韓国語版表紙
まずはみなさんもご存知であろう、『82年生まれ、キム・ジヨン』です。BTSのリーダーRMやRed Velvetのアイリーンなど芸能人も多数愛読したという小説です。フェミニズム文学と言われると難しいのではないかと思われるかもしれませんが、平凡な女性が生きているだけで経験することになる差別や偏見を通じて感じることを描くことで、私たちに様々な気付きや勇気を与えてくれる作品です。私は韓国語で読みましたが、難しい単語や言い回しが少なく、スラスラ読めました。韓国語を勉強中の方にもオススメです!
女性はもちろん、男性にも読んでほしいです。この作品は早くも映画化され、現在日本でも上映中です。時間の関係上、原作よりはエピソードが少ないですが、原作を読んだ後でも感動しましたし、見終わった後に考えさせられることが多かったです。ドラマなどでも人気の有名な俳優さんが出演されているので、この作品に触れるきっかけとしてはとても良いと思いますので、是非ご覧ください。
『死にたいけどトッポッキは食べたい』『私は私のままで生きることにした』韓国語版表紙
次に紹介するのは『私は私のままで生きることにした』です。こちらもBTSのメンバー、ジョングクが読んだということで話題になりました。人と比べず、世界にたった一人しかいない「自分」を大切にして生きていくために忘れないでほしい70のことが書かれた本です。全部に共感することはできなくても、自分が自分らしく生きていくためのヒントを得られる作品だと思います。
『死にたいけどトッポッキは食べたい』『私は私のままで生きることにした』日本語版表紙
もう一つ、日常に少し疲れているなと思う方に読んでほしいのは『死にたいけどトッポッキは食べたい』という作品です。不安神経症に悩む筆者が精神科医と会話をする形で進められるこの本は、読む人に癒しと共感を与えてくれます。ぼんやり死にたいと思っているのに、おなかが空いたらトッポッキも食べたくなる。そんな相反する感情を抱えていることこそ生きているということであり、一日中憂鬱な日だと思っても些細なことに笑ってもいい。そんなことを悟らせてくれます。
『アーモンド』韓国語版表紙と日本語版表紙
最後に紹介するのは『アーモンド』です。こちらもBTSのメンバーであるRMとSUGAが映像コンテンツの中で読んでいる姿が公開され、話題を集めました。こちらは「2020年本屋大賞」翻訳小説部門で第1位に輝いた作品でもあります。生まれつき扁桃体(アーモンド)が人より小さく感情がわからない少年が、激しい感情を持つ少年との出会いを通じて人生の変化を経験する成長物語です。涙を流さずにはいられないとの声が多く、どんな世代の方でも心打たれる作品だと思います。
なぜこんなに韓国文学が人気を集めているのか考えてみました。もちろん翻訳版がどんどん出版されていることも一つの理由であると思いますが、BTSらアイドルやスターが読んでいることでファンをはじめ大衆が興味を持ったことは大きな影響を与えたと考えます。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により、すべての人が大変な日常を送っている中、BTSの新曲『Life goes on』もそうですが、コロナに打ち勝とうと、ヒーリング文化が人気を集めています。そういった理由から、共感を持てて勇気をもらえるような作品が多いことも原因ではないでしょうか。
さらにドラマの中でも詩や小説などが多く登場・言及され、そのドラマを見たことで文学作品にも興味を持つようになるということもあると思います。韓国が創り出すコンテンツ全体が文化の拡散の翼となり、相乗効果を生み出しているという印象を持ちました。
まだ手にしたことがない方も、いくつかはもう読んだという方も他にもたくさん良い作品がありますので是非ご自身の目で、心で感じてみてください。
*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
km137426@korea.kr