名誉記者団

2021.02.11

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コロナで様変わりした韓国の旧正月=聯合ニュース


[仁川=田村温子(日本)]

韓国の一般的な旧正月の風景


2021年、新年が明け2ヶ月が経とうとしていますが、韓国では1月1日よりも陰暦である旧正月「ソルラル」を重要視します。


今年は2月12日がソルラル当日なので、週末も合わせて11日~14日までの4日間が連休です。
ソルラルは親戚一同が本家に集まり茶礼(チャレ)を行います。これは先祖を祭る儀式で、お供えの食事である茶礼床(チャレサン)を準備し礼を捧げます。


チャレが終わると、みんなでチャレサンの食事とトック(お餅のスープ)を頂きますが、韓国人はこのトックを食べてようやく「今年も無事1つ歳をとった」と感じられるそうで、ソルラルには欠かせない食べ物です。


白いお餅のように潔白な心で新年を迎え、健康でいよう!という意味もあり、これは朝鮮時代から続く伝統だそうです。


その後はお墓参りに行き、お墓の手入れと持参したお供え物を広げて礼を捧げます。
日本と同じくお年玉の文化もありますが、日本と違うのは、目上の人に「새해복많이받으세요(新年たくさんの福をお受け取り下さい)」と言いながら深いお辞儀(クンジョル)をする点です。


クンジョルを受けた目上の人たちは、徳談(トクダム)と言われる新年のお祝いや励ましの言葉を贈って、孫たちにお年玉を渡すのが流れです。
このように家族親戚一同が集まり先祖を祭り、共に食事をするのが一般的な韓国のソルラルです。

コロナで変わった旧正月の風景


しかし、コロナの影響で韓国の名節文化が変わっています。
現在韓国では、家族以外5人以上が集まることが禁止されているので、親戚皆が集まらず、家族だけで旧正月を過ごす家庭が増えています。


また、旧正月連休を「旧正月特別防疫期間」として、対策を整備し、防疫を強化する予定です。


チャレやお墓参りも非対面のオンラインに変わっています。チャレはZOOMなどテレビ電話を通して、それぞれの場所で同じ時間を過ごします。


韓服(韓国の伝統衣装)や正装をしてパソコンやスマートフォンの前でお辞儀をしたり、家族や親戚との久しぶりの再会を懐かしむなどの光景も見られます。


お墓参りは、インターネットを通してお供えをしたりストーリービュー(VR)訪問をするなどして祈りを捧げます。


連休中はお墓の施設が臨時閉鎖、連休前後には訪問可能にするなど、集中的な混雑を避けた対応をしているところもあるようです。


他にもドライブスルー墓参りや代理墓参り、合同祭祀を代理で行いYouTube中継するなど、様々な方法が生み出されています。


また、名節には両親や家族に贈り物をするのですが、ネットで簡単にプレゼント注文ができるので、直接会って渡さなくても気持ちを伝えることができます。


このようなオンラインの対応に対し韓国人の反応は、意外にも肯定的でした。


「今の時世にピッタリでよい。私たちも真似しよう!」
「状況が状況なのでご先祖様たちも理解してくれるだろう」
「オンライン上ではあるが久しぶりに会えて嬉しい」
「楽でよい」
「祭祀を準備する真心と心構えは、今までの名節もオンラインも変わらない」
「これを機に祭祀文化も変わっていく必要がある」


などの意見もあったそうです。

これに対する私の意見


事態が事態なので仕方のないことだと思うし、できる範囲内で「故人や家族を想う気もち」が大切です。


このように臨機応変に対策し、素早く受け入れられる姿は韓国らしくていいなと思いました。
個人的にも、名節は同じ空間にたくさんの人数が集まり、ともに食事をすることで感染が拡大するのは目に見えて分かっているので、今回のソルラルも家族単位で過ごすべきだと思います。


同じ場所に集まらなくても心は繋がっているし、先祖を想い家族を思う気持ちが大切で、何よりも健康第一です。


コロナが終わるまではこのような工夫と、今までとは違った対応をせざるを得ないと思います。


コロナをきっかけに、韓国の祭祀文化も少しずつ変わっていく気がします。


*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

eykim86@korea.kr