ソウルの夜景=iclickart(上記の写真は著作権法によって保護されています。無断転載、転用、複製などの二次利用を固く禁じます。)
[仁川=田村温子(日本)]
現在、世界中で新型コロナウイルスが流行し、思い通りの外出や海外旅行などができず、憤りを感じている人も少なくないだろう。特に日韓間は、格安航空会社(LCC)や激安航空券などが多かったので「ちょっと日帰り旅行行ってくるね」くらいの軽い感覚で行き来できていたはずなのだが、現在はそれが難しくなっている。
コロナになってからの現在、ソウルの有名観光地はどうなっているだろうか?
先日、ソウルへ行く用事ができたので、久しぶりに北村や仁寺洞、明洞あたりの観光地をぶらぶらしてきた。ちなみにコロナになってから必要以外の外出はしておらず、ソウルに出かけるのも久しぶりであった。特に「観光地」は人が常に多いというイメージがあったので、韓国在住の著者は普段からも用事がなければ行かない場所である。
■北村
北村の有名な観光地、北村韓屋村(プクチョンハノクマウル)へ足を運んだ。 小道の両側には古風な韓屋がずらっと並び、遠くには高層ビルや南山タワーが見えるソウルの人気観光スポットである。ここは個人的にも日本の家族や外国人の友達が韓国に遊びに来ると、よく連れていく場所だ。韓国の伝統的な街並みを楽しめるため、多くの外国人観光客がここを訪れる。
コロナ前の2019年10月に撮影した北村韓屋村=田村温子撮影
普段ここは多くの観光客で溢れかえっている。観光スポットではあるが観光地ではないため「ここは居住地域です。お静かに!」というような看板が立ててあり、注意を促す係員も立っているくらいだ。いつも人が途切れず、写真を撮るのも精いっぱいである。
北村韓屋村の最近の様子=田村温子撮影
しかし、現在は人っ子一人見当たらず、ただ黄色いチョッキを着た係員が立っているだけだ。たまにこの辺の住民が通りすがるくらいである。係の方に「こんにちは~」と話しかけ現状況について話を伺ってみた。「普段ここは人で道が見えなくなるくらい外国人観光客が訪れる人気観光スポットでしたよね。今でも韓国人観光客が来るのは来るが、本当に人がいなくなりました。」と教えてくれた。
感覚的にどれくらい減ったと思うか尋ねてみると「10%くらいになったかな…以前はこの通りを人がいない状態で写真に収めることは不可能に近かったですからね」と話してくれた。
実際に私が訪問した時もずっと人がいない状態が続いていた。北村韓屋村から近い三清洞(サムチョンドン)はそれでも人が少し行き来していた印象である。だが、外国人観光客と見られる人とはすれ違わなかった。平日昼ということもあり、韓国人の年配の女性をよく見かけた。
■明洞
明洞も外国人に人気な観光スポットで、平日・休日関係なくいつも人でいっぱいの町だ。夕方になるとメイン通りに屋台がズラッと並び、にぎやかで常に人が絶えなかった。スムーズに歩くことすらできず、通りを抜けるだけでも一苦労であった場所だが、ここも今は人が少なくなっており閑散としていた。
コスメショップなどが並ぶ明洞のメインストリート(左)、賃貸の案内が貼られている明洞ストリートの最近の写真(右)=田村温子撮影
人がいなくなっていただけではない。ガラーンとしていた理由は店舗の空きも目立っていたからである。
薄暗い店舗には임대(賃貸)と貼られ、空いている店や移転している店が多数見られた。観光客の減少による明洞の空き店舗問題については、よくニュースなどでも放送されていたので知ってはいたのだが、現実を目の当たりにするとその深刻さを実感した。個人的な感覚ではあるが、以前に比べると通りを歩いている人は2~3割程度にまで減少しており、店も開いているところが少ないのでショッピングを楽しめる状況ではない。
「明洞のあの活気は一体どこに?」という雰囲気である。
ただ「明洞餃子」という有名カルグクスのお店は相変わらず人が並んでいたのが意外であったし、夕方になるとこの辺で働く多くの人たちが明洞を通り過ぎ退勤している様子も見られた。
明洞にある有名なお店「明洞餃子」の最近の様子。ここはコロナ禍でも人が並んでいる=田村温子撮影
以前韓国人の友人と明洞に訪れた際「明洞なんて何年ぶりだろう…もうずっと来てないからお店とかも全然分かんない」というので「韓国人から見て、明洞ってどんなところ?」と尋ねてみたことがある。すると「明洞はもう外国人の街って感じ。私たち韓国人は観光で明洞に行くこともないし、観光客向けの街って感じがする。あなたのおかげで久しぶりに明洞に来たわ、ありがとう。」と言われたのを思い出した。
恐らく韓国人から見て「明洞=外国人観光客のための観光の街」という認識が強いため、今回コロナの打撃が大きかったのではなかろうか。この辺りを仕事で利用する韓国人も多いため、もう少し韓国人が入りやすい観光地・街づくりをこの機会に考えてみると街の再復興を望めるのではないかと思う。
韓国ではSNSや口コミでの広がりがかなり影響力があるため、トレンドを取り入れ且つどこにもないような新しいコンセプトの映えスポット・街づくり等で話題を集めれば、今の状況から抜け出せるかもしれない。現状況からそこに安全性を忘れてはいけない。また明洞餃子のように、明洞のシンボルともいえるブランドはこのような状況でも強いことが分かる。
明洞は外国人から見ても活気があって魅力的な街なので、現状況に対して勿体ないなと思っているのが正直なところだ。韓国人も訪れやすい新たな観光地としてまたにぎやかな街が戻ってくることを願う。
*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
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