名誉記者団

2022.07.18

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[横浜=太田久琳(日本)]

今SNSでも良く見かけるようになったこのキャラクター、なんのキャラクターかご存じですか?

今年4月、ソウル・蚕室にある高層ビルの屋外芝生広場に登場した巨大ベリークマ=ベリークア公式フェイスブック

今年4月、ソウル・蚕室にある高層ビルの屋外芝生広場に登場した巨大ベリークマ=ベリークア公式フェイスブック


実は、今韓国で大人気のYouTuber「벨리곰(ベリークマ)」なんです。
『벨리곰TV - Bellygom TV』というチャンネルで活動しており、登録者は既に53万人を超えています。(2022年7月時点)

また、インスタグラムやツイッターなどでも活発に活動をしており、インスタグラムの「#벨리곰」で検索をすると、なんと4万件越えの投稿がヒットします。

ベリークマのYouTubeチャンネルでは主に、ドッキリ動画を投稿しています。ベリークマが街中で人形のふりをして道にじっと立ち、通行人を驚かす動画コンテンツが有名です。芸能人とのコラボ動画なども頻繁に投稿しています。また、「I'M 벨리곰(ベリークマ)」という曲も出しており、ミュージックビデオ(MV)も用意されています。


・ベリークマに隠されたヒミツとは…?

実はこのベリークマは、韓国テレビ通販大手のロッテホームショッピングのMZ世代の社員を対象に開かれた、社内ベンチャープログラムにて誕生したキャラクターなのです。

ちょうどベリークマが誕生した2018年ごろ、世間の認識として、既存のホームショッピングチャンネルという流通媒体は中長年層が好むチャンネルであり、20~30年代の若いMZ世代には少し遅れている流通媒体という認識が増えてきました。

ベリークマを企画したロッテホームショッピングの担当者=ロッテ公式ブログ

ベリークマを企画したロッテホームショッピングの担当者=ロッテ公式ブログ


そこで当時、ロッテホームショッピングでは、どうすればそのようなMZ世代にも流通媒体に触れてもらうことができるのか検討しました。そして、キャラクターの開発が顧客にもっと親しみを与えるという社員のアイデアに着目し、このベリークマが誕生しました。

今年の4月には、蚕室(チャムシル)のソウルロッテワールドタワーの芝生広場に高さ15メートルの巨大ベリークマ1体と高さ2メートルのベリークマ6体が登場しました。このイベントでは開始から3日間で50万人、2週間で200万人が訪れ、この圧倒的な訪問客数によって展示日を約1週間延長し、最終的に325万人以上の訪問客を集めました。展示空間近くのグッズショップには連日品切れ状態が続きました。

盛況のソウルロッテワールドタワーの展示=ベリークマの公式フェイスブック

盛況のソウルロッテワールドタワーの展示=ベリークマの公式フェイスブック


また、5月には約1か月間、京畿道(キョンギド)・義王(ウィワン)市にあるロッテプレミアムアウトレットにて、4月のロッテワールドタワーと同様の展示がありました。イベント初日には、アウトレットの訪問者数が3万5千人に達し、1~4月の週末平均訪問客数の30%多い数値という結果になりました。

しかしながら、この人気の様子に反して、このオフラインでのイベントを通して「実はベリークマがロッテホームショッピングのキャラクターである」ということを初めて知った人が非常に多かったのです。

今までベリークマ関連のコンテンツには、「ロッテホームショッピング」の企業名やロゴは見当たりませんでした。ベリークマの自主競争力を確保するため、ロッテホームショッピングが開発したという事実を隠したままYouTubeなどのSNSで活動をしていたのです。ベリークマをインフルエンサーとして自ら成長させようという開発側の意図が隠れています。

このようにロッテ関連施設でのイベントが開催されたことで、SNSで大人気の「ベリークマ」という一つのキャラクターとして認識していた人々が、初めて裏にいる企業の存在を知ることになったのです。「隠れマーケティング」という、このような企業のマーケティング手法が、現在韓国で注目を浴びています。


・今韓国でキテるマーケティング手法、「隠れマーケティング」

ベリークマのように、最初から企業の名前を隠して、独自のコンテンツを展開することを韓国では「隠れマーケティング」と称しています。

今までの企業のSNSにおいて、有名製作者やプロデューサーが作ったコンテンツだとしても、「企業名」が付いたコンテンツは「広報」「広告」という拒否感を与えてしまうという事実がありました。また、企業名を表す場合、企業イメージを盛り込まなければならず、コンテンツを保守的に制作しなければならない傾向がありました。

しかし、企業ロゴやイメージを露出することなく、コンテンツを前面に出せば、企業が運営するチャンネルに対する人々の拒否感を減らすことができます。そして、ブランドの公式SNSより身近なイメージで個性的なコンテンツを提供できるというメリットがあります。

また、このような独自のコンテンツ自体を好んでくれるファンダムが形成された後に、チャネルの所有者を公開することになれば、ブランドに対して持たれる好感度も自然と高まるという利点もあります。そのようなマーケティング手法により、ベリークマのコンテンツを見ている人にとっては、ロッテグループの特徴を感じられなかったのです。

フォロワー数16万を超えた「ルルル」=ルルルの公式インスタグラム

フォロワー数16万を超えた「ルルル」=ルルルの公式インスタグラム


ベリークマの他にも「ルルル」というキャラクターが、不満を謳うクリエイターというコンセプトでYouTubeやインスタグラムなどのSNSを通じて、人々の不満を機知に富んだコンテンツで披露しています。

MZ世代の挑戦を応援するようなコンテンツも制作しており、MZ世代からの人気を得ています。初めから正体を明かさずに3年間活動していたルルルですが、今年の4月、「自分の正体を明らかにするという」インスタの投稿を通し、実は現代自動車で作ったサブキャラであることを明らかにしました。

このように隠れマーケティングは韓国国内で徐々に広がっていると言えるでしょう。


・今後のベリークマの活動と日本での活動

日本でのベリークマの知名度はまだあまり高くありませんが、最近徐々にSNSで見かける機会も多くなってきているのではないでしょうか。

ベリークマのようなオンラインコンテンツを活用する利点として、韓国国内だけではなく、世界中からも認知される機会があるということが考えられます。ベリークマのYouTubeチャンネルの動画では、既に日本語の字幕に対応しており、日本人の視聴者もこれから増えると思われます。

今後、SNSを通して海外のファンダムまで形成されるのかどうかが期待されます。

実際にロッテホームショッピングの担当者も、「中国やインドネシアをはじめとしたグローバルコンテンツプラットフォームを通じた世界進出も計画中」とのことなので、ベリークマの活動はこれから海外へ広がっていくものと思われます。

「隠れマーケティング」によって韓国国内で大人気になったベリークマは、近い将来、日本でも見かけるようになっているかもしれませんね。

*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

km137426@korea.kr