韓国の7人組ボーイズグループ「防弾少年団(BTS)」のメンバー、ジン＝BTS Facebook

［大阪＝大野瑠華（日本）］

先日、世界的に活躍する韓国を代表する人気グループである「防弾少年団(BTS)」の所属事務所は、韓国の男性に義務付けられている兵役に最年長メンバーであるジンが近く入隊すると発表しました。

ジンを皮切りに、他のメンバーも順次兵役に就く予定で、3年後の2025年ごろを目途にグループ活動の再開を希望しているとのことです。BTSの入隊はこれまでもずっと話題になってきており特例問題も議論されていましたが、今回正式に発表される運びとなりました。韓国になぜ兵役の義務が存在しているのか、どんな制度なのかなどについて掘り下げていきたいと思います。

韓国は1950年から朝鮮半島の主権を巡り北朝鮮と国際紛争に発展しました。それが朝鮮戦争です。戦争は1953年の休戦協定により、軍事境界線が設置され一時的な終わりを迎えましたが、南北両国の分断状態は今も続いており終戦したわけではないため、今も戦争中であるということになります。そのため、韓国では兵役制度を採用し戦争に備えています。

韓国の徴兵制は兵役法という法律によって定められており、満18歳以上のすべての成人男子に兵役の義務が課せられています。徴兵検査を受け、健康状態・精神状態などを判断し、実際に軍隊に入るのか、公的機関での事務仕事でそれを代替するのか、または兵役を免除されるのかが決まります。

(左から)入隊したアイドルグループ「SHINee(シャイニー)」のテミン、「BTOB（ビートゥービー」のユク・ソンジェ＝兵務庁 Facebook

一般的には大学に入ってすぐのタイミングなど若いうちに兵役を終える人が多いですが、芸能人の場合はそのタイミングがデビューして間もない時期であったり大事な時期であったりという場合が多いので期限ギリギリで入隊する人が多いのが現状です。

もともとその期限が満30歳までとなっていましたが、2018年5月に兵役法が改正され、満28歳までに入隊しなければならないという取り決めができました。そこでBTSのジンが満28歳を迎える前に、兵役法の改正案が出されました。

兵役を満30歳まで延期できるという法案で、それまでも有名スポーツ選手やクラシックの音楽家などについては兵役の免除や延期が認められてきた場合がありましたが、今回「国内外で韓国のイメージを大きく向上させたと文化体育観光部(日本の文部科学省のような政府機関)が推薦した、ポップカルチャーアーティスト」についても認められるということで可決されました。

また、現行の兵役法上、満28歳までは陸軍、空軍、海兵隊への志願が可能ですが、満29歳を超えると陸軍にしか志願できません。兵役期間は陸軍で2年、海軍で2年2か月、空軍で2年2か月となっています。ジンは現時点で満29歳を超えているので自動的に陸軍への志願となり、2年間兵役の義務を全うすることになります。

ジンは入隊延期の申請をしてきましたが、10月中に延期の取り消しを申請し入隊の時を待っているという状態です。先日釜山にて万博誘致の一環として行われた無料コンサート「BTS “Yet To Come” in BUSAN」が入隊前最後のコンサートとなる見込みで、そのコンサートが終わった後に入隊延期取り消しを発表したことについては「釜山公演を”涙のコンサート”にはしたくなかった」とファンへの思いを語っています。

韓国の7人組ボーイズグループ「防弾少年団(BTS)」＝BTS Facebook

先日、初のソロシングル『The Astronaut』を発表したジン。イギリス出身の人気バンドColdplayが共同作詞家として参加し、ファンであるARMYへの気持ちを改めて表現したというこの曲は、清涼感のあるギターサウンドが特徴で、ジンの優しい声が幻想的に響く秋にぴったりな一曲になっています。MVの最後で見せる笑顔は、私たちに心配せずに待っていてねと語りかけるようでとても印象的でした。

メンバー全員が兵役を終えるまでは個人活動に注力するというBTSですが、3年後また7人で活動してくれる日まで楽しみに待ちたいと思います。日本では2019年末以降コンサートがなかったのでその時には是非、日本でもコンサートが開催されたらいいなと心から願っています。その日までBTSもARMYも健康で幸せに過ごし笑顔で再開できたらいいですね。

*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

eykim86@korea.kr