【文・写真=吉岡香織】
前回の投稿に引き続き、5月24日〜26日に開催された「KOREA.net名誉記者団 水産物 モクパン ファミリーツアー」、2日目の報告をしたいと思います。
展望台からの風景。タレンイ村も高齢化で畑作業をできる方が少ないため、もったいないことに空いている田畑が多いのだとか。
・棚田の美しい「加川タレンイ村」
加川(カチョン)タレンイ村では、地元のガイドのパク・スンオクさんにこの地域のことや歴史をたくさん教えていただきました。1999年に山道ができて、国家指定文化財名勝第15号に指定されていると紹介する看板がありました。韓国人にも大変人気があるそうですが、外国人もたくさん訪れていました。海と棚田の風景が息を呑むほど美しいところです。
この土地は雪屹山の麓の急な斜面にあり、沿岸は岩場で船着き場を作れないほど。農地も斜面に作らねばならず、足に踏ん張る力がなければ農業者が転げ落ちてしまうほどの傾斜を、綺麗に石を積み上げて土を支えながら、108段以上もの階段状の棚田に作り上げたそうで、500年の歴史があるそうです。美しい風景は先人たちの大変な努力と苦労によるものなのですね。
石も有名だそうです。護神石を祀っている広場は、棚田のなかでもありがたい広さがあるにもかかわらず、そこには田畑を作らずに石を守っているそう。そのくらい村にとって石は大切なものなのですが、品質が素晴らしいとのことで、日本の植民地支配時代には、日本にたくさん持って行かれたそうです。申し訳ないですね。
・ミチョ港のミョルチと、スペース・ミチョ
ミチョ港の近くにある食堂でいただいた、たっぷり盛られたミョルチ刺身和え。ミョルチの塩辛も。右奥が珍しいミョルチの刺身。南海に来たらぜひ味わってほしい
続いて、前日に訪問したミョルチの原始漁業「竹防簾」のある只族海峡と同じく、ミョルチ(カタクチイワシ)が有名だという「ミチョ港」に向かい、昼食に「멸치회무침(ミョルチフェムチム)ミョルチ刺身和え」と、ミョルチの刺身をいただきました。
ミョルチを刺身として生で食べるのは初めてでしたが、小さな体に旨味が凝縮。わさび醤油も用意されていますが、韓国スタイルで甘酸っぱいコチュジャンで食べるのがミョルチには合う気がしました。こんなに小さなミョルチを刺身にする作業はどれだけ大変なことでしょう。料理人の方々に感謝しながらいただきました。
食堂のすぐそばの漁港には水揚げされたミョルチがたくさん。ここからすぐお店に届くのですからミョルチ料理が新鮮で美味しいはずですね!
食後はすぐ近くにある「スペース・ミチョ」へ。昔のミチョ港の冷凍庫を、地域再生事業として、この地域を代表する文化芸術空間にリノベーション。展示室、公演場、カフェなどがあり、テーブルや椅子にはリサイクル品を活用するなど、環境に配慮していました。水産物の料理教室などもあり、ガラス張りの屋上スペースで海を眺めながら行われているそうです
展示中のアート作品「波動の言語」は、ひとつの生態系の中に入って、周辺の環境と相互作用により発生する波動や揺れを体験するという意味が込められているそう。
・錦山菩提庵とドイツ村
「錦山(クムサン)」は真っ直ぐ伸びる岩山の絶壁が霊峰の名にふさわしく、高麗時代後期にはここで李成桂(イ・ソンゲ)が100日間祈祷し、朝鮮建国を成し遂げたというパワースポット。菩提庵(ボリアム)は新羅時代に建立されたそうで、観音菩薩に願い事をすれば願いが一つ叶うと言われているそうです。登山口からけっこう歩きますが、疲れを忘れてしまうほどの絶景に出会うことができます。
岩山の奥に建てられた菩提庵
「ドイツ村」は1960〜1970年代、日本の植民地支配や朝鮮戦争などを経て韓国経済が厳しかった時期に、祖国の近代化のために坑夫や看護師として派遣され韓国の経済発展に寄与し、その後もドイツに居住していた韓国人が、帰国してみんなで暮らせるようにと、ドイツの雰囲気を感じられるように造成された村。
伝統的なドイツ住宅だという建物のデザインと、橙茶色の屋根と白壁という色彩が自然と調和していて街並みがとても綺麗。景観を損なわず、まさにヨーロッパにいるようでした。散歩するだけでも楽しく、美味しいレストランやカフェ、お土産店がたくさん。韓国映画「国際市場で逢いましょう」を見た方など、ドイツ派遣に関心を持っている方も多いと思いますが、その歴史を学べる「南海派独資料館」もあります。南海特産の柚子をつかったアイスクリームも甘すぎず美味しかったです。
(左)ドイツ村:帰国後に知ったのですが、私の大好きなドラマ「ファンタスティック・カップル」は南海で撮影され、ドイツ村には主人公のチャン・チョルスの家となっていたお宅があるのだそう。見たかった。(右)南海特産の柚子がたっぷりのアイスクリーム
・歓声が上がった「ウニのピビンパ」
夕食は、再びミチョ港に向かい、「성게알비빔밥 ウニのピビンパ」をいただきました。まずはウニだけを味わいます。北海道出身でウニを食べ慣れた私には、その美味しさや新鮮さがよく感じられました。溶けないように保存するためのミョウバンなどは使わない、浜から獲りたて剥きたて。
たっぷりのウニの下にあるご飯には程よく醤油タレがかかっているので混ぜて食べるだけ。口に運ぶたびに名誉記者団たちから歓声が上がり、永遠に食べ終わりたくない、無くならないでほしいと願うほどでした。
ウニより、食べている自分がとろけそうになるほど美味しかったピビンパ。中央の黒いのがアメフラシ(グンソ)で、くせがなく美味しかった。店名の「トゥンデプル」は丼に乗っている緑色の野菜の名前なのだろうか?再訪問して、気さくだった女将さんに聞いてみたい。
アサリ鍋、ホタルイカ、初めて食べるアメフラシなど、おかずにも水産物がたくさん。また、ほうれん草などお野菜も美味しいのでその理由をお店の女将さんに尋ねてみると、海風に吹かれることで野菜の旨味が増す、とのことでした。
南海の水産物の魅力が伝わるでしょうか!? 食の旅はまだ続きますので、次回もまた報告したいと思います。
*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
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