名誉記者団

2023.09.01

他の言語で読む
  • 한국어
  • English
  • 日本語
  • 中文
  • العربية
  • Español
  • Français
  • Deutsch
  • Pусский
  • Tiếng Việt
  • Indonesian
【文・写真=大山愛莉】
マーラータン

マーラータン


韓国の入国制限が緩和されてから、韓国へ足を運ぶ観光客が増え続けています。韓国の街並みは、コロナ禍による3年間でその姿を変えました。ファッションや食べ物の流行から電子決済サービスの拡大など、コロナ禍前とは違う変化が現れています。

その中で、本記事では、現在韓国で流行のピークに達している「マーラータン(麻辣燙)」という食べ物について作成しました。 「マーラータンを一度も食べたことがない人はいるが、一度しか食べたことがない人はいない」という表現があります。若年層の心を捕えたこの料理の正体は何でしょうか。

マーラータンとは、中国の四川省(しせんしょう)という地方で由来され、野菜や春雨などの具材を煮込んだ食べ物です。四川地方の人々は、気温が高く湿気が多いため、香辛料をたっぷり入れた料理で夏を乗り越えたと言われます。このマーラータンは、花椒(かしょう)というスパイスと唐辛子をメインに味付け、刺激的な舌の痺れ(麻:マー)と辛さ(辣:ラー)が特徴です。個人的に味が似てる料理として、山椒担々麺が思い浮かびます。

韓国の街並みで、数歩ごとに「〇〇마라탕(〇〇マーラータン)」、「마라〇〇(マーラー〇〇)」というマーラータンのチェーン店の看板が横並びしていることがわかります。店内では、制服を着ている学生や若い親子さんなど、ほとんど若い世代が食事をしています。なぜ、このように韓国の若者の間でマーラータンの人気が急上昇したのでしょうか?

資料を得るため、マーラータンを実際に味わうことにしました。韓国国内でかなり認知度が高く、大阪にもチェーン店がある「탕화쿵푸(トウカコウフ)」を訪問。

それでは、マーラータンが注目された理由を分析します。


好みで組み合わせができる

まず、マーラータンの注文方法について説明します。
①具材コーナーのサイドに置いてあるトングとボウルを用意する。
②具材コーナーから、好みの野菜や麺などの具材をボウルに入れていく。

野菜:八宝菜、キャベツ、パクチー、エノキ、キクラゲ、ヤングコーン、ジャガイモなど

麺:とうもろこし麺、はるさめ、タンミョン(太いはるさめ)、ゆば麺など

その他:お稲荷、海鮮物、餅、ソーセージ、うずらの卵、牛・ラム肉(別料金)など
③ レジに向かい、ボールの重さを測ってそれに応じた料金を支払う。(お店によってグラムごとの料金はそれぞれですが、大体一人前で10,000ウォン上下です)
④辛さのレベル(0段階〜3段階)を選ぶ。
⑤選んだ具材が調理されるまで待つ。

個性的で創造的な若者にとって、野菜やお肉、麺などの具材を選び組み合わすことはとても魅力的でしょう。また、自分の口に合う辛さのレベルを調節できるため、みんながみんなで個性のない同じ料理を注文する必要はありません。辛いものが得意な人も、辛いものが多少苦手な人も、自分のオリジナルマーラータンを楽しむことができるのです。


異色的な辛さ

注文から5分ほど経つと、筆者のオリジナルのマーラータンが出来上がりました。マーラーのピリッとする痺れと後味の辛さに加え、ピーナッツソースのまろやかな味が混ざってとても印象的でした。野菜や湯葉にまでスープが染み込んで、口に入れるとジューシーな食感になります。レベル1段階の辛さは、辛ラーメンくらいでした。

元々唐辛子ベースで辛さを調節してきた韓国人にとって、癖があるマーラーの味は、異質的だと感じるかも知れません。しかし、辛くて刺激的な味を好む傾向があるため、「異色的な辛さ」として受け入れたと考えられます。


SNSの影響力

全国的にマーラータンが流行るようになったのは、SNSの影響も大きいでしょう。2023年7月24日基準にInstagramの#마라탕(#マーラータン)の検索数は、なんと75.4万件。また、YouTubeでは、人気クリエーターによるマーラータンのモッパン(먹방:グルメ番組)が数百件以上アップロードされています。

つまり、韓国でマーラータンの需要が高まった理由は、大きく「オリジナルの一皿」、「異色的な辛さ」、「SNSの影響力」だと分析しました。このように、現在韓国の若者たちの中で爆発的にヒットしれいる料理は、マーラータンであると言っても過言ではありません。

国内では、マーラータンの需要に応じ、家でも簡単に調理できるマーラーソースが販売され、SNSではマーラータンのアレンジレシピが登場しています。また、最近はメニュー内にマーラー味を新たに加えた有名チェーン店も多くみられます。
今年の4月、人気のチムダク(鶏の甘辛煮)屋さんドゥチム(두찜)で、「マーラーロゼチムダク」の販売を始めました。すでに数多くの好評がネット上に投稿されています。また、東大門ヨプキトッポッキ(동대문엽기떡볶이)は、今月の中旬(7月18日)に「マーラートッポッキ」を登場させました。しかし、販売開始から一週間後、予想値をはるかに超える注文数で在庫切れ、マーラートッポッキはいわゆる「臨時売り切れ状態」にまで至りました。韓国人のマーラー愛は、どこまで続くのでしょうか。

マーラータンは、「第二のチーズダッカルビ」になるのか


チーズダッカルビ

チーズダッカルビ


韓流ブームにより日本人の口を魅了させた「チーズタッカルビ」は、日本国民に愛されている韓国料理の中の一つです。韓国で爆発的に人気を集めているマーラータンは、日本でも、「第二のチーズタッカルビ」としてヒットするのかについて、筆者の見解をまとめました。

「キムチチゲ」や「ヤンニョムケジャン」、「ビビンバ」など、韓国を代表する料理には唐辛子が入り辛い味が特徴です。その反面、日本の辛い料理というと、ほとんど思い浮かばないです。だいたい醤油や塩で味付けされた料理が多いですね。そのため、辛さに慣れていない日本人は、韓国人より辛い料理が得意ではありません。また、日本には「ピリ辛」、「甘辛」という表現が多いことから、刺激的な辛さを好まないことがわかります。日本でチーズタッカルビが成功した理由も、甘辛いタッカルビと濃厚なチーズが程よく日本人の口に合ったからだと考えます。

これを踏まえると、日本では韓国のようにマーラータンが流行らないと思います。しかし、本場(四川省)のマーラータンを韓国で現地化させたように、日本人の口に合うように辛さレベルを調整すると、「おいしい!」と思われるかもしれません。

皆さんも、機会がありましたら、韓国人の若者の口を魅了させたマーラー料理にチャレンジしてみませんか?

*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

hjkoh@korea.kr