名誉記者団

2024.12.30

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【文・写真=吉岡香織】

駐日韓国文化院1階のギャラリーMIで2024年12月10日まで開催された企画展「韓国伝統工芸 メドゥプ、脈を継ぐ」。韓国国家無形遺産に指定されている「メドゥプ匠」保有者の金惠淳(キム・ヘスン)氏が率いるメドゥプ研究会との共催で、金恵淳氏と研究会員35名による約90点の作品が展示されました。また、展示期間中には体験イベントも行われました。

韓国の国家遺産は大きく「文化遺産」、「自然遺産」、「無形遺産」の3つに分けられ、「メドゥプ匠」は「国家無形遺産」第22号に指定されており、国家の保護を受ける技術・芸能の保有者なのです。

参照:駐日韓国文化院ウェブサイト https://www.koreanculture.jp/info_news_view.php?number=7947

「韓国伝統工芸 メドゥプ、脈を継ぐ」が開催された駐日韓国文化院1階のギャラリーMI。フロアにはメドゥプ模様がプリントされた。優れた技術と芸術的感覚で作られた約90点もの作品は非常に見応えがあった。天井から吊られている作品は写真で見るよりもはるかに大きく圧倒された。

「韓国伝統工芸 メドゥプ、脈を継ぐ」が開催された駐日韓国文化院1階のギャラリーMI。フロアにはメドゥプ模様がプリントされた。優れた技術と芸術的感覚で作られた約90点もの作品は非常に見応えがあった。天井から吊られている作品は写真で見るよりもはるかに大きく圧倒された。


⚫︎メドゥプについて

メドゥプとは「結び目」という意味で、紐を編んだり結んだりして文様を作る韓国の伝統工芸です。紐の主な材料は絹糸です。

まずは、「多絵(タフェ)」と呼ばれる紐を作らなければなりません。絹糸を丁寧に染色し、糸と糸をひねって組み合わせて紐を作ります。多絵を手で編んでは締めてを繰り返しメドゥプを左右対称に美しく作ります。その端に飾りつける房の部分を流蘇(ユソ)といいます。メドゥプ工芸は、多絵、メドゥプ、流蘇の三つが調和して完成されるそうです。

ノリゲ(チョゴリに着ける飾り)や、短刀・扇子・楽器・チュモニ(巾着)・帽子などの飾りとして、さらには、数珠・ロザリオ・メガネケース・お財布・額縁・王室の下賜品etc。持つ人の品格を高める装身具としての役割はもとより、身近な生活用品の装飾まで、多様な用途やシーンで用いられていることが伺われます。

今回の展示では、高い天井から吊るされた長く大きい(飾り雛のような)作品が入り口を彩り、来場者をメドゥプの世界へと誘っていました。ノリゲやチュモニなどのメジャーなものはもちろん、お部屋に飾るオブジェ、現代装飾と融合した斬新な作品、額装された絵画のような作品まで、とても優雅で美しい「芸術作品」としてのメドゥプの魅力で溢れています。メドゥプ匠の工房を再現したコーナーもあり、また、基本材料となる多絵の作り方や、30種類の代表的なメドゥプ模様の解説などは勉強にもなりました。うっとりしながら数時間も鑑賞してしまいました。

⚫︎メドゥプ工芸体験

今回は4回のメドゥプ工芸体験も開催されました。駐日韓国文化院ではこれまでも開催されていますが、毎回応募者数が多く、私の韓国LOVERS友人の間では「幻の体験!?」と呼ばれるほどの大人気。

講師はハヌルメドゥプ工房の永堀美穂先生。2色の多絵を、先生からの説明と編み物の編み図のような説明書とを見ながら編み進めていきます。「脳トレ」と言わんばかりの、紐ではなく脳が絡まってしまうような混乱。そして、紐を編んでから締めるのですが、その締め加減が難しい。しかし、それらの修行時間を乗り越え徐々に慣れてくると、そこにはメドゥプ工芸の虜になり、もっと編みたい!終わってほしくない!と楽しむ自分が誕生していました。

左上:金恵淳メドゥプ匠の工房を再現したコーナー。メドゥプで飾られた簫(ソ)という珍しい管楽器も。右上:ショーケースの中にはさまざまなメドゥプを用いた作品が並ぶ。色使いも綺麗。右下:代表的な30種類のメドゥプ模様や流蘇(ユソ)の作り方の説明もあり、知ることでさらに展示を楽しめる。左下:伝統を大切に守りながらもアイデア溢れるオリジナルの作品も。「春の風に」というタイトルのとおり爽やかで優しい。

左上:金恵淳メドゥプ匠の工房を再現したコーナー。メドゥプで飾られた簫(ソ)という珍しい管楽器も。右上:ショーケースの中にはさまざまなメドゥプを用いた作品が並ぶ。色使いも綺麗。右下:代表的な30種類のメドゥプ模様や流蘇(ユソ)の作り方の説明もあり、知ることでさらに展示を楽しめる。左下:伝統を大切に守りながらもアイデア溢れるオリジナルの作品も。「春の風に」というタイトルのとおり爽やかで優しい。


⚫︎韓国で見たメドゥプ展。お土産などあちこちに登場するメドゥプ

メドゥプは意外と身近なところで出会うことができます。韓国旅行でみなさんが訪れる仁寺洞のお土産やさんに売っているチュモニや、イベントの記念品の香り袋、仁川空港の韓国伝統文化センターの伝統工芸体験など。これまで気が付かなかったところに実はメドゥプがあるかもしれません。

2023年の秋に韓国の国立民族博物館で開催されていた、博物館に寄贈された144点のメドゥプ展を鑑賞しました。このような展示があればまたぜひ見たいと思っていましたが、この企画展「韓国伝統工芸 メドゥプ、脈を継ぐ」で、しかも日本で再びたくさんの素晴らしい作品を鑑賞でき、とてもうれしかったです。ぜひまた開催してほしいです。

駐日韓国文化院では、韓国文化を感じることができる展示やイベントがたくさん開催されています。駐日韓国文化院という機関だからこそ開催できる、他ではなかなか体験できない本当に貴重な機会が多いので、ぜひ様々な韓国の魅力に触れていただけれたらいいな、気軽に立ち寄っていただけたらいいなと思っています。

左上の細い紐(メドゥプ)とキーリングは仁川空港の韓国伝統文化センターの伝統工芸体験で作ったもの。キーリングは螺鈿工芸体験だったがそこにもメドゥプがあしらわれていた。景福宮のライトアップイベント「星光夜行」の記念品の香り袋、「日韓交流お祭り」でいただいたうちわ、お土産やさんにもたくさんある可愛らしいチュモニなど。

左上の細い紐(メドゥプ)とキーリングは仁川空港の韓国伝統文化センターの伝統工芸体験で作ったもの。キーリングは螺鈿工芸体験だったがそこにもメドゥプがあしらわれていた。景福宮のライトアップイベント「星光夜行」の記念品の香り袋、「日韓交流お祭り」でいただいたうちわ、お土産やさんにもたくさんある可愛らしいチュモニなど。


*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

hjkoh@korea.kr