[文・写真=坪井由美子]
初めまして。ライター・レポーターの坪井由美子です。
日本と韓国を拠点に、世界の暮らしを体験しながら活動しています。
Korea.net では、まだあまり知られていないおすすめ観光スポットやローカルグルメ、カルチャーなど、韓国の奥深い魅力をお伝えしていけたらと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
第1回目の記事は、韓国でとても大切な存在の「山」をテーマに選びました。
山に囲まれたソウル。ハイキングコースが整備され、気軽に登れる山が多い。
韓国では登山やハイキングが大人気。K(軽)登山部の活動を通して、韓国の山の魅力を発信していきます。今回はソウルのなかでもアクセスしやすく、旅行者にもおすすめの仁王山へのお散歩ハイク。ルートや見所、下山後のグルメなども紹介します。
韓国の人たちは山登りが大好き。
ここ数年はコロナ禍の影響もあって、ますます健康ブームに拍車がかかり、若い人たちの間でも登山やハイキングの人気が高まっています。
私も韓国の友人に誘われて山の魅力に開眼し、もっと楽しみたい!という気持ちが強くなりました。
そこで「K(軽)登山部」(韓国の「K」と「軽」をかけて命名)を結成。
登山というと重装備で挑むイメージがあるかもしれませんが、K(軽)登山部のモットーは、名前のとおり軽めのハイキング。
下山後のおいしいごはんやお酒を何よりの楽しみとしています。
部活動を通して韓国の山の魅力を発信し、登山初心者や観光客のみなさんにも気軽にハイキングを楽しんでもらえるといいなと願っています。
それでは、さっそく出発しましょう!
風水思想に基づいて築かれたソウルは、まわりをぐるりと山に囲まれているため、街と山との距離がとても近く、気軽に登れる低山がたくさんあります。
なかでもアクセスしやすいのが仁王山(イヌァンサン)。
景福宮からも見える仁王山はアクセス抜群
ソウルの中心、景福宮の近くにある標高338.2mの仁王山は、観光もハイキングもグルメもまとめて楽しめるのが魅力です。
いくつかあるルートのなかから、今回は景福宮からスタートして北の付岩洞へ抜ける難易度の低いコースを紹介します。
社稷公園の壁に沿って歩いていきます
景福宮駅の一番出口を出たら、西の社稷公園方面へ向かいます。
社稷壇門を通り抜けてなだらかな坂道を歩いていくと、右に見えてくるのが檀君聖殿。
朝鮮民族の始祖である檀君の肖像画と位牌が安置されている祠堂です。
檀君の肖像画と位牌が安置されている檀君聖殿
さらに道なりに進んで、無無臺(ムムデ)と呼ばれる展望台でひとやすみ。
都会の絶景スポット!ムムデ展望台でヒーリング。
山からせり出した舞台のような展望台の先まで行ってみると、眼下には青瓦台から景福宮、南山ソウルタワーまで、ソウル市街が一望のもと。
四方を囲む山々に見守られ、東西に漢江が流れるソウルは、風水の理想モデルともいわれています。
ソウルにいると、大都市にもかかわらず風通しの良さが感じられるのは、だからなのかもしれません。
展望台の名前になっている無無臺とは、「何もない。ただ美しいものがあるのみ」という意味なのだそう。
その名にふさわしい静かなパワースポットで、元気をチャージしながら気持ち良いひとときを過ごしました。
日の出や夜景の名所としても知られているそうなので、次回は夕暮れから夜にかけて訪れてみたいです。
絶景にくわえて本とコーヒーも楽しめるブックカフェ。
展望台を後にして北へ進むと、ほどなくしてモダンな建物が現れました。
ここは元々は警察の詰め所だった場所で、リニューアルされて現在はブックカフェとして営業中。
広々とした店内も景色のよいテラス席も、たくさんのお客さんで賑わっています。
カウンターに並ぶおいしそうな焼菓子や、本コーナーで大好きなハン・ガンさんの本を目にし、私の心は踊りました。
ゆっくりコーヒータイムを過ごしたい気持ちがむくむくと沸き上がりましたが、下山後のグルメが控えているため、ぐっと我慢して先へ進みます。
仁王山のハイキングコースは歩きやすい道が多いので、登山靴ではなく普通のスニーカーでOK
カフェを過ぎると後は下り坂です。
青雲公園を抜けると、ほどなくして大通りに出てゴール。
より道しながら1時間ちょっとのハイキングコースは、運動不足の体にも優しく、身も心もリフレッシュできました。
頭の中は、この後に飲むビールのことでいっぱいでしたが、その前に。
カンヌ国際映画祭やアカデミー賞などで数々の賞を受賞した映画『パラサイト』のロケ地として有名になったスポットが近くにあるということで、見学することにしました。
チャハムントンネルの入り口にある、『パラサイト』が撮影された階段。
大雨のシーンで出てきたあの大階段。
格差社会を象徴するかのようで強烈に印象に残っていたので、実物を目にして感慨深かったです。
わかりやすく「フォトゾーン」が設置されているところがまた、撮影好きな韓国っぽいなあと妙に感心しました。
さて。ロケ地見学を終えた後は、いよいよK(軽)登山最大の楽しみ、下山グルメの時間です。
付岩洞エリアには、近年おしゃれなお店が増えて選択肢がたくさん。
私たちは、王道のチメク(チキン+ビール)で乾杯することにしました。
チキン+メクチュ(ビール)の「チメク」は韓国でポピュラーな組み合わせ
揚げたてのチキンはカリッと香ばしく、キンキンに冷えたビールと相性抜群です。
最近の韓国チキンはソースやシーズ二ングなどバリエーションが豊富ですが、シンプルに塩のみで食べるのもまた絶品。
「ああ、おいしい!最高~~!」
これぞ、K(軽)登山の醍醐味です。
店内は私たち以外にも登山客がちらほら。
やはり、K登山には下山グルメが欠かせないようです。
今回は南から北へ抜けるルートをとりましたが、逆に北の付岩洞からスタートして南の西村方面へ抜け、食堂や居酒屋が集まる「世宗マウル飲食文化通り」で下山グルメを楽しむのもおすすめです。
観光の合間にお散歩感覚で楽しめるハイキング。
みなさんもぜひチャレンジしてみてください。
山からパワーをもらい、韓国の登山客との交流も忘れられない思い出になることでしょう。
K(軽)登山部でもいろんな山に登りながら、レポートしていきたいと思います!
※登山の際はお天気や体調管理に気をつけて楽しみましょう
*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
hjkoh@korea.kr