権起丸(クォン・ギファン)
外交部多者外交調整官・第3回民主主義サミット準備企画団長
今年は、全世界の人口の半分以上である40億人が投票に参加すると予想される。韓国をはじめ、50カ国・地域以上が「民主主義の花」と呼ばれる選挙を実施する。世界各国で「民主主義の祭りが行われる」とも言えるだろう。
それにもかかわらず、世界における民主主義の状況は明るいとは言えないのが現状だ。英エコノミスト誌の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」(EIU)が昨年末に167カ国・地域を対象に行った民主主義の発展レベル調査の結果によると、世界の平均は10点満点で5.23点だった。2006年以来、最も低いという。さらに、人工知能(AI)などの新しい技術も民主主義を脅かす要因となっている。「ディープフェイク」技術を利用した偽情報が、選挙や民主主義に与える悪影響を多くの国々が懸念している。
世界の民主主義発展に向けた重要な今の時期に韓国政府は、各国の政府指導者、国際機関や市民団体の関係者、専門家などを招待し、18日から20日まで、ソウルで「第3回民主主義サミット」を主催する。同サミットは、米国の主導で2021年に始まった。韓国政府は、国際社会における民主主義強化に貢献するという意味から、積極的に参加してきた。
韓国は昨年、第2回のサミットの共同主催国として、インド・太平洋地域会議を開催した。今年のテーマは、「未来世代のための民主主義」。初日の19日には閣僚級会議や専門家の会合、19日には市民団体と若者が主導するイベントが行われる。20日には各国の首脳らが出席し、民主主義にかかわる懸案を議論する本会議がオンライン形式で開かれる。
今回のサミットが注目する点は、大きく2つに分かれるだろう。
第1に、現在、急速に発展しているAIといった新技術が、未来世代の民主主義に与える影響や国際社会の対応について議論される見込みだ。初日は、「AI・デジタル技術と民主主義」をテーマにした閣僚級会議と専門家会合が開催される。韓国政府はこの場で、新技術が民主主義を阻害せず、未来世代がその新技術を上手に活用できるようにする方策を国際社会と共有し、協力を模索する。
第2に、未来の主役である若い世代の積極的な参加が浮き彫りになるだろう。このため、3日間のサミット全般にかけて、若者がプレゼンターとして活動し、若者がリードする数多くのイベントが相次いで行われる。韓国政府は、若者の革新的なアイディアが世界の民主主義を強化することに貢献できると信じ、彼らのチャレンジを支援するための後続措置を発表する予定だ。
民主主義サミットの開催には、韓国政府が国際社会の自由・平和・繁栄に貢献するという、グローバル中枢国家の構想を本格的に履行するという意味がある。今回のサミットが、民主主義を愛する世界市民が未来世代のために知恵を絞る場になってほしい。民主主義サミットに対する関心と声援を期待する。